ワインペアリング奮闘記 第181回 変化球には、変化球で応えよう / フィリップ・ヴァンデル シャルドネ・トラディション
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変化球には、変化球で応えよう
今回のお題は、フィリップ・ヴァンデル シャルドネ・トラディションです。
産地はフランス、ジュラ地方。品種はシャルドネです。
シャルドネと言っても、こちらはかなり個性的な味わいです。
フィリップ・ヴァンデルはヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)の生産者であり、ジュラ地方ならではの産膜酵母のフレーヴァを生かした白ワイン作りが、このシャルドネにもしっかりと用いられています。
テイスティング
色調はストローイエロー。
香りは特徴的なシェリー香。ナッツの香ばしさに、畳表、オリエンタルスパイス。あー、これこれ。
口に含むと洋梨のように、穏やかな酸を湛えた大振りの果実味。この辺りはシャルドネっぽさがあります。
落ち着いた熟成感があり、中盤から強めのコク、軽い苦味を伴った塩味。
アルコール感は程よく、そして余韻は長い。
やっぱり、旨いなぁ!けど、うーん、表現が難しいですよね。
このワインの個性ばかりは、飲んでみなければわからないかも・・・。
合わせる料理『サバのココナッツカレー』
この手のワインってハードチーズをつまみに飲むだけでも十分美味しいんですけど、
実は意外なくらい、様々なタイプの料理に合うんですよね。
ちょっと紹興酒にも似ているので、中華料理とか。アジア系にも合わせやすいです。
一般的にワインとのペアリングが難しいとされている、青魚や、カレーなんかにも合わせることができます。
というわけで、今回はサバを使ったカレーで実証実験をしましょう!
レシピ
玉ねぎを飴色に炒めて、生姜、ニンニクの微塵切り、角切りトマト、塩、カレー粉を炒め合わせてマサラベースを作ります。水分をよく飛ばして下さいね。
お湯と、サバ缶を汁ごと加えます。煮たったらココナッツミルク、揚げ焼きしたナスを加えて軽く煮ます。
仕上げにクミンをごま油で黒っぽくなるまで熱した香味油を作り、カレーに「じゅっ」と加えます。
薬味はパクチーと針生姜で。ご飯にかけて召し上がれ!
ペアリングレポート
【総合評価】 星5つ:★★★★★
【評価ポイント】
○厚みのあるココナッツカレーのテクスチャに、ワインの酸味とミネラルでしっかりと拮抗しバランス
○ごろっとしたサバの身にワインの酸味が心地よく染み込み、旨味をぐぐっと引き上げます
○ワインの個性的な香りが、生姜やパクチー、クミン等のスパイスのフレーヴァと手を取り合ってダンス
おっと・・・テンションが上がって韻を踏んでしまいました。
自画自賛ですが、これは旨い!
さまざまなフレーヴァがお皿という舞台の上で共演する、小劇場のようです。
そんな楽しさいっぱいのペアリングになりました。
(西岡)
今回のペアリングワイン:
今回のお題は、フィリップ・ヴァンデル シャルドネ・トラディションです。くせになるフレーヴァが、あなたのワイン感を覆すかもしれません・・・
筆者は他のフィリップ・ヴァンデルのワインについても、ペアリングコラムを書いています。
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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