今月のおすすめワイン本【2021年2月】遅ればせながら『神の雫』シリーズ完結に寄せて

今月のおすすめワイン本【2021年2月】遅ればせながら『神の雫』シリーズ完結に寄せて

読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本を毎月1冊ご紹介する『今月のおすすめワイン本』コーナーですが、今月はちょっと番外編。遂に完結を迎えました『神の雫』シリーズについて書きたいと思います。
最後の『神の雫』は一体どのワインだったのか・・・など重要なネタバレをしないよう、慎重に書きますね。
この作品を愛読していた方、そしてまだ読んでいないけど興味がある・・という方はお時間あったらお付き合いください!

2004年11月に講談社モーニングにて連載のスタートしたこの作品、それ以前に話題となった『ソムリエ(稲垣吾郎さん主演でドラマになりましたよね)』や『瞬のワイン』などに続くワイン漫画として連載当初から大きな話題となりました。
内容について詳しくは触れませんが、世界的なワイン評論家神崎豊多香を父に持つ主人公 神崎 雫が、父の遺した莫大な価値のあるワイン遺産を巡りライバル遠峰 一青と対決するバトル漫画的な要素もあり、一般的なグルメうんちく漫画とは違った熱い盛り上がり展開も(若干『美味しんぼ』と似ていますけどね)。
選ばれし「12本のワイン使徒」とその頂点に立つ「神の雫」が何なのかが、ワイン会などの話題になったこともあるかと思います。

連載から10年、2014年にコミックス44巻で一旦終了した『神の雫』はその後すぐに最終章シリーズに突入。
『マリアージュ 神の雫最終章』にて最後の1本を巡る長い物語がはじまり、なんとそこから更に26冊もの単行本を経て合計70冊で遂に完結を迎えたわけです。その間、2009年にはKAT-TUNの亀梨和也さん主演でドラマ化されたこともありました。

連載期間は1年の休止期間を抜いてもなんと15年にも及び、作中では『使徒』以外でもカジュアルワインから希少ワインまで非常にたくさんのワインが紹介されています。
このメールマガジンでも折に触れて紹介してきたように、Firadisが日本国内代理店を務める生産者も結構いろいろ取り上げられました。例えば『トラミン』や『ドメーヌ・デ・リズ』『シャトー・クリネ』など、豊かなワイン表現とユニークなマリアージュ例が紹介され、掲載時にはお客様からたくさんお問い合わせをいただいた記憶があります。
(*なお、この作品でお勧めされているワインの紹介はメーカーやインポーターがお金を払って載せてもらっているタイアップ広告に過ぎない・・という噂がありますが、フィラディスの取り扱いワインに関する限りそれは全くありません。雑誌に掲載されているのを見て初めて「あ、載ったんだ」と知る感じです。事前の掲載打診などもありませんでした。)

僕個人としては連載当初主人公の設定と同じビール会社のワイン事業部に勤務しておりまして、その仕事ぶりに「ビール会社のワイン部はこんなに暇で自由じゃないって!」と突っ込みを入れながらも共感しつつ読んでおりました。もちろん僕の父は世界的なワイン評論家でもなければ莫大なワイン遺産もないですけどね。

正直、この作品には功罪色々あると思います。
ワインに対するコメントを、心に浮かぶ風景や音楽・絵画などに喩えることで詩的にかつロマンティック過ぎるほどの過剰な表現をしたことで一部の人は「ワインってやっぱりこういう気取ったものなのか・・・」と思ってしまったかもしれません。
また、ワインは銘柄を当てることが重要でプロのソムリエなら香りを嗅いで一口飲んだだけでそのワインの銘柄や収穫年までを特定できる・・・という非現実的な超能力を描いてしまったことで、「プロは目隠しで何のワインか簡単に当てられるんでしょ」なんて言われてしまったソムリエ・サービスマンも少なくないのでは 笑

それでも、本当に価値のある歴史的モニュメント級のワインを一般に広く紹介したり、ワインと料理のペアリングについて和食や中華、エスニックまで幅広くチャレンジしていくエピソードを様々掲載したりと、ワインの気軽な楽しみの段階から奥深い探求のレベルまで描いてくれたことで、この作品を通じてワイン好きになった方・ワインを趣味としてもっと深めたいと思った方、そしてプロを志そうと思った方は数多く存在すると思います。
お隣の韓国やフランスでも大人気だったようで、僕も海外の同業者と話した時によく話題になりました。

70巻の膨大なヴォリューム、正直今から読み始めるとなると尻込みしてしまう方も多いかとは思います。
ですが、ワイン好きの方ならお試しで1巻を読み始めたらあっという間にどんどん読みたくなってしまうんじゃないでしょうか。
有名なワインが次々と出てくるので「次はこの産地のこの辺を飲んでみようかな」と興味も広がりますし、12本の『ワイン使徒』を前に「テイスティングコメント」という言葉の記述だけで勝負を重ねていく様はシンプルに胸が熱くなります。
・・・僕はどちらかというと「すごい表現と語彙だけど、お店で紹介するときはこういう表現はしないようにしよう」という逆の方向で参考にしていましたが 笑

今回最終の結末を見て何よりも驚いたのはなんとも「あしたのジョー」的な展開(どういうことかは読んで頂ければすぐに分かります)!!
最後までバトル漫画的なフックの効いた面白さと勢いを貫いて終わってくれた、素晴らしい結末でした。
2人の主人公の長い物語を途中で止まらせず、最後まで描き切ってくれたことに心から感謝。
近い将来、『神の雫』シリーズを超える新たなワイン漫画が生まれ、その作品をきっかけにワインを愛する人が増えていくことを願ってやみません。

原作者の亜樹直先生、作画のオカモトシユウ先生、長い間本当にお疲れさまでした!

*『神の雫』シリーズ詳細については版元の講談社さんのページをご参照ください。
↓↓↓
http://morning.moae.jp/lineup/12 

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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