ワインボキャブラ天国【第165回】「最終回まとめ＆これからワインをはじめる人のために」

連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナーです。

第165回はいよいよシリーズの最終回となりました。
今回は最後のまとめでもあり、そしてこれからワインに出会い、奥深い面白さにハマっていく人に向けて「ワインと言葉」について改めて書かせて戴きます！

シリーズ全体、総括します！

このシリーズで取り上げたワインボキャブラリーは164語。
序盤は『ワインの香りや味わいを表現するときに使う喩え表現』から始まり、後半では『ブドウ栽培・醸造作業に関連する用語』まで様々な言葉を取り上げてきました。
＊コラムの一覧ページでは更新の新しい順に掲載がされていますので、実際にはこの「最終回」が一番頭に表示されています。

序盤の『喩え表現』については、ワインを楽しむ特に「今嗅いでいるこの香りは何かに似ているけど、でも言葉で言い表せない・・・」という場面を想定し、ワインを表現する際に良く使われる果物や花、スパイスなどの具体例を挙げ、その香りがどんな産地・どんな品種のワインに使われるのか、についてご紹介しました。

そして後半の栽培・醸造用語については、フィラディス含め一般的なワイン屋さんの説明・紹介記事などを読んでいると頻繁に出会うような用語を選び、あまり専門的にはなり過ぎず「この辺まで知っておけば十分」な概略程度を説明する形としました。

そして、トータル164語。ワインを楽しむ上で知っておくと便利な言葉がカバーできているかは、僕が所有してる数冊のワイン用語の辞書と照らし合わせていますので、ある程度は押さえられているんじゃないかと思います。

勿論、僕自身も全ての言葉を正しく把握して使いこなせているのかというとそんなことはなくて、自分自身もこのコラムを書きながら初めて知ったこと、改めて学んだことが沢山あります（いやあ、本当に勉強になりました！）。
ですから、このコラムアーカイブはこれから皆さんがワインを楽しむときに「この言葉なんだっけ」とか「○○っぽい香りのするワインってあったよな…でもどの品種だったかな」なんて思ったときの調べ先として使って戴けたらと思います。

そして、これからワインを深めてみようかな…という方は、ざっと見て気になった言葉から読み始めて戴ければと思います。
「え、ワインの言葉でなぜ“鉄”？」とか、そんな言葉が結構あるはずですよ。

とは言え、言葉だけが大事なわけじゃありません

と、こんなコラムを164回も書いてきながら思うのは、ワインを楽しむ上では香りや味を言葉にするのが一番大事なわけじゃないよな、ということです。
僕らみたいなワイン業界の人間はついついワインを一定のテイスティング用語とか醸造用語の中に押し込めて、品質のレベル設定やカテゴライズをしたくなってしまうのですが…それがワインを純粋に心から楽しめなくしてしまっているのも事実です。

ワインを飲む会で誰かが「このワイン、○○みたいな香りがするよね～」と言ったら、その瞬間から○○の香りしか感じられなくなってしまったこと、無いでしょうか。最初に言われたコメントに引っ張られてしまって、そのワインはそうとしか思えなくなってしまう。僕もいまだにそうなんですけども、それってなんだか人の感想に支配される感じで、正直モヤモヤするんですよね。

ですから、ワイン用語のボキャブラリーを増やすことや表現が上手くなることにばかり目を向けず、自分自身が気楽にワインと向き合い、純粋においしさを味わい、飲む時間を楽しんで戴きたいなあと思います。
何だか今までにやってきたことと矛盾するような締めくくりにはなってしまいますが、これからこのコラムを読む方たちも、そのくらい肩の力を抜いてワインの言葉と接していくと良いのではないでしょうか。

それではこのコラムシリーズ、そして五十嵐がフィラディスで担当するコラムもこれにて全て終了です。
これまでのご愛読、本当にありがとうございました。
あなたのワイン世界が、言葉と一緒にこれからも大きく広がりますように！！