ワインボキャブラ天国【第75回】「黒胡椒」英:black pepper 仏:poivre noir

ワインボキャブラ天国【第75回】「黒胡椒」英:black pepper 仏:poivre noir

連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!

取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!

ということで今回ご紹介する言葉は・・・

「黒胡椒」 
英:black pepper
仏:poivre noir (男性名詞:発音は「プワヴルヌワー(ル)」)

ワインの香りや味わいをイメージ豊かに誰かに伝える際の基本となるのはやはりフルーツによる喩えですが、そのワインの良さを具体的に説明するにはちょっと物足りないときもあります。
その時に使われるのが香辛料やハーブ、花、時にはパンやお菓子などの「果物以外=ノンフルーツ表現」。
その中で「香辛料」を代表するのがこの『黒胡椒』です。

『黒胡椒(ブラックペッパー)』は、収穫した胡椒の実を乾燥させたもの。
挽きたての状態では非常に香りが強く、鼻に抜けるような爽快な香りが特徴です。
この香りが見つかるのは、仏コート・デュ・ローヌ他で栽培されるシラー種を使用したワインや、ボルドーをはじめとした世界各地のカベルネ・ソーヴィニヨンを使用したヴィンテージの若い赤ワイン、が代表的です。
これらワインそのものの色合いが非常に濃く、黒色に近い印象を持っているワインには必ずと言って良いほど黒胡椒のニュアンスが見つかります。
ワインの液色と、香りや味わいに感じるイメージ要素は近似することが多いですね。

黒胡椒の香りは、ローズマリーやタイムなどの植物にも含まれる「ロタンドン」という化合物に由来するもので、実はこの化合物がシラー種のブドウにも含まれるため、黒胡椒やスパイスのニュアンスを強く感じるのだそうです。
以前ご紹介したグレープフルーツとソーヴィニヨン・ブランと同様に、共通する香り成分が含まれているという非常にロジカルな根拠があるわけです。

一方でカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインでも黒胡椒のニュアンスを感じることが多いですが、これは品種に由来する黒系果実の力強い香りに、樽熟成による木やバニラの香りが重なることで黒胡椒を想わせる香りになったものだと思います。
熟成による複雑な香りが出来上がる前の若いワインならではの「まだ香りの要素がばらばらに存在し、それらがうまく混ざり合って出来た香り」ということですね。

ちなみに、胡椒の実が赤色まで完熟したものがピンクペッパー、赤く色づく前の未熟な状態のものがグリーンペッパー。
そして、ピンクペッパーを乾燥させてから皮をむいたものが白胡椒です。
白胡椒は白ワイン、ピンクペッパーは香り高いフレッシュな赤ワインの表現用語としてされることがありますが、グリーンペッパーはやや青臭さを感じさせるからか、あまりポジティヴな表現としては使われないですかね。
これらの表現は、次回第76回以降に改めてご説明をさせて戴くので1回だけ待っていてください!

それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!

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