ワインペアリング奮闘記 第87回 フィリップ・ヴァンデル ヴァン・ジョーヌ×ウニのパスタ
- 2021.02.26
- ワインペアリング奮闘記
- フィリップ・ヴァンデル, ペアリング, マリアージュ, ワイン, 黄色ワイン
テイスティング:
ヴァン・ジョーヌ(黄色ワイン)の名の通り、グラスに注ぐと濃い目のイエロー。
香りをとってみると第一印象から、おおおっ、来ました!紹興酒や、シェリーを思わせる、産膜酵母「フロール」由来の香り。
中心となる果実の香りは杏やカリン、マンゴーのドライフルーツ。やや蜜っぽさがあります。そしてクルミなどナッツ系の香ばしさを感じます。
口に含むと、口当たりは滑らか。舌にぎゅっと凝縮した果実のエキスを感じます。密度とボリューム感は流石ですね。酸味はマイルドですが豊かに感じます。
中盤から塩味を伴ったミネラルやコクを感じます。かっちりとしたストラクチャで、旨味しっかりですね。そして、やはりヴァン・ジョーヌだなという個性的なフレーヴァーが飲み込んだ後にも上がって来ます。ちょっと畳表みたいな香りですね。
全体としては、熟成感と、どっしりと落ち着きがあり、確固たる個性のある、大変面白いワインです。
好き嫌いはあると思いますが、少し癖のあるものが好きならハマってしまうかもしれませんね。
ジュラを訪れたことはありませんが、ヴァン・ジョーヌを飲むと文化の深みを感じます。
合わせる料理:
ヴァン・ジョーヌのペアリング基礎知識ですが、定番はコンテ・チーズと最高のマリアージュということですね。
私も試してみたことがありますが、本当にとまらなくなるくらい美味しいです。
多分、あまり深く考えずコンテ・チーズをつまみに楽しむのが最も幸せに近道かもしれませんね!
しかし、このコラムで当たり前のことをやっても仕方がない。その上に乳製品不使用と決めているので、何か別のものを考えなくては!
では、コンテ・チーズのどこがヴァン・ジョーヌに合うのかをまず考察して、同じような要素を持った別の料理を考えたいと思います。
私のマリアージュの記憶を辿り、イメージを膨らませてみたところ・・・コンテ・チーズのクリーミーな質感、独特の芳香、そして塩味を伴った豊かな旨味が、ヴァン・ジョーヌの個性とうまく相乗していたと思います。
乳成分不使用でクリーミー系はちょっと難しいのですが、豆乳や卵黄などを使えば何とかなるでしょう。メインにはチーズのように少し癖のあるフレーヴァーをもった食材を。例えば、ウニなんてどうでしょう?ちょっとチーズにも通じる個性がありませんか?
高価な食材ですが、ヴァン・ジョーヌも手間のかかる製法で作られた贅沢なワイン、それなりの相手を選ばなければ、釣り合いが取れません。
というわけで今回は思い切って生ウニを使ったクリーミーな『ウニのパスタ』を作ってみたいと思います。
レシピ:
今回はカルボナーラ・スタイルで行きます。卵黄、豆乳クリーム、オリーブオイル、塩、醤油、これらをよくかき混ぜながら、湯煎であたためます。十分あたたまったらウニと、香り付けのヴァン・ジョーヌを大さじ一ほど加え、軽く熱を通してソースの出来上がり。
茹で上がったパスタをよく絡めて、胡椒と一味をふって、水菜を散らして完成です!
ペアリングレポート:
黄色系の色合いがヴァン・ジョーヌにぴったりですね。嬉々として撮影しているうちに、料理が冷めて少し固まってしまいましたが、早速、食べ合わせてみました。
うわー、めちゃくちゃまろやかでクリーミーです。材料費をケチってウニは「ほんのり」ですが・・・(笑)
さて、フィリップ・ヴァンデルのヴァン・ジョーヌを合わせると。
おおー、美味しい。第一印象から、相性はとても良いですよ。
パスタはウニの香りをまとって口の中でふわふわっと広がっていくような感じで、ヴァン・ジョーヌの下方向にどっしりと落ち着いた味わい、ミネラルのしっかりとした骨格が加わることで、全体としての構成が完成されて行きます。とてもリッチです!
またパスタとヴァン・ジョーヌのつなぎ役として、醤油がとても良い役割を果たしているように感じました。旨味をぐっと増強してくれますよ。
フレーヴァーの相性も想像通りに良いです。磯っぽい風味とも、ワインが喧嘩していません。
もしかすると上に散らすのは水菜より、細く切った海苔が正解だったかもしれませんね。
それにしても、十分にマリアージュと言っていい組み合わせだと思います。満足です!
さて今回は2つほどペアリング・ポイントがありました。
・高級ワインであれば、少し食材も奮発して料理とワインの「格」を合わせる。
・そして、一般的にマリアージュすると言われている食材から類推し、別の似たエッセンスをもつ料理とのペアリングが考えられる。
ヴァン・ジョーヌに限らず使えるテクニックなので、みなさんも合わせる料理に迷ったら使ってみてくださいね!
では、次回も金曜日にお会いしましょう。
今回のペアリングワイン:『フィリップ・ヴァンデル ヴァン・ジョーヌ・レトワール 2012年』
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