あ、せかんどおぴにおん 第36回「プレモン サン・モン エリタージュ・ルージュ」
『あ、せかんどおぴにおん』第36回
「プレモン サン・モン エリタージュ・ルージュ」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、20代のFiradis WINE CLUBのスタッフ、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されているる商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然そのコメントに同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
36回目にとりあげるのは、フランス・南西地方の赤ワイン。「プレモン サン・モン エリタージュ・ルージュ」です。
いわゆるシュド・ウェスト
今回はフランス語でSud Ouest、つまりは南西地方の赤ワインです。当たり前ですが、フランス全体でみると南西部、ボルドーから川をさかのぼっていき、上流(方角ではボルドーから見て南東)に広がっている地域です。マイナーな地域ながら実は中世頃から品質の高いとして知られていました。しかしながらその品質の高さを知っていたボルドーの人々が、ボルドーワインが売れなくなると困るというので、上流である南西地方のワインは時期を遅くして港に運び込むことを決定。。「奥地のワイン」とさえ揶揄された時代もあったようです。
そういった不遇の時代を超えて、逆に今はお買い得ワインの産地となっています。
この生産者はもともと「手ごろな価格」で「わかりやすい味わい」のワインを探そうと、フランス南西部を訪れて採用が決定しました。
商品コメントにこんな風に書いてある点は重要です。つまり、われわれとしては南西地方のワインを求めに行った、というよりは「手ごろな価格」で「わかりやすい味わい」のワインを探したら、南西地方になっちゃった、というところです。
個性豊かな品種
それらの条件を満たすだけでなく、フランス南西部の魅力的な土着品種を、癖のないきれいなスタイルで(ここが決め手になりました)皆様に楽しんでいただけるのがこの生産者の魅力です。
さらに商品コメントにはこんな風に書いてあります。また、生産者説明の一番下には、こんなコーナーが。
【魅力あふれる土着品種たち】
タナ(Tannat): 濃い紫色。黒い果実のアロマがあり、余韻が非常に長い強烈でパワフルなワインを生み出す。
ピナンク(Pinenc): 再発見された非常に古いブドウ品種。ワインは若いうちはフローラルな香りが強いが、年を重ねるごとにフローラルな香りが和らいでくる。フェールという名前のシノニムがある。
グロ・マンサン(Gros Manseng):名前が似ているがプティ・マンサンとは異なる。凝縮感のある厚い果実味としっかりとした酸がある。
プティ・クルビュ(Petit Courbu): 色の淡い品種。繊細なフローラルなアロマと熟した果実の力強さを兼ね備え、ふくよかで余韻の長い口当たりをもたらす。
アリュフィアック(Arrufiac): 非常に淡い黄色をした品種。軽やかでフレッシュ、フローラルなアロマがあり、比類ないエレガントでしなやかな口当たりをもたらす。
ほとんど聞いたことないですよね。これらの品種は南西地方の中でも、スペインに近いピレネー地区で栽培される土着品種です。このピレネー地区に今回の生産者プレモンは本拠地を構えています。同じピレネー地区にタナという品種で有名なマディランというA.O.C.があります。タナという品種はタンニンという言葉が語源になっているとされるほど、非常に濃い品種です。今回のワインもこのタナを7割も使用しています。
タナ
ちなみにあと南西地方特有で有名な品種といえば、マルベックですかね。マルベックといえばアルゼンチンで最も栽培されている品種でもありますが、南西地方原産です。南西地方でおそらくもっとも有名なカオールというA.O.C.で使われていますね。これもタナと同様に濃い赤ワインを産み出します。
プレモン
そんな土着品種を癖のない綺麗なスタイルで楽しんでいただけるのが、このプレモンという生産者です。南西地方のピレネー地区、サン・モンというA.O.Cの99%を所有!「土着品種の保護、尊重、再発見、プロモーション」そして「この地域のテロワールのアンバサダーとなる」ことをフィロソフィーとして、手ごろな価格でワインを提供しています。先月発売したばかりの新規取り扱い生産者の、1,900円のより手軽な方の赤ワインを今回はテイスティングです。
テイスティング
注目産地サン・モンの魅力を気軽に味わうなら、まずはこちらの赤ワインをお試しください。黒い果実のアロマとややスパイシーなノート。バランスの取れた味わい。ハム、赤身の肉、鶏肉のローストなどに最適です。
現在のコメントはこんな感じです。まずはこちらの赤ワインを楽しんでほしいということですが、実際味わいはどうなのか。
私が感じたのは、名前の割にタンニンを感じない、というところです。
まず大前提としてちょっと矛盾しますが、、タンニンをしっかり感じるワインではあります。それは間違いないんですが、名前ほどは感じない、というところです。名前ほど感じないというのはつまり、70%を構成する品種タナはタンニンを名前の由来しているというところですね。
それはやはり、ワイン全体としてのバランスが見事にとれている、という点にあると思います。バランスとはジューシーな果実と酸とのバランス。非常に甘やかでたっぷりとした果実と涼しげな酸。意外にも、柔らかく飲み心地の良いワインです。
また、タンニンは量が多くともきめ細やかで、これも飲み心地の良さに繋がっています。
香りとしてはコメントには黒系果実とあり、確かにその要素もあるんですが、意外にも赤系果実の要素も。樽の甘い香りも相まって、ラズベリージャムのような甘やかな印象を感じます。またグリーンペッパーのような爽やかでスパイシーな印象も感じます。多様で複雑な要素は、この価格帯としては十分ではないでしょうか。
フィラディスワインクラブに新たに加わった、南西地方のワイン。皆さんも是非お気軽にお試しいただき、デイリーワインの選択肢の一つとして検討してみてください。
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