ワイン職人に聞く、10の質問【第63回】シャンパーニュ・ドワイヤール (フランス・シャンパーニュ地方)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第63回 シャンパーニュ・ドワイヤール (フランス・シャンパーニュ地方)
オーナー・醸造家 ギョーム・ドワイヤールさん
第63回に登場するのは、シャンパーニュで今注目度をめきめきと上げている職人的生産者『ドワイヤール』。
あの『サヴァール』や『ランスロ・ピエンヌ』、『フルーリー』、『ピエール・パイヤール』更に『ピエール・ペテルス』など、今最も注目の職人的シャンパーニュ生産者グループ『Les Artisans du Champagne レ・アルチザン・デュ・シャンパーニュ』に属する造り手です。
以前、この生産者を取り扱い始めたばかりの頃にシャンパーニュを訪問した折、ドワイヤール兄弟に会いじっくりと話をする機会がありました。
その時に僕が各生産者に必ず聞いていたのが、「ワイン造りにおいて“職人”であるということは、どういうアプローチだと思いますか?」という質問。
その質問にニックとギョームのドワイヤール兄弟は「ただブドウを見つめ、想像し、考え続けることだね」と答えてくれました。
つまりドワイヤールの哲学は「ワインに化学的に介入することなく、最高のテロワールと区画から品質の優れた果汁を得る」ということ。
ブドウに深く根を張らせ、自然のもたらす魔法を吸収し、ワインが自らテロワールを表現してくれるのを待つ、というアプローチです。
真の職人は、畑で生まれたブドウの個性をワインにするときに決して損なわない。
その宣言で、テロワールをボトルに閉じ込めることに命を懸ける職人とまた一人出会えた、と確信しました。
それでは今週も生産者の哲学に迫る一問一答インタヴュー、始まりです!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒僕のファミリーは長年に渡ってシャンパーニュ造りをしてきたから、その世界に入るために生まれ落ちたようなものなんだ。
子供の頃からずっと見てきた世界、自然とワイン造りの仕事に夢中になったよ!
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒僕はまだまだこの仕事でのキャリアが短いからね・・・
ただ沢山のワインに囲まれた環境にいるだけで、いつも常に嬉しいんだ 笑
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒これまでに一番辛かったのは、ワイン造りをしていた兄のシャルルが亡くなった時だ。
それをきっかけに僕は実家に帰り、ドワイヤールでのワイン造りに携わることになったんだ。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒栽培醸造家の全員が言うことだと思うけど、質の良いブドウを造ること、もうそれ以外には考えられないね。
1年の間に畑でするすべての作業が収穫できるブドウの状態に関わって来るから。
僕たちは手にしたブドウの全てを尊重して、ワインに変わっていくところをただ見つめるだけだよ 笑
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒僕の理想とするワインは、そのワインを表現するために沢山の言葉を並べ立てなくても、自然と人の心に響いてくるワイン。
ワインそのものがすべてを語ってくれて、飲んだ人全てがそれを感じ取れること。
そんなワインがいちばん素晴らしいと思わないかい?
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒1本には絞れないので、3本書かせてくれる?
『シャトー・オー・ブリオン 1961年』、『エマニュエル・ルジェ エシェゾー2013年』、そして『ロマネ・コンティ』のドメーヌで様々なキュヴェを飲ませてもらった時!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒ドワイヤールは色々なキュヴェがあるからそれぞれで違うけど、共通して言えるのはやっぱりフレッシュなシーフード。日本だったら殊更だろうな。
白身肉とだって勿論合うし、ワインだけで楽しんでも存分に楽しめる。
僕たちはそんなワインを造っているつもりだよ!
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒これは今までで一番簡単な質問だ 笑!
迷わず、ブルゴーニュと答えるね。
世界で最も素晴らしいワインが生まれる場所、いつか絶対造ってみたい!
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒『シャンパーニュが出来る前、ワインの段階で全てが決まっている』。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒日本のワイン好きの皆さんにメッセージか、そうだな・・・
人生の中で少しでも多くの時間が、素晴らしいワインと共にありますように!
・・・ギョーム・ドワイヤールさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
理想のワインは、「ワインを表現するために沢山の言葉を並べ立てなくても、自然と人の心に響いてくるワイン。」
そうなんですよね・・・!
土曜日にワイン表現のコラムを書いている僕も、実は本当はこう思っています。
僕は何分これが商売なもので、ワインの魅力を伝えるためについつい沢山の言葉を連ねてしまいますが・・・
本音はただ「とにかく、飲んでみて!」とだけ言いたい。
Firadisのワイン紹介コメントに書いてある言葉はあくまでも選んでいただく時の参考。
僕を始め、テイスター個人が感じ取ったことを書いているだけに過ぎません。
「Don’t think, feel!」
五感と心で、ワインを楽しんで下さいね。
ドワイヤールのワイン、どれも本当に素晴らしい出来ですよ。
『シャンパーニュ・ドワイヤール キュヴェ・ヴァンデミエール ヴェルテュ・プルミエ・クリュ・ブリュット N.V.』
『シャンパーニュ・ドワイヤール レヴォリュシオン ブラン・ド・ブラン・グラン・クリュN.V.』
『シャンパーニュ・ドワイヤール キュヴェ・クロ・ド・ラベイ』
『シャンパーニュ・ドワイヤール キュヴェ・ウイユ・ド・ペルドリ』
『ドワイヤール キュヴェ・ブラン・ド・ブラン ミレジム・グラン・クリュ』
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