メルロワインの魅力とは?~ソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方~

メルロワインの魅力とは?~ソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方~

カベルネ・ソーヴィニョンやピノ・ノワールと並び、「赤ワイン三大品種」の一角を担うメルロ。”まろやかで親しみやすい味わい”という印象を持つ方が多く、私もワインデビューをした時に最初に美味しいと感じたのがメルロワインでした。

甘い果実味に柔らかい渋み、さらには名前までチャーミングなメルロですが、それらの魅力はメルロの一片にすぎません。そこで今回は、メルロの魅力を知り尽くしたワインソムリエがメルロの魅力を改めてお届け!品種の特徴や選び方、ペアリングしやすい料理を解説します。

 赤ワインで有名なメルロはどんな味? 

メルロは、カベルネ・ソーヴィニョンに似た深い味わいが特徴の品種です。採れた場所が温暖地域か冷涼地域かでも雰囲気は変わりますが、冷涼産地では芳しい香りが顕著に、温暖産地では微かなアクセントとして感じられます。また樽熟成を施されることがほとんどで、その場合はヴァニラやクローブなどの樽由来の風味が醸され、熟成香も素晴らしく魅力的ですよ。味わいはカベルネ・ソーヴィニョンと比べ、より果実味が強く丸みがあります。タンニンの質感がなめらかになることが多く、酸はやや控えめに感じられることが多いでしょう。

 産地で変わるメルロワインの魅力 

メルロの特徴が理解できたところで、次は産地ごとに変わる特徴を見ていきましょう。今回はメルロの個性がよく光る産地として注目の「フランス」「アメリカ」「イタリア」をご紹介します。

フランス
メルロ原産国のフランスでは、ボルドーを中心に低価格帯から高価格帯まで見事に変貌するポテンシャルの高さを持っています。フランスのワインは、大西洋に流れ込むジロンド河と、そこから二つに分かれるガロンヌ河、ドルドーニュ河のどちら側に産地が存在するかによって、「左岸」と「右岸」にワインが分けられています。

左岸ではカベルネの補佐役に回ることが多いメルロですが、右岸では主役になることが多く、メルロの真価が発揮されたワインを楽しむことができますよ。このエレガンスさにこそフランスの魅力が詰まっており、“メルロの真髄を堪能できる”点では、右岸に比肩する産地はないといっても過言ではないでしょう。

アメリカ
持ち前の恵まれたテロワールから次々と高品質なワインを世に送り出すアメリカ。ナパ・ヴァレーを中心にタイプは2つに分かれ、一つは他品種を主体にブレンドとしての役割を果たすボルドー左岸タイプ。そしてもう一つが、アメリカの恵まれた環境条件を生かした、メルロ100%の重厚感あふれるフルボディタイプです。後者の場合、基本的な味わいはフランスとは全く異なり、果実味や樽感の主張が強い典型的なアメリカンスタイルが特徴です。特に「バーロウ・ヴィンヤーズ」のメルロなどがその代表例でしょう。ベリーのコンポートやカカオ、ヴァニラにシナモンなどの甘い風味がお好きな方は、ぜひアメリカのメルロを選んでくださいね。

イタリア
フランスのエレガンスさとアメリカのボリューム感をちょうど良く足し合わせた味わいが期待できるのがイタリアです。イタリア中部のトスカーナを舞台にカベルネ・ソーヴィニョンやメルロ主体で造られるスタイルと、地元品種であるサンジョベーゼとブレンドするスタイルの2つが存在します。前者の場合、高価格のものでは限りなくボルドーのグランヴァンに近い仕上がりにも関わらず価格が抑えめな点が魅力。しかし、本当におすすめしたいのは後者のスタイル!サンジョベーゼとメルロの相性は最高で、王道のカベルネとメルロの組み合わせを凌ぐポテンシャルの高さを感じさせます。

サンジョベーゼの力強いストラクチャーをメルロが丸く包み込むので味わいの奥深さが何倍にも増して感じられるでしょう。ボルドーっぽさを感じつつもアメリカほどの果実味はいらない!そんな方にイタリアは最高の選択肢です。

 一味ちがう”熟成メルロ”の魅力を語りたい 

メルロの熟成について語るなら、知ってほしいポイントは2つ。それが、「単一」と「ブレンド」です。単一とは、文字通り一つの品種のみで造られたワインのこと。ブレンドとは、2品種以上のブドウが使用されたワインを指します。

メルロ単一かブレンドでもほとんどの割合をメルロが占める場合、実に官能的な風味が形成されます。ベリーの果実味はドライフルーツとなり、深いアロマが特徴です。次にブレンドとしての側面でも、メルロの熟成に一役買います。ボルドーブレンドがそのいい例で、主役のカベルネ・ソーヴィニョンが熟成を促進する効果があります。メルロはカベルネと比べてタンニンや酸量が少ないので、ブレンドすることで熟成が進みやすくなります。品種単体でも主役を張れつつ、補佐役にも回れる、知れば知るほどいぶし銀な品種です!

 メルロ主体のワインと合う料理 

メルロワインは単体で飲んでももちろん美味しいですが、そのまろやかな味わいゆえ料理にも合わせやすいのも魅力です。そこで、おすすめ料理をご紹介。

煮込み料理
メルロはまろやかな口当たりとふくよかな果実味が魅力のため、煮込み料理のようなほっこりする料理とは無類の相性を見せてくれます。赤身肉との相性が一番よいですが、豚肉や鶏肉などの白身肉でももちろんOK。ここで大事なのは、その他の食材や味付けです。メルロワインの持つ風味とのマリアージュを楽しむため、煮込みにもキノコやオリーブを入れ、タイムやローズマリー、オレガノなどのハーブを効かせることで両者の風味が一段と引き立て合うでしょう。産地は、ハーブ感やオリーブ感が出やすいフランスやイタリアのメルロもよいですが、ビーフシチューや角煮のような濃厚なメニューの場合は、重厚感があるアメリカのメルロがおすすめです。

肉料理

メルロは肉料理との相性が抜群。しかし、ただ焼いたお肉に合わせるだけではなく、今回はもう少しレベルを上げたアレンジをしてみましょう。おすすめは、「ビーフステーキ × タプナードソース」。タプナードソースとは、オリーブ、アンチョビ、ニンニクをみじん切りにした南フランス発祥のソースで、これがメルロで感じられるブラックオリーブの風味と見事に調和してくれます!赤ワイン×ステーキという定番ペアリングから、ワンランク上のメルロペアリングをぜひお楽しみください。おすすめは、オリーブ香がより顕著に出やすいフランスとイタリアのメルロです。

デザート

「デザートはいくらメルロでも活躍できないのでは?」と諦めるのはまだ早い!メルロは、チョコレートと抹茶にもぴったりなんですよ。赤ワイン特有の苦味や渋みはチョコや抹茶と調和するため相性最高。注意点として、ワインの苦味や渋味に合わせるためチョコはダークチョコレート(カカオマスが40〜60%以上あり乳製品が入っていない)に限るということ。でなければ、両者の要素が相反するため、甘口ワインの方がペアリングとしての完成度は高まります。

 【当店のおすすめ】メルロ主体のワイン 

ワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBより、メルロ主体のおすすめワインをご紹介!

 レッチャイア メルロ(メルロ100%) 
イタリアワインの中でも人気が高く、最高級品という呼び声も高い「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」。そのワインを生むトスカーナ州のモンタルチーノという土地にワイナリーを構えながら、ワイン造りのモットーは「お値打ちな極上ワインを造る」という消費者にとっては非常にありがたい生産者がこのレッチャイアです。このワインはそのモンタルチーノから少し南に外れた、温暖なエリアで造られているメルロで、ワイルドベリーやスパイスの力強く豊かなアロマを持ち、品種の一番の良さである柔らかく肉厚な果実が楽しめます。  レシャトー・ド・ブレイザック ボルドー(メルロ100%) 
エレガントでクラシカルなボルドーワインのスタイル。実にしなやかで優しい、まさに「飲みやすい」という言葉を冠するにふさわしいワインです。赤ワインが得意でない方にでも、自信を持って「これなら飲みやすいから大丈夫ですよ!」とおすすめできます。お料理も何でも合わせやすいですから、ご自宅の定番ワインとしてストックしておいて戴ければ、料理との相性を気にしなくてもこれを開ければ大丈夫。

トータス・クリーク メルロ(メルロ80%) 
メルロの甘やかなで膨らみのある果実感に、補助3品種によるボディ感や瑞々しい酸が加わった明るいスタイルの1本です。カシスやブラックチェリーの黒系7:ラズベリーやクランベリーの赤系3くらいのイメージバランス。フルーツは凝縮度が高いながら、ジャム的に感じる一歩手前くらい。そこに黒胡椒やナツメグ、リコリスといったハーブ&スパイスの薫り高さが加わります。鼻の奥にスッと抜けるような感覚が心地よいアロマでした。味わいは果物の甘みたっぷりにまろやかなタンニン、真ん中にフレッシュな酸が1本筋。軽やかで明るいスタイルなのに、最後にはしっかりと飲みごたえを残してくれる味わい満足度・コスパ共にの高い1本です。

ライター紹介:田中 純平 (Junpei Tanaka)

J.S.A認定ソムリエ、ワインエキスパート
J.S.A認定SAKE DIPLOMA
WSET Level3

大学時代のスペイン留学中にワインの魅力に囚われ、帰国後はスペイン語とワインの二足の草鞋を決意。在学中にヴィノスやまざきでインターンを経験し、同年にワイン関連の資格を諸々取得する。卒業後はフリーランスとして独立し、スペイン語レッスンや(株)楽天グループの翻訳担当を経て人気ソムリエが監修を務めるお酒のウェブメディアや西日本新聞社運営の焼酎メディアにて監修ライターを務める。現在は副業にて、ワインD2C会社であるHomewineに携わり、ワインに関する相談にお答えするソムリエコンシェルジュサービスを担当中。

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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