世界のワイン産地を知ろう!!:Firadis WINE GLOBE 第1回
- 2019.08.09
- なるほどのあるワインコラム
- イタリア, カベルネ・ソーヴィニヨン, シャンパーニュ, スパークリングワイン, スペイン, ソムリエ, フランス, ボルドー, ワイナリー, 生産者, 輸入
世界各地に散らばるワイン産地を、1か所ずつ覗いてみるシリーズ、
題して「Firadis WINE GLOBE」のスタートです。
毎回毎回、それぞれ個性的なワインを産み出す国、地域、村などをコラム形式でご紹介していきますよ。
でも、ワイン教本みたいに地図や名前だけを掲載していくつもりはありません。
まだ行ったことのない、それどころか名前も知らないワイン産地がどんな場所なのか、
思い描きながらご自宅でワインを楽しんで戴けるような気軽な内容を、と思っています。
そして、自分の気に入ったワイン産地をいつか実際に訪れて戴ければ嬉しいです。
僕自身、これから毎週各ワイン産地のもっともっと深い情報を調べていくのがとても楽しみです。
それでは、本題です。
今回は第1回、まずは世界地図を目の前に広げて、冒険の道筋を把握するところから始めましょう。
かつての基本は「ワインベルト」。でも今は・・・・?
世界のワイン産地は、気候変動の影響もあり時代とともに変化をしています。
かつては、ワイン用ブドウの栽培に適している国は
『北緯30―50度、または南緯20-40度の間に入っている国』というのがソムリエ試験で覚える数字でした。
これは、その土地の年間平均気温がブドウの生育環境にあるかどうか、が最初の前提となります。
この「ワインベルト」等と呼ばれる緯度帯、
北半球ならばヨーロッパ各国(フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポルトガルやスイス、東欧の国々)、
北アフリカの一部の国々、北米、そして勿論日本列島も丸ごと入っています。
そして、南半球ならばオーストラリアやニュージーランド北島、南米のチリ・アルゼンチン、
南アフリカ共和国などが代表的な産地として入ってきます。
ワイン産地としてパッと思い付くような代表的な国々は、ほぼこの中に入っています。
そして気候変動、特に地球温暖化の影響により、このワインベルトの幅は徐々に広がっています。
以前ならワイン産地として想像も出来なかったような国で、
ブドウの栽培・ワイン醸造が始まり、またその品質もじわじわと向上しつつあります。
まず、これまで気温が低くブドウが完熟しないと言われていた国々、
例えば欧州なら英国や北欧の諸国で、ブドウ栽培が出来るようになりました。
伝統的にワインの大量消費国として名高い英国の南部で栽培されるブドウのクオリティが向上し、
英国産スパークリングワインの一部はシャンパーニュに匹敵するようなレヴェルのものも登場。
英国王室や大使館も、自国のパーティで使用するお酒をシャンパーニュから英国産スパークリングに
積極的に切り替えています。
北欧では、スウェーデンなどでもワイン造りが盛んになってきているそうです。
アジアの国々でもワイン造りが盛んに・・・
そして、僕たちにもっと身近なアジアの国々。
ご存じの通り日本ワインは十分に長い歴史を礎に進化を続け、新進気鋭の自家栽培生産者も増えています。
原料は外国産果汁やワインを使用している名ばかりの「国産ワイン」とは一線を画す
「日本ワイン」というジャンルが完全に確立されました。
中国は経済成長により富裕層に高級ワイン需要が急増、ワイン市場も成熟を始めています。
企業家の中には巨大資本を投じボルドーと同じようなシャトースタイルのワイナリーを国内に建造するものも。
今や生産量だけで見れば、中国は実はドイツを超えて上位10カ国の中に入って来る大産地です。
更に、東南アジアの国々もその成長とともにワイン造りに参入しています。
例えばタイやヴェトナム、インド等の国々も今やワイン産地。
イメージとしては非常に暑そうな国々ですが、山間部は昼夜の寒暖差が激しいエリアもあり、
豊富な日照量を生かしつつ熟度の高いブドウを獲得しています。
タイはカベルネ・ソーヴィニヨンなど伝統品種が中心。
インドでは北米系のジンファンデル種や、
ロワール・南アフリカなどと同じシュナン・ブラン種が栽培されています。
ただ、この気候変動で産地の幅が広がっているのと同時に、
例えばこれまでは冷涼な気候を生かしたスタイルのワインを造っていた産地の気温が上昇し、
南の温かい産地的なスタイルに変化している、というケースもあります。
伝統的に知られてきた「産地のスタイル」は、
ワインの世界地図とともに日々刻々と変貌を遂げていくようです。
それでは第1回はこのあたりで!
今回憶えておいて欲しいのは、かつての「ワイン産地ベルト」と新たな産地の登場、でしょうか。
次回ももう少し、世界のワイン産地を調べてみましょう。
生産量や輸出・輸入量などにもスポットを当てて、
その変遷を追っていきたいと思います。
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