ワインボキャブラ天国【第146回】「ソムリエ/ソムリエール」 英:wine-waiter(ソムリエ、で通じますが)仏:sommelier/sommeliere
- 2022.10.23
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ソムリエ/ソムリエール」
英:wine-waiter(ソムリエ、で通じますが)
仏:sommelier/sommeliere(発音は「ソムリエ」「ソムリエール」)
目次
「ソムリエ」とは?
今回はワインの香り・味わい表現でも醸造や栽培の用語でもなく『ソムリエ』という言葉を選んでみました。ワイン好きの皆さまには今更この言葉の説明など不要かもしれませんが、『ソムリエ』という職業・仕事の由来などについてもご紹介してみようかな、と思います。
さて、まずは国語辞典「広辞苑」で『ソムリエ』という言葉を調べてみました。
「フランス料理店などで、ワインの仕入れ・管理を担当し、また客の相談を受けてワインを選定・提供する専門職。」とありまして、まさにこれが「ソムリエ」の仕事の内容ですね。ただこれだけでコラムを終わるわけにもいきませんので 笑、この職業の歴史から調べてみることにしました。ご興味のある方はお付き合いください。
もともとは王様の「毒見係」でした。
『ソムリエ』という仕事の発祥は明確には分かっていませんが、もともとは中世ヨーロッパの王族が雇っていた食事係が起源とされています。彼らは飲食物の管理から食事前の毒見までを担っており、彼らが飲食物を運ぶ際に使用していた荷車=Sommier(ソミエ)という言葉が次第に変化して『ソムリエ』に変わっていったようです。
18世紀末にフランス革命が起こると、それまで貴族が抱えていた料理人たちが市中で店を開くようになり、それが今の「レストラン」の元になっていきます。
当時ワインは蔵元から木樽入りのまま納品されており、レストランの倉庫(=セラー)で樽入りワインを小容量の瓶に詰め替え、テーブルで提供できるよう準備をする担当者がいました。彼らが中世の『ソムリエ』的な役割を継承していった形です。
*余談ですが、稲垣吾郎さん主演でドラマにもなった90年代の漫画『ソムリエ』で「ソムリエとは“樽を運ぶもの”という意味だ」との記述があり、これはこの時代の話をしているのだと思います。
もうこの作品を知っている方も少ないですよね…文庫版も出ていますので良かったら読んでみてください。30年位前のワイン業界のことが良く分かってなかなか面白いですよ。
今のようにサーヴィスをする人が『ソムリエ』になったのは・・・
その時代のソムリエは基本的には「ワインセラーの在庫を管理して、移し替えをする人」でしたが、レストランで食事をする文化が浸透していくにつれ給仕人(ウェイター)に対してワインの質問・相談をする人も増えていったようです。その際に給仕人が答えられなかった内容につきセラーの管理人が代わりにアドバイスをしたのが現在の『ソムリエ』の仕事のはじまりのようです。
レストランでソムリエさんが出てくると何を話せばよいのか分からず緊張してしまう…という方は少なくないと思います。ですが「広辞苑」にも書かれているように彼らはあくまでもワインの「相談を受けて選定・提供をしてくれる人」。決して、ワインの知識をひけらかしたり、高いワインを無理矢理売りつけようとしたりするのが仕事ではありません(*残念ながら今もごく稀にこういう年配ソムリエがいるのですが…。)。
僕も含めまして、自分の「毒見係⇒好みのワインかどうかを判断してくれる人」くらいに考えて戴ければよいと思います。
ワインについて聞きたいこと、自分の好みや要望があるなら遠慮や躊躇せずにどんどんソムリエに相談しよう、そうしよう!
ということで今回の「ボキャブラ天国」はこれにて終了。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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