ワインボキャブラ天国【第54回】「煙のような、燻したような(スモーキーな)」英:smoky 仏:fume
- 2020.10.03
- ワインボキャブラ天国
- ソーヴィニヨン・ブラン, フランス, ブルゴーニュ, ペアリング, 樽, 熟成, 生産者, 発酵, 香り
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「煙のような、燻したような(スモーキーな)」
英:smoky 仏:fume (*最後のeに右上がりのアクセント 形容詞:発音は「フュメ」)
「スモーキーな香りのあるワイン」という表現、時々耳にしますよね。
この独特な香りが生じるのは大きく分けると、
・土壌に含まれるミネラルに由来する香り
・発酵・熟成に使用する樽材の香りに由来する香り
・熟成によってさまざまな香り要素が複合・発展したことで感じる煙のニュアンス
になるかと思います。
例えば仏ロワール地方内陸の産地「プイィ・フュメ」で造られるソーヴィニヨン・ブラン100%のワインはその名の通り燻したような香りが特徴。
これはプイィ・フュメの土壌に「火打石」の成分であるシレックス=ケイ酸塩が含まれているため、ブドウ果汁を通じてワインにそのニュアンスが残ったもの、と考えられています。
実際にこのワインの香りを嗅いでみると、煙で燻した時のような香りがほのかに。
グレープフルーツなどのフレッシュな柑橘類の香りに複雑性のアクセントを加えています。
ただこの「火打石の香り」はワイン表現で良く出てきますが、今どき火打石を実際に使用したことのある人は少ないですよね。
僕は産地を訪れた際に畑で実際に石と石をぶつけあってこの香りを体感する機会に恵まれました。
皆さんもブルゴーニュやロワールなど、火打石の成分を土壌に含む産地を訪れた際には、是非畑の石を拾って「火打石体験」してみてください。
さて、もうひとつのスモーキー香、樽に由来するものは、樽材内側、ワインに接する側にローストを強く入れた樽で熟成させたワインに見つかるもの。
木材が軽く焦げたような、ビターなニュアンスとして伝わってきます。
こちらのほうが「燻製」のニュアンスとして分かりやすく見つけられるかと思います。
燻製香のあるワインは、やはり燻製した食材とのニュアンスもなかなか。
もしも初めて開けたワインに燻したような香りを見つけたら、例えばソーセージやスモークチーズなど、自宅にある手軽な燻製食品を合わせてペアリングを試してみるのも面白と思いますよ。
ということで本日はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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