フランスワインの魅力とは?~ソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方~
- 2024.01.05
- おすすめワイン
ボルドー5大シャトーやペトリュス、ロマネ・コンティなど、誰もが羨む高級銘柄を数多く生み出すフランスワイン。一度は名前を聞いたことがあるあの銘柄も、「実はフランスワインなのかも?」と思うほど、名だたる愛好家から愛されるワインを生みだすフランスですが、フランスワインはなぜこんなにも素晴らしいワインを輩出し続けているのでしょうか。
それには、フランスの歴史が大きく関係しています。そこで今回は、フランスワインの美味さの”ルーツ”をお届け。そのうえで、ぜひとも味わっていただきたい「ソムリエおすすめの格付け別銘柄」もご紹介!
目次
フランスワインはなぜ人気?
フランスワインが人気を誇る理由は、「フランスの歴史」と「投資家からの支持」が大きく影響しています。
1. 産地と品質を守る法律を完備したから
シャブリと聞けば「シャルドネ100%のワイン」だと分かったり、シャンパンと聞いて「高級なスパークリングワイン」だとわかるのは、産地や品質を守るワインの法律が完備されているからです。そのきっかけとなったのが、ワイン史を語る上で切っても切り離せない19世紀後半のフランスで起きた「フィロキセラ事件」。フィロキセラといわれる害虫が大量発生し、ブドウ樹を食い荒らしたことでワイン生産が中断されるまでに追い詰められました。
事態が収束した後も、世界恐慌により経済が悪化したフランスでは、粗悪なワインが出回るようになり、フランスのワイン産業は大きな影を落とすことになります。そこでフランス政府が制定したのが、「A.O.C法(現A.O.P法)」でした。A.O.C法とは、栽培から醸造までのルールをより厳格に細かく規定した法律のこと。これによりワインはその土地の個性を忠実に反映し、産地ごとのブランド化が進むようになりました。
2. 投資家からの人気が高いから
金、原油、絵画と並ぶコモディティ投資の一つとしてもワインは注目を集めており、なかでもフランスワインの投資的人気は昔から衰えません。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(D.R.C)の代表銘柄であるロマネ・コンティや5大シャトー、大手メゾンのシャンパン銘柄など、一部の高級フランスワインはその他投資商品を凌ぐリターンを記録し、投資家を魅了し続けています。
これら2つの理由により、高品質なフランスワインは今もなお人気を集めているのです。
フランスワインの格付けとは
フランスのワイン法に基づいて作られたのがこの「格付け」制度です。フランスワインの格付けは「フランス全体の格付け」と「各地域ごとの格付け」に分けられおり、この格付けを理解すれば、価格と品質のバランスがとれた自分好みのワインを選びやすくなります。まずはベースとなるフランスワイン全体の格付けからみていきましょう。
フランスでは「AOP法」と呼ばれるワイン法に基づき、品質基準を分ける3つのクラスがあります。トップから順に、「AOP」「IGP」「Vin de Table」と呼ばれており、日本国内に輸入されているほぼ全てのワインは「AOP」に該当します。
次に、このワイン法に付随して地域別にも格付けが設けられています。これがワインを難解なものにしているといっても過言ではなく、その代表例がボルドーとブルゴーニュです。両産地の特徴は後述しますが、格付け全てに共通するのは、等級が上がるほど品質と希少性が増し高級品になること。「今夜は外さないワインを選びたい」「ワイン好きの人に何を贈れば良いか分からない」など、ワイン選びで困ったら格付けを軸に選んでみてはいかがでしょうか。
【格付け別】ソムリエが選ぶおすすめ銘柄一覧
フランスワインの全体像を理解したところで、次は格付け別のおすすめ銘柄をご紹介していきます。しかし格付け別とはいえ、全てを紹介するには数が膨大…。そこで今回はソムリエ厳選として「ボルドー格付け1〜3級」、「ブルゴーニュの1級〜特級」に絞り、その代表銘柄をご紹介!
【1〜3級】ボルドーワインのおすすめ銘柄
ボルドーワインの格付けシャトーは全部で61シャトー。等級は1〜5級あり、中でもトップの1級に君臨する5つのシャトーは「5大シャトー」の愛称で親しまれる、世界でも人気の高い品々です。
【1級】シャトー・マルゴー
5つある1級シャトーの中でシャトー・マルゴーを選んだのは、厳格なボルドーワインが多い中で言葉にならない圧倒的な妖艶さとエレガンスさを秘めた「ワインの女王」だからです。ワインにまつわるエピソードが多いのもこのワインの特徴で、かの大文豪ヘミングウェイがマルゴーを愛するあまり孫娘に「マーゴ(マルゴーの英語読み)」とつけたことは有名な話。”シャトー・マルゴーのように女性らしく魅力的に育つように”という彼の思いも、マルゴーの味わいを知るとよく分かる気がします。
そんな圧巻の風格を備えたシャトー・マルゴーには、料理もフレンチのメインの定番である「ロッシーニ」がおすすめです。フォアグラの脂身と質感にワインの洗練されたテクスチャーが見事に調和します。ワインの熟成がやや進んでいる場合には、トリュフの官能的な風味とも一段と寄り添ってくれるはずです。
【2級】レオヴィル・ラス・カーズ
ボルドー格付けシャトーには限りなく1級に近いと称されるワインがいくつかあり、それらは「スーパーセカンド」と呼ばれ親しまれています。そのうちの一つがこのシャトー。2級の中では圧巻のクオリティで、1級には限りなく近い味わいを誇ることで知られています。ブラックベリーに凝縮感のあるカシス、フレッシュハーブの典型的なボルドーの味わい。サン・ジュリアン村らしい繊細さと優美さが集約された、熟成能力も1級並の力を秘めています。
そこで合わせる料理といえば、しっかりした肉料理がおすすめです。なかでもラム肉のローストがおすすめで、このワインのように骨格のしっかりしたクラシカルな王道ボルドーワインとは無類の相性を見せてくれます。
【3級】シャトー・パルメ
シャトー・マルゴーに次ぐ名実を誇る、3級トップクラスの人気シャトーです。フィラディスでは、バックヴィンテージもご用意しています。味わいはシャトー・マルゴーを彷彿とさせる、香り高さとエレガンスさを備えつつ、1995年はカベルネ・ソーヴィニョンの比率を高めたストラクチャーと密度の濃さが特徴的。長い眠りから目覚め、まさに今が飲み頃に差し掛かった極上の逸品です。
そんな上質なボルドーワインには、贅沢に鰻の蒲焼きを合わせてみてはいかがでしょうか。実は、ボルドーは鰻の名産地で、現地ではコクのあるボルドーワインで煮込む「鰻の赤ワイン煮込み」が名物です。それを日本風にアレンジしたのが「鰻の蒲焼き」。タレの甘さと蒲焼きの香ばしさがボルドーワインの果実の凝縮感と樽由来のロースト香と見事にマッチします。
【特級〜1級】ブルゴーニュワインのおすすめ銘柄
ブルゴーニュはボルドーの格付けとは異なり、シャトーごとの等級はなく、「AOP」の産地名が狭くなるほど格付けが上がる仕組みです。ピラミッドの頂点から「特級(グラン・クリュ)」「一級(プルミエ・クリュ)」「村名」「地方名(広域とも呼ばれる)」で構成されています。
【特級】ドメーヌ・ラモネ バタールモンラッシェ
ブルゴーニュ最高峰ドメーヌの一角であり、ワインラバー垂涎の品々を世に輩出しているドメーヌ・ラモネ。今回ご紹介の2009年はようやく飲み頃へと突入した段階で、まさに今ようやくその真価を発揮している一品です。熟れたりんごや洋梨を包み込む、芳醇なバタークリームやヴァニラにヘーゼルナッツのニュアンスで、産地特有の引き締まった酸や底知れぬミネラルに、特級クラスの威厳と気品が感じ取れます。
ここで合わせたいのはポルチーニのクリームパスタ。クリームパスタ自体が樽熟成シャルドネとの相性が良く、ポルチーニのように一段と複雑みが増したものにはワインの風格も大切です。パスタとワインに共通するクリーミーなテクスチャーと風味が相乗効果で折り重なるペアリングがお楽しみいただけます。
【1級】フィサン ルージュ・プルミエ・クリュ・クロ・ド・ラ・ペリエール
ブルゴーニュの隠れ銘醸地であるフィサン。その中で古くから名実ともにトップ生産者として知られているのがこのドメーヌ・ジョリエです。このワインは、フィサンの一級畑”クロ・ド・ラ・ペリエール”から造られる一品で、この畑は特級を有さないフィサンの中で、今最も高い評価を受けている区画の一つであり、近い将来、特級に昇格するであろうと噂されているほど!100%全房発効による堅牢なストラクチャーと複雑性を備え、華開けばジュヴレ・シャンベルタンの特級畑にも比肩するほどのポテンシャルを秘めています。
ピノ・ノワールに合わせる料理は、ブルゴーニュの郷土料理にちなみ、「鶏肉の赤ワイン煮込み」がおすすめ。ボルドーほど重たすぎないピノ・ノワールの質感は、肉の中では特に鶏肉が相性抜群。料理の酸味とワインの酸味が見事に調和する、冬にぴったりのペアリングです。
【当店のおすすめ】フランスのワイン
フランスのワインには、各地方のもつ多彩な魅力があります。その魅力の秘密を少しのぞくと、これまでと少し違ったワインの味わいを楽しめます。今回はそれぞれの地方のワインがもつ魅力の扉をひらくようなワインをセレクト!
ライター紹介:田中 純平 (Junpei Tanaka)
J.S.A認定ソムリエ、ワインエキスパート
J.S.A認定SAKE DIPLOMA
WSET Level3
大学時代のスペイン留学中にワインの魅力に囚われ、帰国後はスペイン語とワインの二足の草鞋を決意。在学中にヴィノスやまざきでインターンを経験し、同年にワイン関連の資格を諸々取得する。卒業後はフリーランスとして独立し、スペイン語レッスンや(株)楽天グループの翻訳担当を経て人気ソムリエが監修を務めるお酒のウェブメディアや西日本新聞社運営の焼酎メディアにて監修ライターを務める。現在は副業にて、ワインD2C会社であるHomewineに携わり、ワインに関する相談にお答えするソムリエコンシェルジュサービスを担当中。
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