あ、せかんどおぴにおん 第22回「セバスチャン・クリストフ シャブリ」
『あ、せかんどおぴにおん』第22回
「セバスチャン・クリストフ シャブリ」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人(もう3年目ですが)、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
22回目にとりあげるのは、「セバスチャン・クリストフ シャブリ」です。
シャブリ特集公開中
今回のテーマは完全に最近公開されたばかりのシャブリ特集に便乗しております。フランスはブルゴーニュ地方北部、北海道の稚内よりも北に位置する、日本で非常に人気の高い超有名産地「シャブリ」。特集ページにも記載の通り、日本に輸入されるブルゴーニュの白ワインの半分がシャブリだそうです。。驚きですよね。
繊細辛口なスタイルや特殊な土壌からもたらされる個性的なミネラル感。シャブリの魅力が特集ページには書かれていますが、今回のワインの商品ページの下の方、生産者紹介の部分ではさらなるシャブリの魅力も綴られております。
ジャンシス・ロビンソンはシャブリを「最も過小評価されているワインの1つ」と著書で評し、「素晴らしい品質に加え、コート・ドールの白よりも安価で多くの場合が長命である点からすると、シャブリのワインは非常に優位に立っている」と述べている。
あの大権威ジャンシス・ロビンソンが最も過小評価されている、なんて言ってます。品質は高く、相対的に安価。いいことづくめです。
近年の温暖化がシャブリに及ぼす影響も見逃してはならない。
1つ目は冷涼なシャブリでもブドウが安定して熟す様になり、ヴィンテージ毎の品質の差が縮まっていること。2つ目はブドウの熟度が高まった事によるスタイルの多様化である。
フレッシュさを保持しながらコート・ドールを彷彿とさせるリッチなスタイルも作られる様になっており、シャブリ=ミネラル・キレという従来のイメージの枠を飛び越え、多様なスタイルのシャルドネを提供する産地としての進化を見せつつある
温暖化で安定して熟すようになっただけでなく、リッチなスタイルも造られるようになった。シャブリの従来の常識が覆されているわけです。
スタイルも多様になり、輸入されるブルゴーニュワインの半分、というくらい数も豊富。選ぶのが大変!どうやって選べばいいのか。そんな時は、ぜひ厳選したシャブリ特集からえらんでください。(シャブリ特集の宣伝です笑)
そして今日テイスティングするのは、そのなかでもセバスチャン・クリストフのシャブリです。
セバスチャン・クリストフ
- ブルゴーニュの著しい価格高騰の中、美味しいシャルドネを探す際にシャブリは最良の選択肢になりえる。その中で彼のワインは最高級のコストパフォーマンスを実現している。
- 若木からのブドウはすべてネゴシアンへ売却することで、スタンダードレンジであっても非常に凝縮された味わいになっており、クオリティが高い。
- シャブリらしいキレとミネラル感。ピュアな果実。張りのあるボディ。柔らかくも伸びのある酸。絶妙に溶け込んだ澱の成分。これらすべてが見事なバランスを保っている
商品ページに書かれている生産者の3つの特徴は上記の通りです。コストパフォーマンスが高くて、凝縮された味わいで、ミネラル感、果実、ボディ、酸、澱の成分すべてが見事なバランスを保つ。もはや長所ばかりで嘘っぽいくらいです笑
特筆すべきは若木を徹底して使わないというこだわりです。
古木=ヴィエイユ・ヴィーニュになればなるほど凝縮感が高まるのは、より根が深くなって豊富な養分を吸収したり、房の数が減ることで一房に送られる養分が増えることによります。(詳しくは下記コラムを参照ください。)
セバスチャン・クリストフはこのスタンダードレンジから若木を徹底して使わないだけでなく、特に樹齢の高いブドウのみを使用した、シャブリとしては珍しい「シャブリ・ヴィエイユ・ヴィーニュ」も造っているくらい樹齢へのこだわりが強い!それゆえの凝縮感が感じられるのです。
それでは実際のところを改めて確かめるべく、いよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
≪こんな香り・味わいのワインです≫:
甘く熟したパイナップルに桃、蜂蜜の甘い香りにフローラルな印象。とにかくフルーツ感たっぷりなスタイル。酸も非常に柔らかで締め付けや厳しさは一切感じさせず、ただそのリッチな味わいに浸って流されていれば幸せ・・・というタイプの1本ですね。抜栓から20分程経過したころから果実の甘味とボリューム感が一気に増大し始め、1時間後には驚くようなスケールに展開。
まずは存分に冷やしておいて、少しずつ温度を上げながらご自分の好みの味わいバランスになる温度帯を見つけてみてください。その温度をキープしつつ時間をかけてゆっくりとこのワインに向き合って楽しむ・・・なんて贅沢なワイン時間なんだろう、と思うはず。魚料理よりも鶏や豚肉がお薦め、シンプルに塩・胡椒・レモンだけで合わせてみてください!
店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。
こちらまず、温度なんですが、いろんな温度で飲むのが楽しいです!
キンキンに冷やしておくと、とにかく爽やか。柑橘のフレッシュ感が香りからも味わいからも。個人的にはレモンやみかんのイメージ。味わいもそれこそみかん、オレンジのような柑橘系がしっかり強めに感じられます。そして温度が上がっていくとよりたっぷりとした味わいにまとまっていきます!フレッシュ感は維持したままに、厚みが増していく感じです。
あとは何よりもこのワインの魅力はコクです。後味のコクがしっかりとあります。ただフレッシュなだけでなく、満足感にもつながります。
シャブリらしいきりっとした感じはありますが、もっと大きな視野で「シンプルに美味しいシャルドネ」、という感じです。料理もシンプルな味付けなら何でも合うと思います。使い勝手もバッチリです。
以上。皆さんも是非お試しいただければ幸いにございます。
宜しければ下記の記事も是非ご覧ください。
Firadis WINE CLUBの篠原がお送りいたしました。
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