ワインペアリング奮闘記 第94回 ドメーヌ・ルイ・ギョーム ボーヌ × 鶏肉の北京ダック風
ワインペアリング奮闘記 の記事一覧ブルゴーニュのコート・ド・ボーヌ地区、ボーヌ村産のピノ・ノワール100%赤ワインです。
グラスに注ぐと、紫がかったやや淡めのルビー。
香り豊かですね。ブルーベリー、クランベリー、チェリーなど。黒系を中心に赤系がミックス。外交的な印象です。
その奥に茶系スパイスや、ピンクペッパー、ピノ・ノワールらしく品の良いダージリンのような香りも取れます。
口に含むと、するすると流れ込むような滑らかな口当たり。
味わいはジューシーで果実の膨らみと、フレッシュな酸味を感じます。
タンニンのキメは細かいですが若々しく、くっつく感じがあります。
野生のベリーを噛み潰したような感覚。
中盤は、瑞々しい酸に加えてミネラル感、ほんの少しの苦味、ベリーのフレーヴァと共にリコリスの香り等が加わり、豊かな余韻として残っていきます。
全体としてバランスが良くジューシーさがあって、上品ながら、ナチュラルで親しみやすいブルゴーニュ赤ですね。
合わせる料理:
全体の印象からいって、軽めの肉料理が王道でしょう。
ピノ・ノワールのペアリングでよく思い浮かぶのは鶏肉です。
ボリューム感も、ベリー香も、鶏肉ってよく合うんですよね。
このワインもブルゴーニュらしいミドル・ボディ、ごく軽く樽のニュアンスもあり、タレやスパイスを使った焼き鳥や、照り焼き等が合いそうな雰囲気があります。
ただ今回は村名クラスでなかなかの品格を持った赤ワインですから、料理もちょっと一手間、頑張って御馳走感を出したいですね!
このワインの持つ滑らかな口当たりや、輪郭の柔らかさのあるテクスチャに合わせて考えてみましょう。
では鶏肉にタレをつけてを薄く伸ばした小麦の皮で包んで食べる、こんな料理は如何でしょうか?
『鶏肉の北京ダック風』です!
レシピ:
鶏胸肉の皮目にフォークで穴を開け、厚みのある部分には切り込み入れ、塩で下味を。
フライパンに皮目を下に入れて中火で7分程、時々押さえながら皮目がパリッとするまで焼きます。
裏返してさらに3分ほど焼いたら、紹興酒、砂糖、醤油を加え煮詰めるように肉に絡めます。
この鶏肉を少し休ませて、カットし、五香粉を振ります。
小麦皮は、春巻きの皮を利用しました。熱を通した状態で売っていてそのまま食べられるものです。
タレは甜麺醤、蜂蜜、すり黒ごま、ごま油、醤油を混ぜ合わせたもの。
一緒に包む付け合わせの野菜はキュウリ、白髪葱、香草です。
↓鶏肉にタレをつけて、野菜と一緒に巻いて食べます。
ペアリングレポート:
見た目は豪華ですが、案外簡単でした。
早速いただいてみると、春巻き皮のむちっと柔らかい口当たりの内側に、パリッとクリスピーな鶏皮とフレッシュな野菜、ぎゅっと噛むとジューシーな肉汁が広がります。良い感じですね。早速ドメーヌ・ルイ・ギョーム ボーヌと食べ合わせてみましょう。
うんうん。表面のシルキーなテクスチャ、鶏肉の旨味、タレの甘味、これらがワインの果実味と同調して、良い感じに相乗効果が出ていると思いますよ。
これはアリですね。美味しいです!
少し気になるところを挙げるとすれば、脂身を吸収する小麦皮や、しゃっきりとした野菜と一緒に口に運ばれることで、思ったより鶏肉がライトに感じます。
自ずとボリュームバランス的としては、ワインがやや勝っているように感じられますね。
また、キュウリや香草によって、全体に青みのあるフレーヴァーが加わります。
私はあまり気にならないのですが、赤ワインに青みのフレーヴァーは嫌、と思う方には少し考えものかもしれません。
この鶏肉の北京ダック風を食べながら、改めて合うワインについて考えてみたのですが、ブルゴーニュ赤であれば、5年〜10年くらい熟成したもののほうが、パワーバランスとしても、五香粉や甜麺醤の風味にも合うのではないかなと思いました。
もしくは、ロゼワインやゲヴュルツトラミネール等のアロマティック系の白ワインはフレッシュなヴィンテージでも案外合うかもしれません。
また、鶏肉ではなく本式に「ダック」を使った場合は料理に強さが出ると思うので、合うワインもガラッと変わるでしょうね。今回のドメーヌ・ルイ・ギョーム ボーヌがより合ったかもしれません。
というわけで、良い勉強になった今回のペアリング。
家族で幸せにいただきましたよ。皆様も是非お試しくださいね。
それでは次回もお楽しみに!
-
前の記事
ワインペアリング奮闘記 第93回 ヴィノジア ネグロアマーロ・オルス × スペアリブの赤ワイン煮 2021.04.09
-
次の記事
ワインペアリング奮闘記 第95回 ドメーヌ・テール・ブランシュ サンセール × カレイの唐揚げ 2021.04.23
コメントを書く