ワインボキャブラ天国【第137回】「力強い/パワフルな」 英:powerful 仏:puissant

ワインボキャブラ天国【第137回】「力強い/パワフルな」 英:powerful    仏:puissant

連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!

取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!

ということで今回ご紹介する言葉は・・・

「力強い/パワフルな」
英:powerful 仏:puissant(形容詞:発音は「ピュイッソン」)

「強い=Strong」と「力強い=Powerful」の違い

第137回は久しぶりにワインの香味表現をする際に使用するワード、「力強い/パワフルな」を取り上げてみたいと思います。
以前第50回に「強い(英:strong/仏:fort)」という用語を紹介したときにも書いたのですが、日本語のニュアンスとしてはあまり違いが感じられないこの2つの言葉、実は英仏語などで使用した場合ニュアンスが大きく変わってきます。

まず「強い」は非常にシンプルに「アルコール度数が強い」という意味合いで使われます。確かに近年人気の高まっているアルコール度数の高い缶チューハイなどに「ストロング○○」なんて名前が付いていますよね。

その一方で今日取り上げたワード「力強い/パワフルな」の場合は主に「渋み成分であるタンニンが豊富に含まれ、口当たりががっしりとして力強い」というニュアンスで使われます。日本語にすると「力」一文字が変わるだけなのですが意外に大きな血合いが生まれるのだ、ということは是非覚えておいてください。

「力強いタンニン」が含まれるワインとは

ワインに含まれるタンニン成分の多い・少ない、つまりワインの「力強さ」は原料ブドウの品種、収穫年の気候、そして生産者の考え方や製法に由来します。
例えばタンニン成分の豊富な品種で最も代表的なものはカベルネ・ソーヴィニヨン種、この品種はもともと果皮が厚いため色素アントシアニンやタンニン分を豊富に含んでいます。
その品種が非常に暑く日照に恵まれた年に栽培された場合は更に含有量が増加しますし、更にワインを造る仕込みの段階で生産者が「このワインはとにかく飲みごたえのあるパワフルなスタイルにしたい!」とタンニン分の「抽出」を強くした場合にはさらにその度合いが高まるという次第です。

但しこの抽出にも加減というものが非常に大事で…いくら力強いワインにしたくとも果皮成分を搾り取れるだけ絞り取ろうとしてしまうと、今度は渋みが過剰になりとても飲めたものでは無いワインが出来上がってしまいます。この「渋みが過剰で、バランスの悪いワイン」を表現する言葉については、何回か先にご紹介したいと思います!

ということで今回は短めですが「ボキャブラ天国」これにて終了。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!

【今回紹介の用語「力強い/パワフルな」に関連したその他のコラム】

ワインボキャブラ天国【第50回】「強い」英:strong  仏:fort

ワインボキャブラ天国【第103回】「抽出」英:extraction 仏:extraction

ワインボキャブラ天国【第82回】「タンニン」英:tannin 仏:tanin

ワインボキャブラ天国【第134回】「ポリフェノール」 英:polyphenol 仏:polyphenol

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