今月のおすすめワイン本【2021年1月】「ブルゴーニュの知識を深めたい人に必携の1冊」
さて、毎月第1月曜日のワインコラムは、読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本を毎月1冊ご紹介する『今月のおすすめワイン本』コーナー。
2021年最初に選ぶのはちょっと専門性の高い1冊。
『地図で見るブルゴーニュワイン(改定新版)』
(シルヴァン ピティオ さん&ジャン=シャルル・セルヴァンさん著 佐藤秀良さん・中野義人さん・山本博さん訳 / 早川書房 税抜3,300円)です。
価格は少し高め、そして残念ながら版元でも品切れなのですが、ブルゴーニュワイン好きなら絶対に持っておくべき1冊だな、と思います。
(*各古書サイト等では見つけられます。結構な高値を付けて転売しているケースもあるので安いものを探しましょう。)
ブルゴーニュワインが好きになり色々と飲み比べ、もっと深く知りたいと思うにつれ自然と畑の位置とテロワール特性、村~区画毎のワインの特徴などを体系的に知る必要があるんだな、ということになってきます。
例えば『ロマネ・コンティ』はヴォーヌ・ロマネのどこにあって、こっちの隣の区画が『リシュブール』で、1本挟んだこっちが『ロマネ・サン・ヴィヴァン』で、畦道を1本挟んで数m離れているだけなのにこんなにスタイルが変わるんですよ・・・みたいな話はワインのサイトなどでよく見ますよね。
この本は、そういった話の内容についてカラーで見やすい区画地図を見ながら理解を深められる1冊。
本国フランスでは15刷以上の再版を重ねており、日本版も僕が最初に手に入れた20年前くらいから何度か版を重ね、遂に地図がカラー版となりました。
以前は白黒の濃淡色分けでグラン・クリュ/プルミエ・クリュ/ヴィラージュクラスの区別がされていましたが、
カラーになったことで格段に見やすくなり、文字は小さいながらも目当ての畑の場所がすぐに見つけられるようになりました。
ただの地図でしょ、Googleで調べればすぐに出るじゃない、というのも確か。
ですが各エリアの地勢や土壌、各アペラシオンの認定条件までを情報として網羅している体系的なサイトは存在しないと思います。
(*もしあるなら教えてください!!!)
そして地図が見やすいのも素晴らしい点。
例えばシャブリの地域などは、この本のまとめ方が僕はベストだと思います。
南北に細長く、1級以上の畑が比較的狭いエリアに集中しているコート・ド・ニュイなどのエリアと違い、人が住みドメーヌの施設等がある集落地域を真ん中にし、放射状に畑が広いエリアに広がっています。
7つのシャブリ・グラン・クリュは狭い地域に集中していますが、数多く存在するプルミエ・クリュはこの放射状に広がるシャブリ認定エリアの全域に散らばっているため、全体把握がなかなか困難。
ですがこの本ではまずシャブリ全域を俯瞰した全体地図がありまして、その後に各方角を細かく分割して畑の位置関係が掲載されているため非常に分かりやすく、見つけやすい。
制作者がワインを学ぶ人の立場に立って試行錯誤を繰り返してきた結果だな、と思います。
ちなみに僕が持っている20年前のバージョンは、シャブリ・プルミエ・クリュの区画地図は掲載されていませんでした。
ただ版を重ねただけでなく、格段に進化していることに心から敬意を表したいと思います。
380ページに及ぶ膨大な情報量の1冊ですが、版のサイズは非常にコンパクトで持ち運びにも便利。
最近は僕もすっかり電車の中で本を読まなくなってしまいましたが、この本は時々持ち歩いてちょっとした空き時間にどこかの産地を再確認する、なんていう風に使っております。
各産地の風景写真も掲載されていて、旅行気分にもなりますよ!
それでは今回はこのへんで。
また次回も「ワイン片手に楽しみたいお薦めの1冊」をご紹介させて戴きます!
*版元「早川書房」さんの書籍紹介ページはこちらです。
↓↓↓
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013181/
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