ワインボキャブラ天国【第90回】「ヴェジタルな/植物的な」英:vegetal 仏:vegetal
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ヴェジタルな/植物的な」
英:vegetal
仏:vegetal (形容詞 発音は「ヴェジタッル」)
今回ご紹介するワイン表現ボキャブラリーは『ヴェジタルな/植物的な』。
以前第76回「ピーマン」の項で紹介した内容と同じ意味合いを、よりざっくりと伝えたいときに使用する表現です。よって今回は残念ながらこのコーナー冒頭の恒例となってきました「〇〇豆知識」はお休み・・・うーん、調べ甲斐が無く何だか物足りない気分ですが、まずは第76回をおさらいして戴くほうが良いので、過去コラムにリンクを貼らせて戴きます。
はい、本日のコラムに戻ってきていただいてありがとうございました。
しかし実は今回は「ピーマン」の項に大きく付け足すような内容はありません。「植物的な/ヴェジタルな」という表現も、ブドウ品種や産地の特性に由来する香味ではなく、原料ブドウが未熟な段階で収穫・醸造されてしまったために発生する青臭い香り、です。かつてはこの香りが一つの個性・スタイルとして受容されていたこともありましたが、現在では未熟果によるものということで統一されています。
この表現の使われたケースについて調べてみたところ、分かりやすい事例を見つけました。
ある日本の大手ワイナリーが造ったワインに、自社では「ほおずきの香り」という日本らしいユニークな表現を与えていたものが、フランス ボルドーの高名な醸造家が下した評価が「この香りはヴェジタル、果実が未熟だったもの」という判断をしていました。これまでにも書いてきましたが、ワインの香り・味わい表現は多少ネガティヴな要素でも、言葉のテクニック(いや「マジック」といっても良いかもしれませんね)によってポジティヴに転換させてしまうこともできます。
つまり、ソムリエの書くコメントを全て真に受けてはいけないということ・・・こんなことを書いてしまうとFiradis WINE CLUBの信頼が失われてしまいそうですが、ここはあえて書いておきますね。
ワインの受け取り方はあくまでも千差万別、自分の鼻と舌を絶対的に信じ、自分の「好き」「おいしい」を一番大事にしていきましょう!
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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