ワイン職人に聞く、10の質問【第65回】クイントデーチモ (イタリア・カンパーニャ州)
- 2020.11.15
- ワイン職人に聞く、10の質問
- イタリア, ピノ・ノワール, ブルゴーニュ, ボルドー, マリアージュ, ワイナリー, 哲学, 樽, 熟成, 生産者, 発酵, 白ワイン, 職人, 赤ワイン, 香り
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第65回 クイントデーチモ (イタリア・カンパーニャ州)
オーナー・醸造家 ルイジ・モイオさん
第65回はイタリア・カンパーニャ州を代表する偉大なエノロゴ(醸造家)、『クイントデーチモ』のルイジ・モイオさんが登場です!
カンパーニャ州のトップ生産者の多くにコンサルティングを行い、なんとナポリ大学では醸造学の教授も務めるルイジさん。
ワインに対する考え方も常に科学的・論理的なアプローチなのだろうな、と予想していたのですが・・・・そのワイン哲学には意外な言葉も。
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒ナポリ大学の研究者および教授としての長年の仕事の中で、私はワイン造りに関して非常に強力な理論的基礎を得ることが出来た。
そして時が経つにつれて、そのすべてを自分で実行したいという欲求が抑えられなくなったんだ。
だから自分自身の全知識を思うがままに使い、自由に表現できるワイナリーを立ち上げることにした。
素晴らしいワイン、私がいつも夢見ていたワインを造る自由を手に入れたんだよ!
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒それはやはり毎年の収穫だね。
収穫は植物学的にはブドウのその年の生育サイクルの終わりに過ぎないが、我々生産者にとっては1年間の努力、忍耐、そして希望が実る時でもある。
1年間の仕事がブドウの果実として結実する・・・感慨深い瞬間だよ。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒ワイン造りの1年で一番心が休まらないのは、実は春の芽吹きの頃なんだ。
芽は非常に繊細で気候変動などにも弱いから、とにかくこの時期が一番心配だね。
そして収穫時期にまた何か起こるか分からない不安に駆られ、そのタイミングを見極めることの難しさにまた思い悩む・・・と言った具合だよ。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒白ワインの最も重要なプロセスはアルコール発酵、その制御と的確なコントロールだと思う。
赤ワインについてはアルコール発酵だけでなく、果皮からの色素・タンニンの抽出管理も重要なので、より複雑だね。
ブドウの全成分が良質なワインを造ることに繋がるわけではないから。
そして赤ワインについては、樽熟成の期間をどう設定するかも非常に重要だ。
香りと味わいがそこで大きく変わってしまうからね。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒私がワインに求める理想は3つ。
まず感覚的な視点で見て非常に純粋であること。
2つ目に香りが複雑且つ味わいのバランスが取れていて、そして土壌や気候などその土地の持つ個性が現れていること。
最後に、長期的に熟成するポテンシャルを持ちながら、時間を経てもその若々しさを保ち続けるワインだ。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒これまでに本当にたくさんのワインを味わってきたが・・・
実は私にとって最高のものは、ボルドーとブルゴーニュ・ピノ・ノワールのフュージョンワインだ。
これは相当貴重な体験だったと思うよ!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒飲みごたえのあるアリアニコ100%のワインに、グリーンペッパーのソースを使った牛フィレ肉のステーキだね。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒私はそれでもイタリアを選ぶね。
偉大な産地、ピエモンテかトスカーナだ!
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒「偉大なワインは、科学と詩(Science and Poetry)、そして測定可能なものと計り知れないものの完璧な融合である」。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒ワインの美しさは、産まれた産地との絆の中で産まれてくるものなんだ。
この素晴らしい飲み物が私たちに与えてくれる喜びを、存分に楽しみましょう!
・・・ルイジさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
非常に論理的なスタンスにいながらも、最後は「偉大なワインは、科学と詩の融合」・・・なんて、やはりワイン造りは工業製品を開発するのとは全く違うことを実感させてくれますよね。
彼の造るワイン、特に最上級の赤タウラジは本当に繊細でバランスが大切にされたスタイルで、ただ濃いだけ、フルーツ感たっぷりなだけの南イタリアワインとは一線を画しています。
白ワインは南ならではの果実のヴォリューム感がありつつも洗練された綺麗な味わい。
南イタリアの至宝、是非ともこの機会にご体験ください!
『クイントデーチモ ヴィア・デル・カンポ ファランギーナ 』
『クイントデーチモ エクスルテト フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ』
『クイントデーチモ ジャッロ・ダルレス グレコ・ディ・トゥーフォ』
『クイントデーチモ ヴィーニャ・クイントデーチモ タウラジ・リゼルヴァ』
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