ワインボキャブラ天国【第43回】「スパイス・香辛料」(後編)英:spice 仏:epice

ワインボキャブラ天国【第43回】「スパイス・香辛料」(後編)英:spice 仏:epice

連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!

取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!

ということで今回ご紹介する言葉は・・・

「スパイス・香辛料」 
英:spice
仏:epice (*最初のeに右上がりのアクセント 女性名詞:発音は「エピス」)

前回に引き続き、『スパイシーなニュアンスを持つワイン』について、更に深く突っ込んで行きたいと思います。
まずは、前回まとめてみたワイン表現に使用される15の代表的な香辛料をおさらい致しましょう。

【ワイン表現頻出!スパイス系単語】
・胡椒(ブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパー、ピンクペッパー)
・シナモン     ・クローヴ
・ジンジャー    ・カルダモン
・クミン      ・ハッカ
・ナツメグ     ・セージ
・スターアニス   ・コリアンダー
・サフラン     ・タイム
・マスタード    ・ローズマリー

皆さんはこれまでに飲んだワインの中に、どんなスパイスを見つけたことがあるでしょうか。
ご自身がどんな香りや要素を感じたかことがあるかを、思い出しながらこれ以降を読んでいってください。

例えば、この1本のワインを題材にテイスティングコメントを作っていきましょう。
このワインを飲んだことの無い方も
「フランス コート・デュ・ローヌ産でシラー種を100%使用したワイン」
というヒントから、どんなスタイルのワインかある程度は想像できると思います。

皆さんはこれまでに飲んだワインの中に、どんなスパイスを見つけたことがあるでしょうか。
ご自身がどんな香りや要素を感じたかことがあるかを、思い出しながらこれ以降を読んでいってください。

『ドメーヌ・フォン・クローズ コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ キュヴェ・シリュス』
(フランス/コート・デュ・ローヌ産赤ワイン  ブドウ品種:シラー100%
熟成:バリック228L 新樽1/3, 1年樽1/3, 2年樽1/3で12ヶ月熟成後、コンクリートタンクで4ヶ月)

このワインにまず感じ取ってほしいイメージは色が非常に濃いもの”です。
ワイン自体の色も非常に濃く、ちょっと紫色がかった黒、に近い色合い。
こういった赤ワインの場合、まず果物で感じられる香り・味わいのニュアンスが黒系果実のもの、例えばカシスやブルーベリー、ブラックベリー、プラム等です。

基本的にワインの色合いと、感じられる果物のイメージカラーは一緒。
グラスに注がれたワイン、色が結構濃くて黒っぽいなぁ・・・と思ったら、まずは上記のような果物の香りを探してみると、自然と自分でそれらの香りイメージが広がってくるはずです。

逆に、ブルゴーニュの若いワインのように鮮やかな赤色を帯びていたら赤系のフルーツ、例えば苺やサクランボをまずイメージしておき、その上でワインの香りを嗅いで、外観から想像した果物と合っているか、と照合していきます。
これが、ワインを飲んでその感想を言葉にしていく時の基本の流れです。

ただ、ワインはフルーツの印象だけでなく、より複雑で多層的な香り・味わいの構造を持っていることが多いですよね。
例えばこのワインでも、上記のような「カシスやブルーベリー、ブラックチェリーなどの黒っぽい果物色々」をただ混ぜ合わせるだけで、同じ香りを作れるでしょうか??
さすがにそんなに単純な香りではないですよね。

こんな時、どうワインの香り表現を組み立てていけば良いか。
あるワイン教室の先生が、非常に面白い考え方を教えて下さいました。
頭の中で『カクテルを作るときのバーテンダー』になってみる、ということです。
今感じられた果物の要素に、調味料や香料として何か別の要素を足していってこのカクテル=ワインを作り上げるとしたら、どうする??という、たし算方式の考え方です。

このワインは、果実感がたっぷりある中にスッと鼻に抜けるような通りの良い爽快な印象があります。
もし、黒系果実色々を混ぜただけではその香りが再現できないようでしたら、例えば挽きたてのブラックペッパーのような要素を加えてみてはどうでしょうか。
完熟果実の味わいが重くなりすぎず、爽やかに仕上げられそうです。

それ以外にも、少しビターな印象も加えると、ワインのしっかり感が作れるかも。
シナモンを加えてみたらどうだろう・・・というような具合です。
どうですか?段々と、実際に飲んだワインの味わいに近い表現になっていくでしょう?

このように、ワイン表現上の「スパイス/ハーブ」は果物の要素にプラスαで加えられているもの、と考えていくと、テイスティング表現というものが理解しやすくなると思います。
ワイン表現は、一つのワインにガッチリ向き合って掘り出していこうとする程、悩んで迷ってしまうものです。
それよりも「自分がこのワインを作るとしたら、●●と○○を混ぜて、それに何を加えて・・・」という逆算的な考え方をしてみると、案外一つのワインを的確に分解して表現出来るのではないでしょうか。

今回のシリーズのまとめは「ワイン表現をする時には、バーテンダー的発想を持とう!」でした。
これからワインの感想を誰かと話すときや自分で書いておく時、第一印象で感じた果物のイメージに、スパイスやハーブの表現をひとつふたつ加えてみてください。
あなたのワイン表現力が、ぐっと説得力を増すことと思います。

だいぶ長くなりましたが今回はこのへんで・・・
今日、あなたの表現するワインの世界はまた少し広がりました!

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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