ワインボキャブラ天国【第69回】「クルミ」 英:walnut 仏:noix
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「クルミ」
英:walnut
仏:noix (女性名詞:発音は「ノワ」)
第68回のヘイゼルナッツに続いて、同系統の表現ワードのご紹介となりました。
今回は「クルミ」。
誰でも一度は口にしたことのある馴染み深い食べ物ですよね。
ヘイゼルナッツの回でも書いた通りですが、ナッツ系の香り・味わい要素は基本的には樽熟成に由来するものです。
酒類の熟成用木樽は製造時に木材に焼きを入れ、そのローストの強弱により樹木からの香り要素の付着度合いを調整することができます。
ワイン生産者たちは樽メーカーに樽を発注する際に、自分たちの造りたいワインのスタイルに合わせて樽材の産地(産地によって香りが変わります)や焼きの度合いを選び、オーダーメイドで造ってもらうことが主流。
木樽は1本1本ハンドメイドで造られるので、こういった柔軟な対応も可能。
ただ、その分木樽は非常に高価・・・安いものでも5万円以上、フランスの高級樽材を使用したものだと1本あたり10万円以上するものもあります。
【樽についての詳しくは、こちらのコラムをご参照ください!】
樽熟成の効果として現れる香りには、バニラ系の甘い香りからナッツ系の香り、木そのものの香りなど様々な要素があります。
ざっくりですが「茶色っぽいもの」の香りは、概して樽熟成(×熟成期間の長さ)に由来することが多いですね。濃い茶色の要素が見つかったら、樽の焼きの強さや長い熟成期間に影響されたものだと判断してよいと思います
*ここでいう「熟成期間」は、樽熟成やブレンドが終わり瓶詰めされてからの熟成期間、も含みます。
本題に戻りますが、前述したとおり、今回のテーマである「クルミの香り」も基本的にはこの樽材由来の香りとなります。
この香りが見つかるワインは主に樽熟成をした白ワイン・スパークリングワイン(シャンパーニュ)など。
仏ブルゴーニュやカリフォルニアのシャルドネ×樽熟成ワイン、ブラン・ド・ブラン・シャンパーニュで少し熟成をさせたもの、などが代表でしょうか。
甘く香ばしくローストしたようなクルミの香りは、時に味わい要素にも含まれています。
香りから余韻まで、ワインを楽しむ一連の流れの始めから終わりまで存在感を示していることも。
日常的に馴染みのある食べ物ですから見つけやすく、イメージとして明確に受け止められるのでは。
クルミならどこのスーパーでも売っていますから、買ってきて改めて香りの要素を確かめてみるのも良いかと思います。
しかもクルミならそのままワインのおつまみにもできちゃいますから一石二鳥!
幅広く、いろいろなワインに合わせて楽しめますよ♪
ということで本日はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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