あ、せかんどおぴにおん 第23回「マーカス・モリトール ピノ・ブラン ハウス・クロスターベルク・トロッケン 」
『あ、せかんどおぴにおん』第23回
「マーカス・モリトール ピノ・ブラン ハウス・クロスターベルク・トロッケン 」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人(もう3年目ですが)、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
23回目にとりあげるのは、ドイツワイン。「マーカス・モリトール ピノ・ブラン ハウス・クロスターベルク・トロッケン」です。
6月2日(木)に新商品販売開始
先に告知です。2022年6月2日、今週の木曜日にマーカス・モリトールの新商品が販売開始となります。なんとピノ・ノワール100%のロゼワインが入ってきます!
そして非常に人気が高く飲食店向けでほとんどが販売されてしまったため、残念ながら2本しか入荷がされない素晴らしい品質のリースリングも入荷いたします。
ですのでここで申しておくのは、今回ご紹介するピノ・ブランは急いで買わないほうが良い、ということです笑
ぜひ木曜日、その他の商品と共にご検討いただければと思います。
ピノ・ブランは比較的在庫が豊富ですので、すぐに完売するということはないと思います。
というわけで、どうしてそこまで飲食店の皆様に人気が高いのか。マーカス・モリトールの魅力についてご紹介いたします。
マーカス・モリトール:100点請負人
こうしたこだわりを持って造られるマーカスのワインは、歴史的にも非常に高い評価を得ており、1996年にはTBAが当時の最高値となる1000ドイツマルクを付け、2012年にもTBAがオークションにて2750€という最高額を更新。世界最高峰との呼び名の高いエゴン・ミュラーやJJプリュムらと肩を並べ、品質・ 価格の面で全く引けを取らない。さらに、甘口のアウスレーゼにおいては、 2011VTがドイツで3ワイナリー目となるWA100点を獲得、2013VTではドイツ史上初となる3アイテム同時に100点獲得という歴史的快挙を成し遂げる。一方、中辛口においても2015VTで100点、さらに辛口でも2015VTで99+点を獲得しており、リースリング以外の品種でも「低価格帯でこれだけ洗練されていて、複雑なピノ・ブランは滅多に見つけられない」とロバート・パーカーから絶賛され、ピノ・ノワールにおいては、ヴィノム誌のブラインド・テイスティングでドイツトップピノ・ノワール一位を獲得、またインターナショナル・シュぺートブルグンダー・シンポジウムのグランド・ピノ・ノワール・アワード2011、2012で優勝と世界的な評価を得ている。品種や甘口・辛口といった枠を飛び越えるマルクスのワインは、モーゼルのエリアにとどまらず、今やドイツを代表するワイナリーであると断言できる。
商品ページの生産者紹介にこんな風に書いてあります。
とにかく評価が高い、ということが伝わったのではないでしょうか。飲食店の皆様に人気があるのも、非常に高い評価を得ているドイツトップの品質、ということで絶対的な信頼を得ているからこそです。
また評価が高いのはリースリングだけでなく、今回のピノ・ブラン、さらにはピノ・ノワールも同様ということで。だからこそ今度販売開始となるピノ・ノワール100%のロゼワインもお薦めということは、ここでも宣伝しておきます笑
マーカス・モリトールはドイツのモーゼル地域最大規模の生産者でもあり、質と量を兼ね備えた生産者です。私がびっくりしたのは、とにかくワインの数が多いことです。残念ながらネット販売できるアイテム数は限られてしまうのですが、辛口リースリング、甘口それぞれで10種類以上は輸入経験があります。それ以外にも輸入されていないアイテムが相当数あるはずです。アイテム数が多いのは、それだけテロワールを重視しているということです。土壌や気候条件に応じて細かく区画分けをし、それぞれで異なるアイテムとして販売しています。その細やかさが評価の高さ、つまり品質の高さに表れているのです。
ピノ・ブランの立ち位置
最後にピノ・ブランの立ち位置に触れておきましょう。アルザス原産で、イタリアやドイツでも栽培されるこの品種はシンプルな名前なのに意外と知名度が低い品種です。味わいもシャルドネと同じように比較的ニュートラルで、あまり決まった特徴がありません。だからこそテロワールを強く反映する品種でもあります。
非常に人気の高いマーカス・モリトールのワインの中では比較的在庫を多く確保できるため、安定してお楽しみいただけること。マーカス・モリトールのワインの中では比較的低価格なため、この生産者を知るうえで試していただきやすいこと。そして何より、テロワールを強く反映する品種だからこそ、テロワールへのこだわりが徹底しているマーカス・モリトールの魅力が伝わりやすい=ピノ・ブランとして非常に品質が高いこと。これがマーカス・モリトールのピノ・ブランにおける魅力です。
いよいよテイスティング
モーゼル川沿いの複数区画のブレンドで、樹齢30年までのブドウを使用。バリエーションに富んだスレート(青と灰色)、粘土土壌。洋ナシ、リンゴ、グレープフルーツにフローラルな花のアロマ。ミディアム-フルボディの完璧なバランスとフィネスを持ったピノ・ブランで、 スレートに由来するピュアさ、張り、塩分が豊かに感じられます。
豊かな果実味、繊細さに満ちたエレガントさ、そしてスレートのニュアンスと言う点で、実に複雑で洗練されたモーゼルらしいワインでした。
もともとピノ系品種ながら「シャルドネに近い個性とスタイルを持つ」と言われる『ピノ・ブラン』種。若々しい香りとフルボディ級の果実の厚みを最良のバランスで成立させたモリトールのワインは、本当に贅沢な仕上がりです。冷涼地ならではの静謐な上品さもあり、ボッテリ、どっしり感ゼロの洗練されたスタイルは、冬の魚介料理と相性が良さそうですね・・・・牡蠣鍋とか、食べたくなります!
(ワインレヴュー担当:フィラディスワインクラブ店長 )
店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。
私が感じたイメージは、シャブリとリースリングを合わせたようなワイン!というものです。
開栓しやすいスクリューキャップ。
香りはシャブリのようなステンレス系シャルドネに近い、レモン、洋梨など涼やかな柑橘系の香り主体です。少しだけハーヴァルなすーっとする香りも感じました。(店長のコメントにフローラルな花の香りとありますが、フローラルな花って頭痛が痛いみたいになってますかね。。)
そして味わいです。シャブリのような酸の心地よさ、そして土壌由来とされる塩味のようなものも感じますが、まずはドカッと豊かな果実味が口の中に広がります。この果実味が美味しいリースリングのような厚みがしっかりとあるのです。ただししっかりと上品な酸や塩味に保たれて爽やかさを得ている、という形ですが、これらの均整の取れた味わいが飲み飽きさせず、心を掴んでくれます。
誤解を恐れずに言えば果実感がしっかりした美味しいリースリングの、リースリングらしい独特な香りがしないバージョン。ただそのバランス、満足感と清々しさをこれほどまでに両立できているのは、さすがトップ生産者です。ピノ・ブランが好きな品種になると思います。というか私はなりました。あまり他の生産者で飲む機会はないですけどね。モリトールのピノ・ブランはばっちりということで。
以上。皆さんも是非お試しいただければ幸いにございます。
宜しければ下記の記事も是非ご覧ください。
Firadis WINE CLUBの篠原がお送りいたしました。
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