ワイン職人に聞く、10の質問【第67回】シャンシーラ (フランス・シャンパーニュ)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第67回
シャンシーラ (フランス・シャンパーニュ)
オーナー・醸造家 ベルトラン・シャンシーラさん
今回話を聞いた生産者は、フランス シャンパーニュ地方でシャルドネの銘醸地として知られるコート・デ・ブラン地区オジェ村のRM『シャンシーラ』。
シャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地域の中でも、地形的に暖かなテロワールに恵まれ、ワインにはトロピカルで明るいキャラクターが宿るオジェ村。
例えばこの村と厳しい酸が特徴の「ル・メニル・シュル・オジェ村」を飲み比べると、シャンパーニュ地方でほんの少し離れただけの隣村でも驚くほど味わいスタイルが変わる、ということがはっきりと分かります。
栽培醸造家=レコルタン・マニピュランはごく少数しか存在せず、殆どの農家が大手シャンパーニュ生産者にブドウを売却してしまうオジェ村。
その土地でテロワールが正しく表現されたシャンパーニュ造りを続ける職人的生産者の哲学に迫る一問一答インタヴュー、始まりです!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒家族の生活の中で、自然とブドウ栽培・ワイン造りに対するパッションが強くなってきたから、だね。
何世代にもわたって続く伝統の家業だから、迷うことなくこの仕事を選び取ったよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒ワイン造りに滝沢っていて一番好きなひと時、を答えさせてもらおうかな。
寒い冬、天気の良い朝に、自分の持っている畑で最も標高の高い区画で剪定作業をしている時・・・・。
本当に美しい時間だと思う。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒毎年の開花前後の時期は、常に不安で大きなストレスを感じているよ。
シャンパーニュ地方では特にこの時期はデリケートで、その年の葡萄の作柄の大部分が決まってしまうんだ。
この時期をうまく乗り越えられたら素晴らしい喜びが待っているんだ、と信じるしかないけどね。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒結局は春から収穫までの畑での作業の質、でしか無いと思う。
ワインの良し悪しはブドウの出来栄え次第で全てが決まってしまうから。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒愛する家族や大切な友人と一緒に楽しむワイン、が理想のワインだね。
香りや味わいの好みで言うのなら、ナッツやトーストの芳醇な香りが漂う熟成したヴィンテージシャンパーニュが大好きだよ。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒父のプライベート・セラーにあった1972年ヴィンテージのシャンシーラ・ブラン・ド・ブラン。
ブリオッシュやバター、焼きたてのトースト香が広がりつつ、フレッシュ感もじゅうぶんに残っていて、素晴らしい熟成を迎えているシャンパーニュだった。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒シャンシーラ家のクリスマスディナーの定番料理なのだけど、スズキのソテーにバターとシャンシーラのシャンパーニュで作ったソースをたっぷり添えた料理『Bar au beurre blanc』。最高のマリアージュが楽しめるよ!
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒イタリアのトスカーナ州か、スペインのアンダルシア。
トスカーナは、畑仕事への情熱とあの土地特有の陽気な雰囲気が魅力だね。
アンダルシアは祖父母の故郷でもあってとても美しい場所・・・その土地でワインを造ってみたいと夢見ているよ。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒シャンパーニュのテロワールと伝統への敬意、だね。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒代々受け継がれてきたオジェの美しい土地とワイン造りの伝統を、環境に配慮しながら良い状態で次世代に引き継ぐことに情熱を注いでいる。
日本の皆さんに、シャンパーニュを通して我々ファミリーのパッションを感じて頂ければと思っています。
私たちのシャンパーニュ、楽しんで下さい!
・・・ベルトラン・シャンシーラさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
スズキのソテーにバターとシャンパーニュのソースをたっぷり・・・この答えには食欲をそそられました!!
早速、何か手軽な白身魚で試してみたいと思います。
そして僕が今回一番心に残ったのは、ベルトランさんが冬の朝の剪定作業を「最も幸福な瞬間」と表現していたこと。
厳しい冬が訪れ、雪も深いシャンパーニュ地方ですが、晴れやかな冬の日に丘の上から眺める風景は本当に美しいんですよね・・・。
現在、彼らのシャンパーニュで日本市場に届いているのは、『ブラン・ド・ブラン』1本のみ。
ですがその1本の中に、ベルトランさんのパッションの全てが詰められています。
是非一度、彼のシャンパーニュを試してみてください!
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