ワインボキャブラ天国【第92回】「スミレの花」英:violet 仏:violette
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「スミレの花」
英:violet
仏:violette (女性名詞 発音は「ヴィオレット」)
今回ご紹介するワイン表現ボキャブラリーは『スミレの花』。
フローラルな赤ワインの香りを表現する言葉として、薔薇の花と併せて使用されることも多いです。
一方で、花の印象がありながら、香りが強く派手な主張を感じさせる薔薇の花よりもすこし控えめで可憐なイメージのワインを表現する際に、この言葉を選び取ると良いかと思います。
スミレの花の香りが見つかる代表的なワインは薔薇の花と同系統、たとえばコート・デュ・ローヌ北部のシラー種主体のワインや、イタリア ピエモンテ州のネッビオーロ種を使用したワインのヴィンテージが若いもの、ブルゴーニュのピノ・ノワールでしたら手頃な価格帯のものなど、が挙げられます。
「薔薇の花」の項目では、咲いているところなのかドライフラワーなのか、イメージする色合いは・・などの補足表現を付けるとよりワインのイメージが伝わりやすいですよ、というご提案をしましたが、スミレはあまり花の「状態」にまで言及する必要は無いかな、と思います。ワインが若い時、控えめだけどフローラルな時・・・など、スミレの花自体の小さく可愛いイメージが連想されるな、というときに使ってみると良いのでは。
さて、それではこのコラム恒例の「スミレの花豆知識」、いってみましょう(やはり毎回ここを調べているときが一番楽しいです)。
スミレはスミレ科スミレ属に分類される多年草で、3月から5月頃に割く春の花。日本、中国、朝鮮半島などが原産だそうです。
日本でいわゆる「スミレ」と言われる花は『viola mandshurica=ヴィオラ・マンジュリカ(満州のスミレ、の意)』で、『マンジュリカ』とだけ呼ばれることもあるとのこと。ちなみに「スミレ」の由来はその花の形が「墨入れ」に似ていることから・・・という説もあるようですが諸説あり、定かではありません。
春らしい爽やかで薫り高いワインに出会ったら、この表現を思い出してみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
*スミレの花の香りなんて分からない・・・という方は、ホームセンターや100円ショップで種が売っていますので是非育ててみては。ちなみにタキイ種苗さんのネット通販では、苗で60種類を超える品種のスミレが販売されていましたよ。こんなに種類があるとは、知りませんでした。香りサンプルの確保用に、僕はこちらから苗を買ってみることにします!
↓↓↓
https://shop.takii.co.jp/selection/assort1910_04.html
-
前の記事
ワインボキャブラ天国【第91回】「ヴィロードのように滑らかな」 英:velvety 仏:veloute 2021.08.14
-
次の記事
ワインボキャブラ天国【第93回】「生き生きした」英:alive 仏:vivant 2021.08.28