今月のおすすめワイン本【2019年10月】「ワインの歴史」
毎月第1月曜日のワインコラムは、読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本を毎月1冊ご紹介する『今月のおすすめワイン本』コーナーです。
毎月できるだけ発売されたばかりの新刊をご紹介するようにしているのですが・・・
今日はどうしてもお薦めしておきたい1冊がありますので、既に絶版の本で恐縮ですがご紹介しておきますね。
『シャンパン歴史物語 その栄光と受難』
(ドン・クラドストラップ&ペティ・クラドストラップ著 平田/紀之訳 白水社/ 税抜2,600円)』です。
ワインの歴史についての書籍は結構沢山出版されているのですが、たぶん余程のワインマニアか業界関係者しか読まないので、書店にはあまり置いてないし値段も結構高い。
しかも本の冒頭は「ローマ帝国が・・・」なんていうあまりにも遥か太古に遡るので、歴史そのものにあまり興味のない方はすぐに挫折してしまうジャンルの本であることは確か。
学生時代に「世界史」が嫌い・苦手だった方はよく分かると思います。
あちらこちらに場所が飛びながらも時系列にそって出来事を把握していくのは、なかなか面倒ですよね。
ですが「シャンパーニュの歴史」というところに絞ってあると、これが実に読みやすく面白く、頭にすいすい入ってきます。
「日本史」のイメージと言ったら伝わりやすいでしょうか・・・
勿論外部(他の国・地域)との関わりはありますが、一直線に物語が進んでいく感じです。
「泡入りのシャンパーニュ」が出来る以前・・・シャンパーニュがまだ赤ワインだった頃にはじまり、ブルゴーニュワインとシャンパーニュが、王家御用達のワインの地位をかけて争っていたこと、そして「ドン・ペリニヨン」の登場から製法の確立、多くのメゾンが生まれていくまでの歴史は、華やかなだけでない物語がいっぱいです。
皆さんにこの本を手に取って戴くために、例えばこんなエピソードを一言ご紹介しておきましょうか。
『ドン・ペリニヨン氏は、シャンパーニュに“泡を作る”ことではなく、実は“泡を抜くこと”に力を注いでいた人物。』
「酵母」という微生物の存在、そして「発酵」という現象がまだ解明されておらず、瓶詰めしたワインが自然と再発酵してしまったことから生まれたお酒、シャンパーニュ。
それが最初はどのような位置付けのお酒で、どのようなストーリーを経て今のように特別な存在になったのか。
そこには、意外とも思えるエピソードが山のようにありました。
ということで、これはもう、シャンパーニュ好き、いやワイン好きなら是非とも自宅に蔵書して戴きたい1冊。
読み始めると面白くて夢中になっちゃいますよ。
訳書はどうも文体が読み辛くて・・・という方、平田紀之さんの翻訳文体はとても読みやすいので、そこも全く心配なさらずに手に取って戴いて大丈夫。
シャンパングラス片手に気楽に読める、まさに「知的なワイン時間のお供」です!!
絶版のため書店では取り扱いが無いかと思いますが、ネットでは結構中古書籍が出回っている模様。
「シャンパン歴史物語」で検索すると、その時に在庫のあるサイトが見つけられると思いますので、ご興味のある方は是非探してみてくださいね。
(*これを書いた時点では、Amazonに中古が何冊かありました!)
次月も第一月曜日に、皆さまにおすすめしたいワイン・お酒に関連した本をご紹介致します!
-
前の記事
今月のおすすめワイン本【2019年9月】「貧乏(だけど絶対楽しい)ワイナリーオーナーになる方法」 2019.09.02
-
次の記事
今月のおすすめワイン本【2019年11月】「シャンパーニュの歴史をまとめた決定版的なこの1冊!」 2019.11.04