あ、せかんどおぴにおん 第32回「エティエンヌ・ルフェーヴル ブリュット・レゼルヴ・カルト・ドール グラン・クリュ」
『あ、せかんどおぴにおん』第32回
「エティエンヌ・ルフェーヴル ブリュット・レゼルヴ・カルト・ドール グラン・クリュ」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、20代のFiradis WINE CLUBのスタッフ、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
32回目にとりあげるのは、人気シャンパーニュ。「エティエンヌ・ルフェーヴル ブリュット・レゼルヴ・カルト・ドール グラン・クリュ」です。
「The Champagne」がリニューアルしました。
さて、このシャンパーニュについて詳しく見ていく前に、ご紹介です。シャンパーニュのページがリニューアルとなりました。
リニューアルになったことで、シャンパーニュがより選びやすくなっています。
実際にページに入っていただくと分かるのですが、シャンパーニュ選びの3つのメソッド(「技」で選ぶ、「風土」で選ぶ、名門の傑作)を設けて、それぞれの基準でシャンパーニュをカテゴライズしました。その他にもセットを試してみる、あるいは味わいのタイプから選ぶなど、自身の興味や好みに合わせてシャンパーニュを選びやすくなっております。
さらにそのカテゴライズは双方向的になっていて、それぞれの商品ページにも表示されるようになりました。例えば今回のシャンパーニュ、エティエンヌ・ルフェーヴル ブリュット・レゼルヴ・カルト・ドール グラン・クリュは「風土」で選ぶ、柔らか癒し系に該当します。
今回は、このページに記載の観点から今回のシャンパーニュを捉え、実際にテイスティングしていきましょう。
「風土」で選ぶ:ヴェルズネイ村
リニューアルしたThe Champagneのページでには「風土」で選ぶ、についてこのような説明がされています。
3.4万haものブドウ畑面積を有するシャンパーニュ地方、実は地区・村によって気候や土壌、ワインの味わいスタイルも多様です。ここではフィラディスがクオリティの高い特級クラスの村々のおすすめ品を厳選。更にコラムなどで代表的な村の特徴を把握していくと、より好みに近い1本が選びやすく!
そして各村についてのコラムへのリンクが記載されています。
今回のエティエンヌ・ルフェーヴル ブリュット・レゼルヴ・カルト・ドール グラン・クリュはグラン・クリュの村のブドウのみをつかって造られているのですが、その中でもグラン・クリュのヴェルズネイ村主体。(わずかながら別のグラン・クリュの村、ヴェルジー村のブドウを使っています。)シャンパーニュのヴェルズネイ村というのは、どういった特徴があるのでしょうか。
この村の特徴については、詳しくはこちらのコラムを見ていただきたいのですが、一部抜粋するとこのように書いてあります。
この村の地形は実は斜面が北向きです。
北向き斜面は日当たりが悪くてテロワールとしては良くないのでは・・・と思いますよね。
ですが、実はこの「暑過ぎない適度な日当たり」がブドウに好影響を及ぼすこともあります。
南向きの斜面よりも涼しい気候であること、そして白亜質の石灰土壌を豊富に含む土壌がきめ細やかな酸と十分なミネラルを作り出す。
出来上がるワインには、きれいな透明感や伸びやかさが感じられます。
シャンパーニュにおいて重要な上質な酸が、北向き斜面の最高区画ならではのバランスで生まれるということです。
この村で栽培されるピノ・ノワールは、大手有名メゾンがこぞって買い付ける最高ランク品。
例えば、KRUGやルイ・ロデレールの「クリスタル」、ボランジェの「ラ・グラン・ダネ」等はヴェルズネイ村のブドウ使用比率が高いことで知られています。
きめ細やかな酸と十分なミネラル、きれいな透明感や伸びやかさ。ピノ・ノワールは大手有名メゾンがこぞって買い付ける最高ランク。こういった知識を得た上で、この村良いかもな、と思ってシャンパーニュを選べます。
ちなみに以前にもこのコラムで少し触れたのですが、フィラディスがシャンパーニュでもテロワールを重視するのは、そもそもシャンパーニュにはテロワールという概念が比較的希薄、という背景があります。大手メゾンの生産者は、さまざまな場所で栽培された買いブドウを中心にシャンパーニュをつくります。彼らは磨き上げたブレンド技術による安定した品質・味わいを、自身のブランドとして全面に押し出します。あくまでブランド重視であり、どの村のブドウを使っているなどといったテロワールの概念を強調しないのです。大手メゾンのラグジュアリー・キュヴェ(上級シャンパーニュ)には、品質の高いグラン・クリュが使われていたりするんですけどね。
今回のエティエンヌ・ルフェーヴルはRM(レコルタン・マニピュラン)と呼ばれる、自身で栽培したブドウのみを使用してシャンパーニュを造るタイプの生産者。彼らが自身で栽培したグラン・クリュの村のブドウのみを使って、しかもヴェルズネイという特に優れたグラン・クリュの村のブドウのみを使っている。これは嫌が上にも期待が高まります!
シャンパーニュにおいても、あくまでテロワールを重視する。そういったシャンパーニュの選び方をThe Champagneでは提唱しております。
味わいタイプ:柔らか癒し系
さてもう一つ、味わいタイプで選ぶという観点。
非常に多様なシャンパーニュを4つの味わいタイプに分ける、というのはなかなか無茶な試みなわけですが、、シャンパーニュ初心者の方が少しでも選びやすいように、大まかに分けています。(全てのシャンパーニュが4つのどこかに分類されているわけでもありません。)
今回の柔らか癒し系の説明文はこんな感じ。
果実の甘味や酸味、シャンパーニュならではのスッキリ感などがバランスよく整っているタイプがこちら。誰もが素直に「おいしい!」と思えるタイプですので、プレゼントや持ちよりパーティにも最適なセレクトです。
自身の気分や目的に合ってそうかなと、ざっと参考にしてみてください。その上で、いよいよテイスティングです。
さっそくテイスティング
≪こんな香り・味わいのワインです≫:
シャンパーニュのピノ・ノワールの頂点に君臨するヴェルズネイを主軸とした、素晴らしいバランスの1本。平均樹齢40年、ヴェルズネイ村を主体にヴェルジーをブレンドしたグラン・クリュ・シャンパーニュ。洋ナシやアプリコットを思わせる熟したアロマに香ばしいナッツのニュアンス。果実豊かな味わいはゴージャスかつ繊細で、厳粛なストラクチャーや透明感、伸びやかさなど、ヴェルズネイの美点に満ちています。著名なシャンパーニュ評論家リチャード・ジューリンはエティエンヌの才能を早くから絶賛、この造り手に出会えた喜びを著書に熱く記しています。
店長のコメントはこんな感じです。
私が感じたのは、とにかく明るく爽やかなシャンパーニュという印象です。
香はオレンジの柑橘系のようなニュアンス、バター、蜂蜜、トーストといったふくよかで香ばしい香り。そして味わいは綺麗な酸とたっぷりの果実味がうまくバランスをとっています。改めて強すぎずも爽やかに沁みいる酸は、これがヴェルズネイ村の紹介で言われていた、北向き斜面がもたらす上質な酸なのかもしれないと思いました。
味わいのバランスが非常によく、なおかつ親しみやすいので、まず試していただきたいシャンパーニュです。このエティエンヌ・ルフェーヴルという生産者はピノ・ノワール100%のシャンパーニュ、ブラン・ド・ノワールも非常に人気ですが、まずフィラディスのシャンパーニュを試してみたいという方はこちらの方を飲まれることをお薦め致します。
その他にもぜひ様々な観点から、新たなシャンパーニュに出逢ってほしいと思います。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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