ワイン職人に聞く、10の質問【第81回】ピヒラー・クルツラー(オーストリア・ヴァッハウ地方)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第81回
ピヒラー・クルツラー(オーストリア・ヴァッハウ地方)
醸造家:エーリヒ・クルツラーさん
連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、今回話を聞いた生産者は、オーストリア最上の産地ヴァッハウ」で今世界中のワイン評論家・専門誌から注目を集めている『ピヒラー・クルツラー』。
ウィーン・フィルのコンサートでハウスワイン的に提供されたこともある、まさにオーストリアを代表する生産者のひとりです。
クルツラー夫妻がワイン造りを始めたのは2006年と長い歴史はありませんが、オーストリア伝統産地の昔ながらの保守的な価値観・制度から脱却すべく生産者組合には加わらず、テロワール表現第一主義の新たな道を2人で切り拓いていきました。
専門誌ワイン・アドヴォケイトが「本誌読者は絶対に見逃してはならない。息をのむほどの品質で、即完売してしまう生産者」と絶賛した実力派、クルツラー夫妻のワイン造り哲学に、今日も10の質問で迫ります!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒僕たち夫婦は、2人ともワイン造りを生業とする家に生まれ育ったんだ。
だから、ワイン造りを仕事にするのはごく当然の成り行きだったよ!
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒その年に仕込んだワインを、最初にバレル・テイスティング(樽で熟成中のワインを直接試飲し、状態を確かめること)する時だね。今年はどんなワインになったんだろう・・・って、期待しながら。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒それはやはり、嵐や雹などでブドウがやられてしまう時しかないよ。それ以外には考えられない。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒的確に収穫のタイミングを見極めること。
それまでは・・・ひたすら待って、樹の横で見つめているだけだ 笑
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒人の小ことや感情に直接訴えかけてくるようなワイン。
ワインは、決して凡庸で退屈なものであってはならないと思っている。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒そうだね・・・沢山ありすぎて選べないけど、ここ5年くらいのうちに飲んだものだったら『アルマン・ルソー』のシャンベルタン2010年だな。果実とタンニンのバランスが本当に完ぺきに均衡している、まさに非の打ちどころの無い1本だった。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒僕はオーストリア人として、絶対にこの組み合わせを答えなきゃいけないと思っているんだ。
グリューナー・フェルトリーナーと、ウィンナー・シュニッツェル(仔牛肉のカツレツ)がとにかく最高!
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒レバノンかな?
何度も訪れているけどなにしろ美しい場所。海と山がすぐ近くにあって、理想的な環境だよ。
そして、僕はとにかく『シャトー・ミュザール(訳注:首都ベイルート北部にあるレバノンの生産者)』の大ファンでね。熟成した白が本当に素晴らしいんだ・・・僕が強くお薦めするよ!
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒ワイン造りには、特段複雑なテクノロジーは必要無い。
大切なのは情熱と自然に対する敬意で、それがボトルの中に純粋な成果として詰め込まれるものだと思う。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒今はこんな状況だけど、いつか必ず日本を訪れて僕たちのワインを皆さんと一緒に楽しみたいね。是非とも、日本料理とのペアリングを試したいよ!
・・・エーリヒ・クルツラーさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
ウィンナー・シュニッツェルとグリューナー・・・これは是非とも合わせてみたいですね!!
日本では仔牛肉を普通のスーパーで買うことは難しいですが、オーストリアでも豚肉や鶏肉をカツレツにすることが結構あるそうです。ちょっといい豚肉をとんかつにして、塩とレモンだけで・・・という感じで合わせるのが良さそうですね。
僕が早速エーリヒさんお薦めのペアリングを試してみますので、結果はまたワインコラムで報告いたしますね。
『ピヒラー・クルツラー』のワインは価格帯的にちょっと上になってきますが、飲めば絶対に納得・感嘆するクオリティ。
オーストリアで今一番の注目を集めるトップワインということで、是非とも試して戴ければと思います!
『ピヒラー・クルツラー リースリング リート・ロイベンベルク』
『ピヒラー・クルツラー グリューナー・フェルトリーナー リート・ファッフェンベルク アルテ・レーベン』
-
前の記事
ワイン職人に聞く、10の質問【第80回】ドメーヌ・デュパキエ・エ・フィス(フランス・ブルゴーニュ地方) 2021.04.11
-
次の記事
ワイン職人に聞く、10の質問【第82回】マーカス・モリトール(ドイツ・モーゼル地方) 2021.06.27