ワインボキャブラ天国【第84回】「紅茶」 英:tea 仏:the
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「紅茶」
英:tea
仏:the (*最後のeに右上がりアクセント 男性名詞:発音は「テ」)
茶葉を乾燥・発酵させて作る紅茶は、ワインと同じく発酵食品のひとつ。酵母など微生物による発酵ではなく茶葉自体が含有する酵素による「酸化発酵」ではありますが、ワインの「酸化による熟成」とも共通する要素があることが想像できますよね。
実際に、これまでに紹介した「タバコ」「腐葉土」などと同様、「紅茶」も基本的にはワインの熟成に由来する香り要素。その中でも「紅茶」は、熟成の様々な段階で感じることのできる香りです。幾つかの例をご紹介していきましょう。
まず、お湯を入れて「お茶」の状態にした紅茶。華やかで甘さも感じるこの香りは、ピノ・ノワールから造られる赤ワインなどに見つけることが出来ます。紅茶の色合いとピノ・ノワールのワイン、色合い的にも結構似ていますよね。
その香りの中で更に、紅茶の茶葉の様々なタイプが存在します。スタンダードなダージリンタイプから、ベルガモットのフレーヴァーが付けられたアールグレイタイプ、その他のフルーツフレーヴァードティー(アップル、ピーチ、オレンジなど)のイメージも時に感じるはず。紅茶の香りを表現に使用するときは、一歩進んで具体的なタイプにまで言及するとより香りの伝達力が高まるのではないかと思います。
また、ワインの熟成段階が更に進んだものですと、「お茶」の状態にする前の「乾燥茶葉」の香りが感じられます。これは乾いた感じや発酵によるヨーグルト的なニュアンスも含んでおり、香りの凝縮度をより強く感じるはずです。
そして勿論、お茶の香りは紅茶だけではありません。熟成ワインには烏龍茶やプーアール茶などの中国茶のイメージも良く見つかりますし、白ワインには緑茶やハーブティのニュアンスも。普段の生活でも馴染みのあるお茶、ワイン表現の幅を広げやすいヴォキャブラリーですので、ぜひ活用して欲しいと思います。
お茶の表現探求に凝るあまり、ワインより好きになっちゃうこともあるかもしれませんね 笑
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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