あ、せかんどおぴにおん 第9回「シャトー・デギュイユ セニョール・デギュイユ」
目次
『あ、せかんどおぴにおん』第9回
「シャトー・デギュイユ セニョール・デギュイユ」
このコラムについて(いつも同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
9回目にとりあげるのは、シャトー・デギュイユ セニョール・デギュイユです。
シャトーの様子。
今日のキーワード3つ
◆コスパの高いボルドーワイン100本を選ぶ「2018年バリュー・ボルドー100選」に選出!◆ご予算3000円で最大限おいしいボルドーをお探しなら、是非これを試してみてください!
ラ・モンドット、クロ・ド・ロラトワール、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールなど数々の名シャトーを所有するナイペルグ伯爵が、いまボルドーで最も刺激的なワイン産地と言われるコート・ド・カスティヨンで新たな挑戦をするワイン。3000円以下のメルロ主体ボルドーとして、まさにトップ・オブ・トップクオリティの1本がここに。
例によって商品ページからの引用です。いつもテイスティングまで長くなってしまうのですが、やはり前提は押さえておきたい、、今回はできるだけサクッと行きます。そのためにもキーワードを3つに絞りました。これらは全部上の文章に書いてあります。
・コート・ド・カスティヨン
・ナイペルグ伯爵
・3,000円以下のメルロ主体ボルドー
サクッとまいりましょう。
これはシャトー・デギュイユ。
今回取り扱うのはこのシャトー・デギュイユのセカンドワイン(カジュアル版)、セニョール・デギュイユの方です。
コート・ド・カスティヨン
コート・ド・カスティヨン。今回はそんなボルドーの中でもマイナー地域、でありながら注目がますます高まっている産地のワインです。
場所が肝です。ボルドー右岸に位置します。ボルドー右岸とは何ぞや、という方はこちらのボルドー特集を参照ください。下の地図はこのボルドー特集からとってきています。
しかし、こちらにはコート・ド・カスティヨンはない。。それくらいマイナーな地域というわけです。上の地図で押さえるべきなのは、ボルドー右岸がメルロの割合が多いワイン産地という傾向があること。そしてその右岸の代表的産地、サンテミリオンの位置です。その上で、こちらの地図でコート・ド・カスティヨンの位置をご確認ください。後ほど紹介する今回のシャトーのオーナー、ナイペルグ伯爵が所有するシャトーの場所一覧です。
③がサンテミリオンで④が今回のコート・ド・カスティヨンです。地続きで東に位置することがわかります。
実は、このシャトー自体がちょうどサンテミリオンとコート・ド・カスティヨンの境目にあり、畑の下にはサンテミリオンから地続きの石灰層が伸びているという、素晴らしい立地なのです。そしてサンテミリオンではないので価格を抑えられるという利点もあります。
そもそもこのコート・ド・カスティヨン自体、近年ますます注目が高まる産地です。あの有名なワイン評論家ロバート・パーカー曰く、「このアペラシオンは現在ボルドーで最も刺激的なワイン産地となっている。ここで生産される華やかな、凝縮感のある、興味深いワインに価格が追い付いてしまうのも、時間の問題だろう。」だそうです。まだ価格が品質に追いついていないということです。お得です。
ナイペルグ伯爵
このおしゃれな髭のおじさんがナイペルグ伯爵です。ただのおじさんではありません。文字通り、”伯爵”という高貴な方です。
そしてただの伯爵でもありません。(ただの伯爵が良くわかりませんが。。)先ほどの地図の通り、ボルドー右岸を中心に数多くのシャトーを所有するオーナーです。
そしてただのシャトーではないのです!!一番有名なシャトー・ラ・モンドットはロバート・パーカーに100点をつけられたこともあるプルミエ・グラン・クリュ・クラッセB(サンテミリオンの格付け2級)。その他にシャトー・カノン・ラ・ガフリエールも同じ格付けだったりします。つまりこのナイペルグ伯爵はサンテミリオンを知り尽くした伯爵なのです。
そんなナイペルグ伯爵が、もっと気軽に最高レベルのボルドーを楽しんで欲しいという思いで始めたのが、シャトー・デギュイユというわけです。
3,000円以下のメルロ主体ボルドー
いよいよ最後のキーワードです。今回取り扱うセニョール・デギュイユがシャトー・デギュイユのセカンドワイン、文字通り2番目のワインというのが味噌。よりカジュアルな価格で楽しめるワインということです。通常のシャトー・デギュイユはFiradis WINE CLUBでは税込5,500円です。クオリティを考えると、この通常のシャトー・デギュイユだって十分安いです。例えば、シャトー・ラ・モンドットは調べてみる3万円くらいはしてしまいます。
このシャトー・デギュイユはとにかく美味しいのでぜひ試していただきたいのですが、今回はあくまでセニョールの方です。そして今回は3,000円以下のメルロ主体ボルドーなのです。
こちらのメルロ種についてのコラムにはこんなことが書いてあります。
収穫までの栽培期間がカベルネ・ソーヴィニヨンよる2週間程短く、生産者にとっても安定的に栽培が出来る非常に便利な品種。今や、ボルドーでもカジュアルワインの基軸品種はメルロに移行しつつあります。スーパーなどでも売られている大手ブランド(例えば、「ムートン・カデ」など)のボルドーワインで、バックラベルにブドウ品種が記載されているものを見てみてください。大部分が、50%を超える比率でメルロを使用しています。
メルロのほうが早熟で天候のリスクも低いため生産がしやすく、手ごろな価格帯のボルドーは今やほとんどがメルロ主体になってきているという現実があります。つまり「3,000円以下のメルロ主体ボルドー」とはまさしく子女にあふれているカジュアルなボルドーのことなのです。だからこそ何を選ぶべきかが難しいという側面があります。
そこでこれまでのキーワードです。コート・ド・カスティヨンの素晴らしい立地、しかもあのナイペルグ伯爵がもっと気軽に最高レベルのボルドーを楽しんで欲しいと始めたこのシャトー・デギュイユのセカンドワイン。そうです、「3,000円以下のメルロ主体ボルドー」はこれを選べばよいのです!
いよいよテイスティング
≪店長のテイスティングコメント≫
フィラディスのレストラン様向け営業チームが「今、ボルドーのお手頃ワインでソムリエさんからの評判が最高に良い1本!」と断言するワインをCLUB30でも遂に取り扱い開始です。ボルドーの名シャトー「デギュイユ」のカジュアル版『セニョール・デギュイユ』、メルロ主体のボルドーでここまで素晴らしいクオリティはそうそう無いかな、と思いますよ。
このワイン、正直言いまして「とにかく渋い赤ワインが好き!」という方にはお薦め致しません。このワインの素晴らしさは何と言ってもその“まろやかさ&滑らかさ”。ブラックチェリーやラズベリーを煮詰めたような濃厚・濃密な果実感に、べた付かない甘さ・・・そう、例えるなら砂糖控えめのミックスベリージャム。甘さと酸っぱさが丁度よく共存していて、食欲をそそられる感じです。とても飲みごたえのある1本ですので、普段のお食事に、というよりは週末に自宅でちょっとお料理を頑張って、リラックスしつつも贅沢な時間を過ごしたい時のワイン、ですね。1週間がんばった自分にご褒美をあげたいなんていう週末時は、是非是非これを選んでみてください!
さていよいよテイスティング。
一言で言えば、「舌に染み込みじっくりと楽しむワイン」という印象でした。
どんなワインも当然下の様々な部位でそれぞれの味わいの要素を感じるのですが、このワインは非常に滑らかなテクスチャーが舌に染み込むようなイメージで、じっくりとそれぞれの要素をバランスよく感じました。
まず香りから濃厚で香ばしい香り。具体的にはブルーベリーやカシスといった果実からシナモンのようなロースト香、その他紅茶やちょっとだけですが涼しげなメントール系の香りも感じました。
そして味わいです。店長は文中で触れていませんが、このワインはタンニンもしっかりと感じます。しかしそれぞれの構成要素がバランスよく存在することで、味わいの基盤(ベース)として完璧な役割を果たしてくれています。
まずはメルロらしいとにかく滑らかで柔らかい、甘い果実感を強く、特に舌先でビシッと感じます。そして同時に心地よい酸を舌の両側で。そして思ったよりも量のあるタンニンを舌の根元で、とそれぞれどこで感じているのかはっきりわかってしまったというような、それくらい舌にしっかりと染み込む印象です。そしてじっくりと舌に染み込んだ味わいは、伸びやかな余韻となって残ります。非常に余韻が長いです!
この柔らかな印象から、柔らかく口の中でとろけそうなハンバーグなんかを食べたいと思いました。デミグラソースとの相性も抜群だと思います。
今回は以上。たくさんの異論反論をレビューにてお待ちしております。
また、こちらでは、生産者インタビュー。それから西岡パパのペアリングはなんとすき焼き?
これらも、よろしければぜひ。
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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