ワイン職人に聞く、10の質問【第84回】シャンパーニュ・ポンソン(仏シャンパーニュ地方)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第84回
『シャンパーニュ・ポンソン(仏シャンパーニュ地方)』
オーナー・醸造家:マキシム・ポンソンさん(写真左)
連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、今回話を聞いた生産者はモンターニュ・ド・ランス地区にて少量生産のオートクチュール・シャンパーニュを作るべく立ち上げられた新進気鋭の生産者『ポンソン』です!
彼らが大事にしているのは、どこの造り手とも似ていない自分たちだけのユニークなワイン造り。近年シャンパーニュでは例えば『シャルトーニュ・タイエ』や『ピエール・パイヤール』なドに代表されるテロワールの純粋な表現にフォーカスした若い造り手が注目されていますが、『ポンソン』は敢えて古典的なアッサンブラージュ(=数多くの品種や区画をパーツのように組み立てていくことで、目指す味わいを構築していく)の手法を取りながら、独自のスタイルを追求しています。
年産なんと1万本以下、世界の中でもごくわずかな一部のシャンパーニュ通にしかその存在が知られておらず市場での希少価値が非常に高い『ポンソン』、そのワイン造りのスピリットに10の質問で迫りました!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒昔から、自然に近いところで仕事がしたいな、と思っていたから。
巡りくる季節、過ぎていく年、そして、同じ場所で収穫されたブドウなのに毎年個性が異なるワイン・・・
僕も人間として、生き物として、そんなサークルの中にいることを忘れたくないな、といつも思っているよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒2016年、僕たち2人が初めて仕込んだ『プティット・モンターニュ』の1本目が売れた時!
それまでの5年間の仕事と忍耐がとうとう形になって・・・でも僕たちにはまだお客さんが一人もいなくてね、1件1件ワインショップやレストランのドアを叩いて売り歩いたんだ 笑
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった、大変な)ときは?
⇒父が亡くなった時。
まだ彼から学ぶべきことはたくさんあったし、僕たちには父と一緒に経験を積むことがまだまだ必要だったんだ。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒いかに品質の高いブドウを収穫するか、だけだよ。
醸造の段階で、平凡なブドウを素晴らしいワインに生まれ変わらせることは不可能なんだ。
例えば、『コック・オー・ヴァン(鶏肉の赤ワイン煮)』を作る時にだって、できるだけおいしいワインで煮込むほど料理もおいしくなるのと一緒だよ!
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒これはあくまでも僕のパーソナルな理想だけど、ある程度の緊張感と、ヴォリューム感が40:60くらいの比率で存在しているワイン。僕たちのワインが持つテロワール特性からは、このくらいが最も美しいバランスだと思うんだ。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒僕は好きなブドウ品種はあるけれど、これと言って大好きな銘柄・生産者は無いんだよね。
だけど自分の中で忘れられない1本は、2005年に飲んだポンソンの1986年ヴィンテージかな。でも実はこれを2年後の2007年に飲んだら、もうピークを越えてしまっていて、残念な印象だった。
要するに最高のワインというのは、最高のタイミングで飲むことが出来たワイン、ということだと思うよ。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒『プティット・モンターニュ』と、アスパラガスにクルミのオイルをかけたもの、それからイベリコ豚の生ハムをほんの少しだけ温めたもの、かな。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒赤ワインだった、レバノンで土着品種のワインを造ってみたい。
白ワインだったら、皆さんが住んでいる日本の北部かな。日本の粘土質土壌で、シュナン・ブランを育ててみたい。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒シンプルに「良いワインは良いブドウから」に尽きるね。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒ひととき現実から離れて、想い出を創造する。
誰かとワインを分け合って楽しむというのは、そういうことだと思うよ!
・・・マキシムさんへの一問一答インタヴューは、以上です。今回のインタヴューは如何でしたか??
僕はQ6「今までに飲んだ最高のワイン」についての答え、に強く共感しました。どんなワインにも飲むにふさわしい最上のタイミングがあり、そのタイミングで出会えたものが最高のワイン、なんですよね。
知名度のあるなし、価格の高い安い、評価の高い低いに関わらず、1本1本のワインが迎える「そのワイン史上最高の瞬間」。
フィラディスはいつもその瞬間を的確に捉えて皆さんにお届け出来る存在でいよう、と改めて思いました!!
『シャンパーニュ・ポンソン ル・プティット・モンターニュ・プルミエ・クリュ N.V.』
『シャンパーニュ・ポンソン モーパ ブラン・ド・ノワール プルミエ・クリュ』
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