ワインボキャブラ天国【第162回】「ヴィニュロン」 英:winegrower 仏:vigneron
- 2023.02.26
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ヴィニュロン」
英:winegrower
仏:vigneron(男性名詞)
最近は「生産者」「造り手」をこう呼ぶ人も増えてきました。
今回ご紹介する言葉は『Vigneron(ヴィニュロン)』、前回第161回で紹介した『Vigne(ブドウの樹)』という言葉の末尾に「ron」が付き「ブドウを栽培する農家」を意味しています。
元々は「栽培家」という意味合いの強い言葉だったものと思われますが、現在はいわゆる「栽培醸造家」=ブドウ栽培からワイン醸造までを一貫して手掛けるワイン生産者、という意味合いで使われることが多くなっています。フランス語では同じ意味の単語に「viticulteur(ヴィティクルチュール)」という言葉もありますが、こちらはどちらかというと現在も「栽培農家」だけのニュアンスで使われているような感じがします。
最近はワイン愛好家がこの『ヴィニュロン』という言葉を好んで使うようになってきていまして、フランス人の生産者に対しては「生産者」「造り手」という呼称よりも「ヴィニュロン」を使うことでワイン通っぽい印象を与えることが出来ます。皆さんも是非使ってみてください。
以前よんだ玉村豊男さんのコラムでは・・・
以前玉村豊男さん(作家で、長野県東御市の「ヴィラデストガーデンファーム&ワイナリー」のオーナー)がコラムで、『ヴィニュロン』という言葉はかつてのフランスでは非常に貧しい農民を蔑む、または自虐的に呼ぶような言葉だった、と書いていたのを記憶しています。ブドウを造る人と、ブドウを造らせそれを買い上げてワインを造る人が分かれていた時代のことなのでしょうか。
現代も、基本的にはブドウを栽培する部分を手掛け、収穫した果実はネゴシアン(買いブドウでワインを仕込む大手ワイナリー/ワイン商)に売却し、元詰めをしていない農家も沢山存在しています。一方で近年醸造機器のレンタルやボトリングの代行など様々な業者が増え、これまではワイン造りまでは手掛けていなかった農家も自分で元詰めをしようと考えるようになってきました。この流れが、例えば現在のシャンパーニュにおける「RM(レコルタン・マニピュラン=これも「栽培醸造家」の意味)」の台頭にもつながっているのだと思います。
それにしても、同じ意味なのに色々な言葉があってこんがらがりますよね…分かりにくいな、と思う方は結局シンプルに「生産者」が一番使いやすい言葉だと思います 笑!
ではまず今回はこのへんで・・・今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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