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ワインボキャブラ天国【第140回】「ヴァンダンジュ」 英:wine-harvest 仏:vendange

ワインボキャブラ天国【第140回】「ヴァンダンジュ」 英:wine-harvest  仏:vendange

連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!

取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!

ということで今回ご紹介する言葉は・・・

「ヴァンダンジュ」
英:wine-harvest 仏:vendange(女性名詞:発音は上記の通り「ヴァンダンジュ」)

 

「ヴァンダンジュ」は、一般的な「収穫」とは異なります

今回紹介するワードは『ヴァンダンジュ』、フランス語で収穫を意味する言葉です。
秋が近付くころ、フランスワイン生産者のSNSを見ていると日々様々な地域・造り手から「Vendange !」という興奮した投稿を見ることが出来ます。冬の剪定に始まった1年間の畑仕事、その成果がブドウ果実となって実り、いよいよそれを刈り取る瞬間…その大きな喜びが、この一言に詰まっているのをひしひしと感じるんですよね。

さて、この「ヴァンダンジュ」という言葉ですが、実は「収穫」全般を指してつかう言葉では無く、実は「ワインを造るためのブドウを収穫すること」に限定した意味の言葉です。つまり、同じブドウを収穫する場合でももしそれが生食用のブドウだったらこの言葉は使わず、その作業はブドウ以外の他の作物と同様の「Recolte(レコルト)」という言葉で呼ばれることになります。
そのため『ヴァンダンジュ』を英語に訳す場合は「Harvest」ではなく「Wine-Harvest」と補足的に表現を加える必要があるんですよね(*英語で話している分には「Harvest」だけでも普通に通じます。仏語から訳すときの補足です。)

なお、フランス語では「Vendanger(ヴァンダンジェ)=ワイン用のブドウを摘み取る」という動詞も独立して存在するほど。ブドウの収穫ということがどれだけ特別な意味合いを持っているのかが良く分かります。

収穫作業のいろいろ その①機械による収穫

それでは、『ヴァンダンジュ』=ワイン用ブドウの収穫がどのように行われるのかを簡単にご紹介しましょう。
まずは、機械による収穫です。

広大な畑を持つ大規模生産者で、且つ畑の広がる場所が平地やなだらかな斜面の場合には上の写真のような収穫用トラクターが使用されます。ブドウの収穫は完熟状態の一番ピークのタイミングを見計らって短時間で行う必要があるため、時間のかかる手作業ではとても追いつかない大規模収穫の場合はほぼ機械で収穫が行われます。
ブドウ樹の1列を跨ぐような形でトラクターを走らせ、柔らかな板状のフラップがブドウ果実をパタパタと叩きながら落としていく形で収穫を進めます。
拡大すると以下のような写真ですね。

機械集荷のメリットは、多くの収穫作業員を集めずとも短時間で収穫作業が出来ること。ですが一方で未熟果や過熟果、ボトリティス菌の着いた房など本来は収穫の中に混在させたくない果実も一緒に刈り取られてしまうため、後にそういった不良果実を取り除くための「選果」が必要となります。

『シャトー・パルメ』の選果の様子

上の画像のように、例えばボルドー地方の大手シャトーなどでは生産量の関係から機械収穫を実施していることも多いですが、その分仕込み前の「選果」作業に熟練した職人を採用し、粒単位で選び取るような作業も実施しています。

とは言え、大概の大量生産品は「選果」など実施せずすべて一緒くたに仕込んでしまうのが現実的な話。
莫大な量を造る場合んだから、少しの未熟果など大した影響は無い・・・というのが大抵の大量生産ワイナリーの考えることですが、いやいや、そんな甘いもんじゃないですよ 笑 あなたのとこのワイン、思いっきり未熟果のピーマン香がするじゃない。そもそも収穫のタイミングが、早すぎるんじゃないの???なーんて思うこともしばしばです。

伝統的な手作業による収穫はキツイけど楽しい!

さて、大量生産ワイナリーを責めるのはこのくらいにしておきまして、次は伝統的な手作業による収穫ですね。
冒頭から2枚ほど画像を載せましたが、こちらは季節労働者を大勢雇って1本1本の木から鋏で果実を刈り取るという人海戦術です。ブドウの熟度や状態を見ながら、状態の良い果実だけを選んで摘み取っていきます。不要な果実は木に残すか、勿体ないですが地面に捨てていきます。

上の写真のように、欧州のブドウ樹は大概が低い位置に果実を実らせているため、かがむ又はしゃがんだ状態で刈り取り、1本1本進んでいくという足腰に来る厳しい作業。まずは小さなバケツや背中に背負った籠に刈り取ったブドウを入れていき、いっぱいになったら畑の畔に置いてある大きな容器に移し替える、の繰り返し。
熟練した収穫人はあっという間に刈り取っていきますが、慣れない素人だと人房を枝から切り取るだけで意外と苦戦。果梗って、結構太くて硬いんですよね…僕は初めて収穫に参加したとき(もう20年も前でしょうか)、「遅いぞ!みんなの半分以下だ!」とワイナリーのオーナーに呆れられ、笑われました・・・が、多分年を取った今はもっと遅いんじゃないかと思います。

手作業での収穫は、時間との闘い。果実が最適に熟した瞬間から少しでも短い時間で刈り取るため、皆黙々と必死に作業をします。そして一つの生産者で数日間ときには数週間に渡る収穫作業が終わると、季節労働のプロ収穫人たちはまた別の産地へと流れて行くのでした。
ワイン生産者が1年で一番嬉しい瞬間と次々に出会っていく、厳しくも本当に尊い仕事だと思います。

今年も世界中で無事に収穫が終わりますように…Bonnes vendanges(良い収穫を) !!

『ドメーヌ・へリング』、収穫を終えてみんなで記念撮影。お疲れさまでした!

ということで今回の「ボキャブラ天国」はこれにて終了。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!

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収穫作業、憩いのひと時

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