あ、せかんどおぴにおん 第12回「トマダ・デ・カストロ グラン・リバド・アルバリーニョ」
目次
『あ、せかんどおぴにおん』第12回
「トマダ・デ・カストロ グラン・リバド・アルバリーニョ」
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
9回目にとりあげるのは、「トマダ・デ・カストロ グラン・リバド・アルバリーニョ」です。
アルバリーニョ収穫の様子です。
アルバリーニョ
スペイン最西端、大西洋岸の穏やかな気候に育まれた高貴品種『アルバリーニョ』種は、リースリングやヴィオニエ等、香り高い品種の良い点を様々に併せ持つ「いいとこどり」品種。塩とレモンだけなどシンプルな味付けの魚料理に合わせると最高のマリアージュを見せてくれる白ワインです!
さて今回のワインはスペインのリアス・バイシャス産のアルバリーニョ100%の白ワインです。商品ページのコメントにもある通り、魚料理に合わせると最高なのですが、その理由がちょっとロマンあふれる展開になっているので、ご期待ください。
さて、順に話していきましょう。
アルバリーニョは非常に果皮が厚いです。これが暑さに対する耐性を高めます。この暑いスペインの大西洋岸に長い年月をかけて適応した、土着品種ということです。アルバリーニョは日本やカリフォルニアでも栽培されているのですが、今回の産地であるリアス・バイシャスはアルバリーニョ生産の9割を占め、しかもこの品種の原産地とされています。なのでこのアルバリーニョの特徴を語るためには、リアス・バイシャスを語らざるを得ません。
リアス・バイシャス
ではリアス・バイシャスについて語りましょう。リアス・バイシャスはスペインを代表する白ワインの名産地で、スペイン北西部、ガリシア地方に位置します。かわいらしい手書きの地図はこの地域を拡大したものです。すぐ南はポルトガルという地域。リアス・バイシャスの中でも色が塗られているところが主な生産地域で、今回のワインはピンクのバル・ド・サルネスのワインです。
この地図を見て気づいてほしいのは、海岸がギザギザしている=リアス式海岸ということです。というかリアス・バイシャスですからね。日本の三陸地方なんかもそうですが、こういった入江になっているところは波が穏やかになるので一般的に漁業が盛んになります。このリアス・バイシャスもそうです。美味しい魚介類がたくさん採れます。
想像してください。あなたはワインが好きです。そしてこの漁業が盛んなリアス・バイシャスに生まれました。そうだとすれば、美味しい魚介類にワインを合わせたいとは思いませんか?そしてできれば、そのワインが魚介類との相性が抜群であればよいとは思いませんか?
現にそうなのです。
なんとこのリアス・バイシャスのアルバリーニョは、海洋性で湿度の高い涼しい気候によるほど良い酸、そして花崗岩をベースとする土壌由来の石灰質とは異なる柔らかでしっかりとしたミネラルに、潮風の影響を受けた特徴的な塩味(実際にブドウの果皮に塩分がつくのです)という、魚介類に合わせるべき味わいに、きっちりと仕上がっているのです!(そのはずです。。それを確かめるべくテイスティングします。)
魚介に合うワインだからこそ現地の人が現代まで大切に育ててきたのでしょうか。この地の人々への、まるで天からの贈り物のようなワインです。
トマダ・デ・カストロ
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒アルバリーニョのワインを開けるということは、
だから、フレッシュな果実や香り高いハーブの感じなど、
上は「ワイン職人に聞く、10の質問」からの引用です。あとの質問の回答はリンクをご参照ください。ではこのリアス・バイシャスのアルバリーニョ、その中でもなぜこのトマダ・デ・カストロのアルバリーニョを採用して、皆様に販売しているかをご説明します。
このワインに出会ったのは現地の展示会です。リアス・バイシャスの優れたアルバリーニョを探すために現地の展示会を訪れ、コストパフォーマンスが突出して高かったこのワインを見つけたそうです。当時展示会を訪れていたスタッフ曰く、リアス・バイシャスのワインはもっと高いイメージがあったのに、このワインは手ごろな価格で、しかも美味しかったとのことです。
トマダ・デ・カストロは100年以上もこの地でブドウ栽培を行う家族経営の生産者です。生産量では大手に勝てないからこそ、より品質にこだわってワイン作りを行い、低価格帯でリリースすることでより多くの方に飲んでもらいたいと考えているそう。だから先述した優れた栽培条件(涼しい沿岸、花崗岩の土壌、塩味をもたらす潮風)であるだけでなく、醸造の際は贅沢にもフリーランジュース(ブドウの重みで自然と流れ出た果汁)のみを使用する徹底ぶり。それなのに手ごろな価格という、、本当に現地の展示会で見つけられてよかったです。
とまるで美味しいことが前提のようになっていますが、本当かウソか。テイスティングで確かめましょう。ぜひ皆様もお試しください。
いよいよテイスティング
≪店長のテイスティングコメント≫
最近世界的に良く使われているワイン表現で「ソルティー(塩っぽい)」、という言葉があるのをご存じでしょうか?勿論、本当にしょっぱくて塩味がするワイン、ではありません。海の近くのミネラル豊かな土壌で育ったブドウを原料とするワインがほのかに携える「心地よい塩っぽさ」。このワインを飲んだ時の第一印象は、そんなクリーンな清々しさでした。
そしてアルバリーニョと言う品種の個性は何と言っても香り高さ。リースリング種を想起させる蜜林檎のような甘くフレッシュな香り、フローラルな品種として知られるヴィオニエ種のような白い花の印象、そしてフルーツサラダのように様々なイメージが入り乱れて広がっていくイメージ。クリーンな辛口白ワインで塩っぽさがありながらも、全体の印象は「伸びやかでソフト&フルーティ」にまとまっているという、素晴らしいバランスが楽しめます。
さていよいよテイスティング。店長は上記のように書いています。
私がまず感じたのは、濃厚なフルーツの香りです。柑橘系の爽やかな香りの中心に桃のような芯の通った濃厚で甘い果実の香りを感じます。これは爽やかな「海のワイン」を想像すると意外ですが、よく考えればここは暑いスペインですからね、これだけ熟した果実を感じるのも当然といえば当然です。
しかし実際に口に含むと、爽やかで骨太なミネラル感。前提知識があればいいですが、もし何も知らずに濃厚な果実の香りがする白ワインだと思って飲んだら、かなり驚くと思います。少しシャブリに似ているとも感じました。ただシャブリと異なるのはより純粋な塩味に近い感覚を感じるのと、やはり香りのような果実感の力強さも存在するということです。そのうえでシャキッとした酸とミネラル感が効いてきます。シャブリにも近いと書きましたが、これは税込み2,000円ちょうどですから、やはりかなり破格なワインです。
実はこのワイン、皆様からの評価が非常に高いワインでもあります。このコラム作成時点で平均評価4.29/5。意外と知られていないですが、Firadis WINE CLUBの白ワインの中でもかなり高い人気を誇っています。「まさに海のワインです!」、「冬の食卓にも」、「星5つは当然でしょう」など、有難いコメントを戴いております。
ポジティブ面ばかりを強調してしまいましたが、ぜひ皆さんには疑いの目をもって試していただければと思います。たくさんの異論反論をレビューにてお待ちしております。
ちなみにこのワインを西岡パパはタコのサラダと合わせています。また、イワシとパン粉で作る安くて簡単タパスもマリアージュ・レシピとしてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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