【ワインのテイスティング】ワインに含まれる酒石酸とは?
今回は「ワインのテイスティングについて」の第4回目。
皆さんは、ボトルの中に赤いガラス片か石のように見える沈殿物を見たことは無いでしょうか。
これも澱と同じようにワインの成分に由来する「酒石(しゅせき)」と呼ばれる物質です。
「酒石」はワインに含まれる「酒石酸(しゅせきさん)」という有機酸に由来する物質。
酒石酸はワインの背骨とも言える酸で、その味わいの骨格を作り上げる重要な味わい成分。
その酸がワイン中のミネラル=カリウムなどと結合し、 キラキラ光る石のようになってワインボトルの底に溜まるのが「酒石」です。
赤ワインの場合、前回紹介したタンニン分や色素成分の塊、つまり「澱」と更に結合することもあり、 その時はワインの底に木の小枝のような形状で沈殿します。
この結晶化して沈殿した酒石は「ワインの宝石」等とも呼ばれ、 酸やミネラルを豊富に含んでいる良いワインの証拠だ、などと言う生産者もいますが、 大きな塊となった酒石は決して見た目の良いものではありません。
何より、口に入るとジャリジャリと細かい砂が入ったようで・・・
そこで一部の大手生産者は、この「酒石」をワインが出荷される前に予め取り除いています。
技術的に最もシンプルなのは、冷却する方法。
酒石は冷えたら結晶化するので、-5℃くらいの温度設定にして1日ちょっと放置しておけば、 結晶化してタンクの下に沈み、これ以上の結晶化を防ぐことが出来ます。
他には、酒石の粉末をワインに更に投入することで、 その粉末を基として結晶化を促進する「コンタクト法」と言われる技法、
電気透析によってイオン除去する方法など、様々な技術が開発されています。
冷却法等は処理に時間を要するので、現在は電気透析が主流だそうです。
でも、ワインの背骨とも呼べる酸を、見た目が悪くなるのを避けるために取り除いて良いのでしょうか?
この処理を実施している生産者は 「酒石酸自体には味が無いので、この処理によってワインの味が落ちることなどは無い」と言いますが、
実際のところはどうなのでしょう?
そのあたりはまだ、残念ながら解明されてはいないようです。
それでは次回からはいよいよ「ワインの外観から、特徴やヴィンテージを推察する」です。
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