ワインボキャブラ天国【第72回】「グレープフルーツ」英:grapefruit 仏:pamplemousse
- 2021.03.06
- ワインボキャブラ天国
- フランス, 生産者
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「グレープフルーツ」
英:grapefruit
仏:pamplemousse (男性名詞:発音は「パンプルムゥッス」)
これまでにもご紹介してきましたが、フレッシュな白ワインに使う香り表現としてはやはり「柑橘系フルーツ」がその代表です。
レモン、グレープフルーツ、ライム、柚子、カボス・・大きいものから小さいものまで、様々な柑橘類が表現に使われます。
柑橘類のニュアンスを感じるワインは、やや緑がかった黄色のワインが中心。
みずみずしくフレッシュな果実の印象は、そのまま外観にもきちんと表れているわけですね
ワインに見つかる柑橘類のイメージは、どのフルーツの印象か識別しやすいことが比較的多いですが、グレープフルーツの香りが特徴的に感じられるワインの代表格と言えばやはり「ソーヴィニヨン・ブラン」種を使用したワイン、特にこの品種単一で造られるフランス・ロワール地方(「サンセール」「ヴァランセ」「トゥーレーヌ」など)、ニュージーランド産のものが挙げられます。
実はこれらの産地のソーヴィニヨン・ブランをグレープフルーツで表現することは、単なる「喩え」では終わりません。
グレープフルーツと全く同じ香気成分が、ソーヴィニヨン・ブラン100%白ワインの中に見つかったという研究結果があります。
これまで似た香りのイメージだと思っていたものが、本当に同じ香り成分だったとは・・・僕もこれを知ったときには本当に驚きました。
ブドウから出来たお酒が、発酵と熟成によりグレープフルーツそのものの香りになる・・・ほんとうに不思議なことですが、これも発酵・熟成などに由来するワイン造りの神秘の一つですね。
(*具体的に言うと揮発性チオール化合物「3-メルカプトヘキサン-1-オール」などの香気成分だそうです。僕は専門家ではありませんので、詳しく調べてみたい方はこの物質名で検索してみてください!)
ソーヴィニヨン・ブラン100%ワインの香りはグレープフルーツと同じ香り成分なわけですから、見つけられる方がとても多いはず。
実際に試してみれば、すぐに納得するはずですよ。
例えばこんなワインで、香りを試してみてください!
『ル・クロー・ドローム(ドメーヌ・マンシャン) ヴァランセ・ブラン』
フランス / ロワール地方ヴァランセ産白ワイン
山羊の乳のチーズ「ピラミッド」でも知られるヴァランセ村はロワール川の中流域、フランスのちょうど真ん中あたりに位置しているソーヴィニヨン・ブランの名産地。
お刺身やお寿司等新鮮な魚介類にもよし、この地域名物の山羊のチーズの料理にもよし。
家庭で作るごく普通の料理も、「ヴァランセ」があればフランス料理に早変わりしますよ!
『ヴィルボワ・フルニエ バロン・ド・マムール・トゥーレーヌ・ソーヴィニヨン・ブラン』
フランス / ロワール地方トゥーレーヌ産白ワイン
「これぞソーヴィニヨン・ブラン!」と言わんばかりの、柑橘類的ニュアンスがぎゅうぎゅうに詰まった1本。
グレープフルーツ、レモン、夏みかん、そこにパッションフルーツやフレッシュなキウイ、ミントのような印象。
トゥーレーヌのソーヴィニヨンは酸も果実味もとても柔らかく優しいので、「ドライな辛口」という印象よりも「フレッシュ&フルーティ」が勝るスタイルです。
白ワインに爽快感・リフレッシュ感を求めるのなら、これがまさにど真ん中、という1本でした。
是非、色々な食事に合わせてお楽しみください!
『ドメーヌ・ド・テール・ブランシュ サンセール』
フランス / ロワール産白ワイン
「ミネラルの求道者」、ドメーヌ・ド・テール・ブランシュのフラッグシップ・キュヴェ「サンセール」。
フレッシュなハーブ、シトラス、白い果実の瑞々しい香り。
大きく広がりのある味わいには、複数の区画がもたらす様々なエッセンスがバランスよくちりばめられています。
日本人の繊細な味覚にジャストフィットする優美なスタイルのサンセール、是非とも和食に合わせてお楽しみください!
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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