ワインボキャブラ天国【第74回】「洋梨」 英:pear 仏:poire
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「洋梨」
英:pear
仏:poire (女性名詞:発音は「ポワー(ル)」)
このコラムシリーズ第73回「桃」の表現の回に、白ワインの香り・味わいをフルーツで表現する場合は以下のようにざっくりとジャンルを分類しておいた上で「どのあたりにある印象か」で考えていくと比較的位置付けがしやすいかもしれません・・と書きました。
ここに改めて掲載しましょう。
・柑橘系フルーツ(果皮が緑~黄色で味は酸味がシャキッと/スダチ、カボス、レモン、グレープフルーツなど)
・柑橘系フルーツ(果皮が濃い黄色~オレンジ色で味は甘み強い/みかん、オレンジ、ネーブルオレンジなど)
・果肉が硬めの芯ありフルーツ(りんご、青りんご、梨など)
・果肉が柔らかめの芯ありフルーツ(白桃、黄桃、洋梨、かりん、熟した杏・柿など)
・トロピカルフルーツ(パイナップル、マンゴー、キウイなど)、メロン
4番目のところに入る桃と洋梨は、かなりスタイルの似通ったタイプのワインに見つけられる表現ということになります。
桃と洋梨に共通するのは非常に密度が濃く感じられる甘い香りですが、洋梨に特有の香りの特徴としてはそこに「抜け感」=鼻にスッと抜けるような感じがあるところ。
実際の洋梨を食べるときにも、独特の薫り高さが感じられますよね。
花の香りにも近いかと思います。
この洋梨の香りが見つかる代表的なワインとしてはやはり世界各地のシャルドネ使用ワインですね。
熟成したブルゴーニュのシャルドネ、ブラン・ド・ブランのシャンパーニュなど、クリーミーさの中に感じる果実のイメージは洋梨(または花梨)が一番近いと思います。
その他南ヨーロッパの土着系品種など様々なブドウ品種に見つけることのできる香りですが、共通するイメージとして「ワインの液色は結構濃いめの黄色、豊富な日照に恵まれ果実時点の熟度が高い、または醸造後にある程度の熟成期間を経たもの」と位置付けることが出来ると思います。
フレッシュな柑橘のニュアンスを強く感じさせるワインとは少しだけ異なるイメージですね。
洋梨の香りは、完熟した果実で仕込まれた良質な白ワインを象徴するイメージでもあります。
注いだ白ワインの色合いが濃かったら、洋梨や花梨~トロピカルフルーツのイメージが見つかるかな、と事前に想定してテイスティングをしてみてください。
かなりの高確率で、その印象を感じ取ることが出来るはずです!
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
-
前の記事
ワインボキャブラ天国【第73回】「桃」 英:peach 仏:peche 2021.03.20
-
次の記事
ワインボキャブラ天国【第75回】「黒胡椒」英:black pepper 仏:poivre noir 2021.04.03