【ワインのある景色】ブドウ畑の一年に寄り添って【11月】
- 2024.11.01
- ワインのある景色
- ボージョレ・ヌーヴォ、ブルゴーニュ、
このコラムではブドウ畑と生産者の1年に寄り添いながら、ワインのある様々な景色をお伝えしていければと思っています。
11月。秋も深まり、しっかりとした赤ワインが飲みたくなる季節の到来。「ワインを楽しむためのお料理を作ろうかな〜」なんて思う機会が増えた今日この頃です。寒くなるこの季節は赤ワインでお肉を煮込んだり、白インゲンとお肉やソーセージを煮込んだカスレやクスクスなど煮込み料理の出番が多くなり、ホロホロと口の中で崩れるお肉に舌鼓を打ちながら、ついついワインもすすんでしまいます。
ボージョレ・ヌーヴォ
11月といえば、毎年話題に上るワインがありますよね。皆様もきっと聞いたこと、飲んだことがあるはず、ボージョレ・ヌーヴォ(Beaujolais Nouveau)。ブルゴーニュの最南端ボージョレ地区の今年収穫された葡萄から作られた新酒(ヌーヴォ)のことで、毎年11月第3木曜日が解禁日となっています。2ヶ月前までフランスの畑に実っていた葡萄が、もうワインとなって日本で楽しめるというのは凄いですよね。早くワインにするための独特の製法で作られた、ピチピチとしたジューシーな若さ溢れる味わいを楽しむワインですが、解禁日に間に合わせるために空輸するのでワインの本質のわりには価格がちょっとお高めなのが難点で、フィラディスがヌーヴォを取り扱っていない理由もここにあるようです。本国フランスではこのボジョレー・ヌーヴォの解禁はさほど話題には上らず、大々的なキャンペーンもほとんど見かけたことはありません。
栄光の3日間(Les Trois Glorieuses de Beaune)
ヌーヴォの解禁は盛り上がりませんが、その週末土曜日から月曜日にかけて、ブルゴーニュワインの首都とも言えるボーヌの街は1年でいちばん賑わう大盛り上がりの日々を迎えます。
毎年11月第3週末から3日間開催されるブルゴーニュ最大のワインのお祭り「栄光の3日間(Les Trois Glorieuses de Beaune)」に、世界中からワインのプロや愛好家達が訪れるのです。中世の衣装を身に纏った人々のパレードがあったり、移動遊園地が出ていたりと華やかな街中では、普段は開放していないセラーやワインショップなど様々なところで試飲ができ、レストランもカフェも昼に夜に食事とワインを楽しむ人々で賑わい、街は1日中ワインの香りに包まれます。
お祭りのメインイベントは、何といっても日曜日に開催されるワインオークション。モザイク柄の屋根が美しい、今では街の象徴的建物となっているオスピス・ド・ボーヌが所有するブドウ畑から作られたワインが、樽ごとオークションにかけられます。すべての畑は施療院としてのオスピスを維持するために寄進されたもので、最初の寄進は500年以上も昔のこと。その後も寄進が続き、現在では約60ヘクタールとなった畑から作られるワインは800樽近くで、その落札価格は毎年ブルゴーニュワインの取引価格にも影響を与えるとも言われています。収益金は博物館となったオスピスの建物の修繕費と別の場所に移設された病院の設備費に使用され、当初の目的を今でも外れていません。以前は門戸の狭かったオークションですが、2005年から外資系オークション会社に運営が委託されたことによって、ネットを通じて世界中から入札が可能となりました。その分、価格は高騰が続いていますが。。。。。
イベント盛りだくさんのこの3日間は、何度訪れてもワクワクするワイン好きにはたまらない3日間です。ブルゴーニュを訪れる計画があれば、この時期をお選びになるのもお勧めです。
ライター紹介:新井田 由佳(Yuka Niida)
・J.S.A.認定 ソムリエ
・La Confrerie des Hospitaliers de Pomerol ボルドー ポムロル騎士団称号
大手総合商社在職中にワインに魅了され、退職して渡仏。ブルゴーニュを中心にフランス、イタリアの数多くの生産者を訪問し見聞を広める。知れば知るほど魅了されるワインの世界について、もっと知りたい!が現在進行形で継続中。
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