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ピノ・ノワールについて深く識る①

ピノ・ノワールについて深く識る①

「シャンパーニュを生みだすブドウ品種」の項、第2回からはひとつひとつのブドウ品種を解剖していく、深堀コラムを始めます。
まず1品種目は、「ピノ・ノワール」から始めましょう。

『ピノ・ノワール』種を代表する産地は、やはりフランス・ブルゴーニュです。
ワインスターターの方でも、有名な『ロマネ・コンティ』は知っていますよね。
『ロマネ・コンティ』は、ピノ・ノワール種100%で造られるワインです。

この品種は元来、限られた土壌・気候の環境下でないと栽培できないものとされていました。
例えばロマネ・コンティが造られる「ヴォーヌ・ロマネ」村や周辺地域の、粘土質と石灰質を含む土壌は世界で最も偉大なピノ・ノワールを作る基盤です。
そして、夏の日中は十分に温暖で、夜間は涼しくなり冬は寒い、寒暖差のある場所。
これがかつてのピノ・ノワールの育成条件でした。
ですから、ブルゴーニュ以外の主な栽培地は、それより北で冷涼なシャンパーニュやアルザス、ロワールの内陸、そしてドイツやオーストリア、イタリア北部の標高の高いエリアなどでした。

しかし、近年は品種交配・品種改良でさまざまな産地で栽培されています。
その中でも品質が優れているのはやはり欧州同様に冷涼な地域。
映画「サイドウェイ」でも注目された北米カリフォルニアやオレゴン州、オーストラリアのタスマニアやヤラ・ヴァレー、ニュージーランドのマールボロ、チリのカサブランカ・ヴァレーといった、いずれも涼しい地域です。
ちなみに、ドイツでは“シュペートブルグンダー”、イタリアでは“ピノ・ネロ”という名称で呼ばれていますが、北南米やオセアニアでは国際品種としての「ピノ・ノワール」が定着しました。

この冷涼な産地が生みだす香りと味わいこそが、ピノ・ノワール最大の個性。
それを一言に凝縮するのは非常に難しいですが、ワインにおける「エレガンス」「官能性」の両極を最も美しく同時に体現する、「魔性の品種」と言えるかもしれません。

優美で複雑性も兼ね備えた奥深い品種

では、そんな魔性のブドウ『ピノ・ノワール』とは、どんなブドウなのでしょうか。
まずはブドウの形について、から始めましょう。
ブドウの房の形は大まかに2種類に分かれます。
縦長に細長く実る品種と、丸く集まったように実る品種。
ピノ・ノワールは後者で、松ぼっくりのような形状に実ります。
フランス語で松のことを「Pin」といいますので、そこから「Pinot」という名前が付いたようです。
そして、ブドウ果実としての最大の特徴は、「果皮が薄く、色素が少ない」ことです。
以前このメルマガでも解説をしましたが、ワインの色調及び渋み成分タンニンの強弱は、全て果皮の厚さに由来します。

果皮の内側、果実との中間にある層(巨鋒ブドウの皮を指で剥いた時に残る、紫色のところです)がワインに抽出される色素やタンニン分ですので、果皮が薄いということはイコール色調が明るく、渋みが控え目なワインになる、ということです。実際、特に手頃な価格帯のピノ・ノワール(「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」など)赤ワインは、グラスに注いだものを上から覗き込むと、グラスの脚が透き通って見通せるワインが多いと思います。

そして、最も重要な特徴はピノ・ノワールの果汁に豊かに含まれる「酸」。
これがピノ・ノワールをエレガントで長期熟成するワインたらしめるポテンシャルの要です。
ピノ・ノワールは冷涼な気候で育つことにより酸を十分に蓄え、出来たての頃は野イチゴやサクランボのような赤い果実のイメージが特徴的ですが、この酸が長期熟成するにつれて枯葉や香辛料のような複雑なニュアンスを獲得していきます。
実際、ピノ・ノワールの生産者が自分のワインについて語る時は、「酸」の質について言及することが非常に多いです。もしブルゴーニュを訪問してワインを試飲して感想を聞かれたら、香りを幾つかの果物や花などで表現した後に「Acid(酸)」がvery niceとかelegantだ、などと表現すると「なかなか分かってるな」と思われるでしょう。

そして、この「果皮が薄い、タンニン含有量が控え目、酸が豊富」という要素が、ピノ・ノワールが黒ブドウながらシャンパーニュ(又は一部のスパークリングワイン)の「白」の原料にも使用される所以。
シャンパーニュで言う所謂『ブラン・ド・ノワール』は、黒ブドウの果汁だけを絞り取ることで造られます。
僅かに微かに、果皮から抽出されるタンニンと赤い果実の香りとフレーヴァーが、ブラン・ド・ノワールのシャンパーニュにボリューム感や丸みを与えるのですね。

今回はまず『ピノ・ノワール』種の「キャラクター」を構成する要素にはどんなものがあるのか、についての話でした。
勿論、これがピノ・ノワールという品種のすべてではありません。
ブドウ品種コラムの項では、ピノ・ノワールに付いて更に深く解剖していきますので、次回をご期待ください!

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