ワインペアリング奮闘記 第42回「ドメーヌ・フォン・クローズ コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ キュヴェ・シリュス」

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ワインペアリング奮闘記 第42回「ドメーヌ・フォン・クローズ コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ キュヴェ・シリュス」

『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第42回
シラー!シラー!シラー!

このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。

コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。

今回のお題は『ドメーヌ・フォン・クローズ コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ キュヴェ・シリュス』です。

南ローヌの赤ワインですね。コート・デュ・ローヌの中でも品質が良いとされるヴィラージュ地区の赤ワインです。
品種はシラー100%。この品種って、どちらかというと北ローヌのイメージじゃないですか?
南ローヌはグルナッシュをはじめとする多品種混醸エリア、シラー100%は少数派だと思います。
ブドウの栽培エリアは冷涼なラストー山の北向き斜面とのことで、どんなワインかとても楽しみです。早速テイスティングです!

テイスティング:
グラスに注ぐと、色調は全体的にパープルがかった濃いルビーです。
香りはフレッシュなブルー・ベリーやダーク・チェリー、オリーブ、黒コショウ、スミレ、赤身のお肉を思わせるような香りもあります。
口に含むと、ぎゅっと濃密な、良く熟した黒系果実を感じます。
酸味の芯がしっかりと通っていて、早い段階から、若干収れん性のあるタンニンを感じました。
舌にピリピリとした感覚もあり、黒コショウの香りと相まってスパイシーに感じます。
アフターには伸びやかな酸と、ミネラルを連想させるほんのりとした苦みが残って行きます。
全体として、やや濃くて強めの主張をもったワインですが、綺麗な酸がどこかエレガントさ、品の良さを感じさせますね。
豊富な酸味から冷涼な印象を受けるので、一瞬あれっ?北ローヌ?と思ってしまうような味わいです。
北ローヌのシラーは比較的お値段が張りますので、南のリーズナブル・プライスでこのシラーは本当に素晴らしいと思います。

合わせるお料理ですが、風味の強いワインなので、しっかりと凝縮した味わいの料理が必要でしょうね。
赤身のお肉が良いと思います。ジビエなんか合いそうですが、今回は手に入りやすい牛肉を使います。
調理法は、さっとレアに焼いたものと、何時間も煮込んだもの、どちらが合うかなと少し迷いました。
どちらも別の良さがあって悪くないのかなと思いますが、今回は凝縮感」を取って煮込みを選びました。
牛すね肉を使った『ブレイズド・ビーフ』です!

料理レシピ:
牛すね肉に塩と、粗挽きの黒コショウでしっかりと下味をつけます。
フライパンに油をしいて、焼き目をつけたら取り出します。
残ったフライパンで玉ねぎ、人参、セロリ、ニンニクのみじん切りをしっかりと炒めます。
トマト缶と赤ワインを加え沸騰したらローリエ、タイム、お肉を加えて、中火から弱火で3時間程ことこと煮込みます。
蓋はせず、水分を蒸発させ、全体がドロッとしてお肉がホロホロになるまで煮込みましょう。
味を見て塩分を調整し、仕上げにさらに黒コショウを加えます。
付け合わせは大黒シメジのソテー、ボイルしたアスパラガスと、マッシュポテトです。

ペアリングレポート:
煮込んだすね肉は、柔らかく優しい食感ですが、元々はしっかりとした筋遷移。
一緒に煮詰まった根菜類やスパイスが手伝って、凝縮されたエネルギーを感じさせてくれます。
早速シラーを飲み合わせていくと・・・
まず黒コショウのスパイシーさが心地よく引き立ちますね。このピリッと感、心地よいです!
そして、やはりこのワイン、パワフルですね・・・!ブレイズド・ビーフもなんとかバランスを取ってくれるものの、酸とタンニンの締め付けや、各々主張するフレーバーにタジタジいった印象。
パワーバランスとして、ワインの方がやや勝ってしまいました。
それでも、しっかりと煮込んだお肉にシラーのしなやかなタンニンは、依然心地よく感じますし、
ワインの綺麗な酸味が、お料理全体にフレッシュさを与えてくれるのも好印象です。
決して悪くはないと思います。

全体としては、お互いを高めあうまさにマリアージュ!というレベルには至っていないものの、双方を美味しく頂けるペアリングにはなっていました。
お料理の方にもう少し風味の強さがあったほうが良いかな、という感じでしたね。
それにしても、この赤ワインはシラーらしさをダイレクトに感じさせてくれる逸品です!
いつかジビエが手に入ったら、このワインとのマリアージュにまた挑戦したいと思いました。
砂肝を使ったお料理なども良いかもしれませんね。
色々な可能性に思いをはせつつ、美味しいディナーを頂きました。ご馳走様でした!
それでは次回もお楽しみに。(西岡)

今回のペアリング・ワイン

『ドメーヌ・フォン・クローズ コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ キュヴェ・シリュス 2017年』

(フランス/コート・デュ・ローヌ産赤ワイン ブドウ品種:シラー100% 熟成:バリック228L 新樽1/3, 1年樽1/3, 2年樽1/3で12ヶ月熟成後、コンクリートタンクで4ヶ月)

 

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