今月のおすすめワイン本【2021年11月】素晴らしいワイン本に出会いました…全ワイン好き必読だと思います!
- 2021.11.01
- 今月のおすすめワイン本
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ。
35冊目となる今回は、フランスで修業した日本人栽培醸造家が帰国後岡山県でワイナリーを開業するまでの物語、そして自身のワイン造り哲学を語った
『大岡弘武のワインづくり 自然派ワインと風土と農業と』(エクスナレッジ/大岡弘武さん著 税込定価1,980円)
、ワイン好きでしたら必読の一冊だと思いますよ!
一冊の本を読んで、こんなに付箋を貼ったのは久しぶりでした。上の画像では良く見えませんが、数え切れないほどに付箋を貼ってしまい結局ほとんど全部を何度も読み返すことに。そのくらい、僕にとっては考えさせられること、ワインのプロ(の端くれ)としてしっかりと認識しておかねばと思うことの多い本だったと思います。
著者の大岡弘武さんのご経歴を簡単にご紹介しますと、ボルドー大学を経て仏コート・デュ・ローヌの名門ギガル社のエルミタージュ地区栽培長、ドメーヌ・ティエリー・アルマンの栽培長などを歴任し日本に帰国。岡山県でブドウ栽培とワイン醸造を開始し「おかやま葡萄酒園」を設立されました。現在は日本・フランスでワインづくりのコンサルティングも行っているそうです。
この本はフランスで取り組んでいたワイン造りの舞台を日本に移し、場所の選定から畑を借り醸造所の建物を手に入れ・・・実際のワイン造りをスタートするまでが実に詳細に描かれています。荒れた耕作放棄地を借り入れ、使われていなかったお米の倉庫を自らの手で醸造所に改築し、そして醸造設備の多くはヤフオクで格安で手に入れる、などお金をかけずにゼロから手作りでワイナリーを立ち上げていく様子がまるで物語のように描かれています。
ブドウ栽培を始めてから実際のワインが出来上がり、販売してお金になるまで長い年月を要するワイン造り。初期投資をいかに抑えて長期的に持続できる事業にしていくか、という非常に現実的な視点でのビジネス展開にも感銘を受けました。もし自分自身がワイン造りに取り組むとしたらどこでどうやってやろうか・・・と思わず想像してしまいました。
そして勿論、栽培醸造家としてワイン造りの最新事情やご自身の思いについてもしっかりと語ってくれています。僕はなにぶん技術的な専門家では無いので、栽培~醸造の工程として知ってはいるけど理論的な意味合いを完璧には理解していない、ということが非常にたくさんあります。例えばナイトハーヴェスト(夜間の収穫)の意義については、僕はこの本を読んで初めてその本当の効果を理解できたと思います。その他ブドウ樹の様々な仕立て法、亜硫酸塩の使用についてなども新たな視点をたくさん獲得することが出来ました。これほど内容が詰まっているのに文章はあくまでも平易で、ワイン造りに実際に携わったことの無い人でも一読ですぐに分かるという素晴らしさ。僕も毎日のメールマガジンを書く上で非常に参考になりました。
この本、きっと何度も読み返すことになると思います・・・そのうち、全ページに付箋が付いてしまうのでは無いかと思うくらい 笑
皆さんも是非読んでみてください。読む前と読んだ後では、グラス一杯のワインの楽しみ方・味わい方がきっと変わるはずです。
ということで今回はこのへんで。
次回はどんなワイン本をご紹介しようかな・・・おっと、またこんな面白そうな本を見つけてしまった・・・早速ポチっとな、と。早く届かないかなあ。。。
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「一般社団法人おかやま葡萄酒園」のHPはこちらです。
↓↓↓
https://www.okayama-winegarden.org/
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