実は一番人気ワインも・・??土着ブドウ品種に注目!その③
- 2019.07.10
- なるほどのあるワインコラム
- カベルネ・ソーヴィニヨン, グルナッシュ, シラー, スペイン, フミーリャ, フランス, モナストレル, ラベル, ラングドック, ワイナリー, 温度, 生産者, 肉料理
第3回目となりました「土着ブドウ品種」についてのコラムです。
このコラムシリーズは、コラムを通じて少しマニアックなブドウ品種を知り、
ご自身のセレクトの幅を拡げて戴こう、という試みなのですが・・・
でも、実はCLUB30のお客さまだったら、
殆どの人が土着品種の魅力を知らず知らず体感しているんですよね。
なぜなら、CLUB30で圧倒的にご注文本数の多い大人気ワイン『シルバー・ラベル』のブドウ品種は、
「モナストレル種」というスペインの代表的な土着ブドウ品種だからです。
皆さん、こういった“理屈抜きにただおいしい”というタイプのワインに関しては、
あまりブドウ品種のことを気にせずに楽しんで戴いているんじゃないかな、と思います。
『シルバー・ラベル』の生産者であるフアン・ヒルは、
スペイン南東部のJumilla(フミーリャ)という地域にワイナリーを構えています。
夏は酷暑、冬は氷点下になる温度変化の激しい大陸性気候のこのエリアは、
モナストレル種が最も素晴らしいクオリティで育つこの新種の代表産地となっています。
「モナストレル種」は、フランスでは「ムールヴェ―ドル」という名前で知られています。
もしかするとこちらの方が馴染み深いかもしれませんね。
ムールヴェ―ドルは南フランス、主にプロヴァンスやローヌ、ラングドック・ルーション地方で栽培され、
グルナッシュ種やシラー種、カリニャン種などとブレンドで使用されることが多い品種です。
モナストレル種の起源は、オレンジで有名なスペインのバレンシア近くにある町「ムルビエドロ」。
この町の名前が元になって、「モナストレル」の名前になったそうです。
ムールヴェ―ドル/モナストレル種で造られるワインの典型的なスタイルとして思い浮かぶのは、
「肉厚!」
「フルーティだけどタンニンしっかり」
「アルコール感たっぷり」
「野性的・動物的」
などの言葉。
小粒ですが果皮が厚く、糖度も高く。
とにかくパワフルな果実味・タンニン・アルコールというイメージの「濃く、強い」品種です。
ワイン自体にもなんとなく動物的なニュアンスがあるので、クセのある肉料理にピッタリなんですよね。
ですがこの「濃く、強い」品種、
寒さには滅法弱く、成長も他品種に比べて遅いという、なんだか可愛いところもあります。
南国出身ののんびり屋さん、といったところでしょうか・・・。
南フランスくらいでも、少し涼しいところだと栽培が難しく、
やはり生まれ故郷のスペイン南部でいちばん栽培が容易、高いクオリティの潜在性を持っています。
これに目を付けたのが『シルバー・ラベル』の生産者であるフアン・ヒル。
フランスではバイプレイヤーとして扱われがちなこのブドウを、
品種にフィットした気候と土壌を生かし、単一品種ワインとして仕上げることに力を注ぎました。
適した場所で栽培されたモナストレルは、
フルーツ感とパワフル感のバランスの取れた実に素晴らしいワイン『シルバー・ラベル』になりました。
「適材適所」は、ブドウにも確実に当てはまります。
人気があるから、売れるからと言って、どこにでもカベルネ・ソーヴィニヨンを植えるのはやっぱりちょっとおかしい。
カベルネは気候的には比較的どんな環境でも育ちますが、やはり合わない土もある訳で、
例えば石灰質の含まれた場所で造られるカベルネはどうもいまひとつな出来になってしまいます。
土着品種のワインがおいしいのは、生まれ育った故郷で自由に伸び伸びと活躍できるから。
それは人間とも一緒で、ホームスタジアムでの試合みたいなものでしょうか・・・。
やっぱり、ホームだと本来以上の力が出たりするものですしね。
その土地ならではの力が確実に、存分に発揮された土着品種ワイン、
是非とも色々と楽しんで戴きたいと思います!!
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