ワインと食事の「マリアージュ」について、整理してみよう②『「同調」のマリアージュとは』
前回は、一般的に考えられているマリアージュの“イメージ”についてお話を致しました。
そして文末で予告したのが、「マリアージュに繋がる洞窟には、3つの入口がある」ということでした。
それでは今回から、そのひとつひとつを探検してみたいと思います。
最初の入口。
その入り口には・・・『「同調」のマリアージュ』と、書いてあります。
おそらくこれが、マリアージュの最もベーシックな形となるものです。
ある食材・料理が持っている香りや味わいの要素に対して、
同じような香り・味わい要素を持つワインを合わせることで、
味わいの方向性を揃えてあげる、というやり方です。
このマリアージュは、結構イメージしやすいですよね。
ワインやブドウ品種の説明をする時、
様々なフルーツやスパイス、ハーブなどで香り・味わいの特徴を表現するわけですが、
そこで出てくる要素に近いものどうしが同調する、というイメージです。
例えば、
・ハーブを使ったお料理に、ハーブ的な青っぽい風味の感じられるワインを合わせる
・スパイスを多用した料理には、香辛料的な香り、味わいのあるワインを合わせる
・バターを使った魚料理には、柑橘類的でフレッシュな白よりも、熟成してバター的風味の出た白を
等が例として挙げられます。
または反対に、これから飲もうと思っているワインに対して、
調理法で合わせていく、というマリアージュ手法もあります。
・黒っぽい果実を煮詰めたようなニュアンスのある力強い赤ワインを飲もうと思うので、
肉を焼く時にプルーンやブルーベリーなどを煮詰めたソースやジャムを使った。
・豚肉を食べる時、渋みよりも甘味がジューシィに感じられる濃厚な赤ワインを飲もうと思ったので、
ソースに蜂蜜を使って焼くことで甘味同士を寄り添わせる。
料理起点でもワイン起点でも、このマリアージュは作りだすことが出来ます。
たとえその日に冷蔵庫にあった食材と残っていたワインの相性が一般的にあまり良くない気がしても、
調理法やソースの工夫で合わせられるというわけです。
冷蔵庫に残っていたのは鯖の切り身、赤ワイン1本しか今日飲むものが残っていない、
なんていう場合でも、赤ワインの香り・味わい要素をきちんと捉えられれば大丈夫。
照り焼きに薬味、お味噌を使った濃い煮魚、揚げものにして濃い目のソースを作る・・・
等の解決策がいくらでも見つかって行くわけです。
勿論そのためには、料理に取りかかる前に双方の味わい設計をしっかりと思い描く必要があります。
だから、これをやろうとするとついついキッチンドリンカーになってしまうんですよね 笑
それでは本日はこの辺で。
今日はひとつめのマリアージュ、『「同調」のマリアージュ』について具体例を挙げながらお話を致しました。。
次回以降は、2つめ、3つめのマリアージュについて同様のやり方で進めていきます。
次回のコラム公開までに、まずはこの「同調マリアージュ」を実際に体験してみて戴きたいと思います。
というわけで『「同調」のマリアージュ』をご提案したワイン&ワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBのレシピの組み合わせを2つほどご紹介しますね。
①『フアン・ヒル シルバー・ラベル 12メセス』×『鴨のソテー ベリーソース』
こちらはCLUB30ではもうすっかりお馴染のNO.1人気ワイン。
黒系果実・赤系果実の様々なベリー系の印象がギュッと詰まったような濃厚なワインですので、
川上ミホさんのマリアージュレシピは「鴨のソテー ベリーソース」。
ブルーベリージャム、ブドウ原料のバルサミコ酢の風味をソースにすることで、
ワインと同調をはかったマリアージュです。
②『ル・クロー・ドローム メヌトゥ・サロン モローグ』×『グレープフルーツとアンディーヴのサラダ』
そしてこちらは夏にぴったりの爽やかリフレッシュ系白ワイン。
グレープフルーツやパッションフルーツのイメージを持つワインに、
ピンクグレープフルーツを使ったサラダをマリアージュさせるという直球の「同調」
ここでは、香りの段階で既にマリアージュが始まってくる、というところを体験してみて戴きたいです!
まずはこの2つの「同調マリアージュ」、良かったら試してみてくださいね。
川上ミホさんのレシピは、30分以内でお料理が出来上がることを基本に考えて戴いていますので、
キッチンでワインを一杯試飲してから作り始めてもすぐ出来ますよ!!
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