ワインペアリング奮闘記 第138回 シーフードを最高に引き立てる白ワイン / フラスカーティ・レ・ルッビエ
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『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第138回
シーフードを最高に引き立てる白ワイン
今回のペアリング課題は『カザーレ・ヴァレッキエーザ フラスカーティ・レ・ルッビエ』です。イタリアのラツィオ州、フラスカーティというワイン産地の白ワインになります。ラツィオという言葉にピンと来る人は多くないと思いますが、イタリアの首都ローマのある州です。フラスカーティは、ローマの南東20km程の位置にありローマ人にとっては歴史的に縁の深いワイン産地です。
テイスティング
グラスに注ぐと色調は淡いイエローです。
果実香りはやや控えで抑制的、タイプとしてはフレッシュなグレープフルーツや洋梨。
果実の代わりにと言っては何ですが、チョークのような石灰っぽいニュアンスを強めに感じました。
その他、白い花や白胡椒。全体的に「白っぽい」イメージです。
口に含むと、さらりとした口当たりで、瑞々しさのある酸味を心地良く感じます。
甘みがなくドライに感じますね。
ミドルからはミネラルに由来すると思われる塩味やレモンピールのような苦味、複雑味を感じます。
これらがアフターまで余韻として続いていきます。
果実味の凝縮感はないのに、余韻は複雑で長い印象を受けます。
全体としてややニュートラルでドライ、ピュアな印象の白ワインですね。
ちなみにこのワインのレビュー欄にて、星★カフェ日記 さんが
「白い石灰質の土壌で甲州を栽培したらこんな味になるのかなぁ。」
と書いて下さっているのですが、私も正にそんな感じだと思いました。
合わせる料理『ペスカトーレ(漁師風パスタ)』
ペアリングの観点で考えると、とっても料理に合わせやすそうな白ワインだと感じます。
一般的なイタリアンなら合わないものを探す方が難しいくらいでは・・・?
ワインの特徴からより合いそうなものを考えてみると、塩っぽいミネラルやチョーキーなニュアンスから魚介類、特に甲殻類で、熱を通したものを。(生の魚介類はイタリアでは一般的ではない)
というわけで今回は、個人的に魚介類パスタの王様だと思っているペスカトーレをペアリングします。
レシピ
魚介は生の赤エビとスルメイカ、ボイルしたホタテを用意しました。
イカは肝を取り分けて輪切りに、赤エビは縦に切って背腸を取り除きます。エビミソが落ちてしまわないように気をつけて・・・
半分に切ったニンニクをオリーブオイルで熱して香りを移します。
エビを殻を下に並べて焼き付けます。その後、空いたスペースにイカを肝ごと加えて軽く炒めます。
焦げ付きそうになったら白ワインを加え、蓋をして2分くらい蒸し焼きに。
その後トマト缶を加えて中火にかけて置きます。
この間にパスタを茹でましょう。
茹で上がったらホタテとパスタをフライパンに加えて混ぜ合わせますが、この時エビが壊れてしまうので一旦取り出しておいた方が良いです。
ソースが絡んだパスタを皿に盛ったら、具を盛り付けて、イタリアンパセリを振りかけて完成です!
・・・おっと、ブラックオリーブもトッピングしようと思ってたんだった。
写真にはありませんが、後から脇に添えております。お好みでどうぞ。
ペアリングレポート
【総合評価】 星4つ:★★★★☆
【評価ポイント】
○白ワインのミネラルが魚介の旨味を引き出しより美味しく
○海老のミソや、イカの肝の苦味や臭みを全く感じさせない相性の良さ
○熱を通したトマトソースの程よい酸味とのバランスが良い
△ペスカトーレの存在感が強く、白ワインは目立たない
全体的にワインが料理を引き立てる脇役に徹するというバランスになりましたが、ペスカトーレを心ゆくまで楽しむという意味では、とても良かったと思います。
試しに果実の凝縮感と甘味を感じられるドイツの白ワインも合わせてみたのですが、こちらは料理とぶつかってしまい撃沈・・・!
料理のコクをしっかりと高め、喧嘩をしないフラスカーティの名脇役的な良さを、改めて認識できました。
とても使い出のある白ワインなので、セラーに常備したいですね。
それでは、次回もお楽しみに!
(西岡)
今回のペアリングワイン:
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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