今月のおすすめワイン本【2021年7月】色褪せない名著『ワイン手帖』
- 2021.07.05
- 今月のおすすめワイン本
- テイスティング, 写真, 香り
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ、前回までは「ワインが登場する/ワイン産地が舞台のミステリ小説」を続けてご紹介してまいりましたが、今回は久々に小説ではないワイン本を選んでみました。なんとあの開高健さんも監修で参加されています!
『ワイン手帖』(ロナルド・サール著・鴨川晴比古訳、開高健監修/新潮文庫 定価は640円・中古で入手可能です)
本書『ワイン手帖』は、大きく分けて2部構成。前半はロナルド・サールさんによる「ちょっとヒネッたワインの語彙講座+イラスト」編、後半は鴨川晴比古さんによるいわゆるワインの基礎講座全般、となっています。全239ページとそれほど厚くない文庫本ですが、イラストはカラーですし内容はかなり濃くリッチですよ。
勿論後半のワイン基礎講座は全体を網羅していて役に立つのですが、この本ならではの魅力はやはり前半のワイン語彙講座。日英2か国語による一つ一つのワイン表現にロナルドさんのユニークなイラスト(上に掲載した表紙のイラストがロナルドさんによるものですが、この画風を見たことのある方もいらっしゃるのでは)が添えられ、表現を覚えながらイメージを膨らますことのできる仕立てになっています。僕が土曜日のメルマガに掲載しているコラム「ワインボキャブラ天国」と同様の形式・・・いや、こちらが真似したんですけども、それよりもずっと発展的かつ詩的な表現が多く紹介されています。
例えばこんなユニークなテイスティング表現が。
「驚くほど無口な」
「忘れ難い香り」
「時の経過にまかせよう」
「健全につくられているが、ちょっとむさい」
こんな言葉を英語でどういうのだろう、どんな時に使うのだろう・・・というのが面白く分かり易く書かれていて、ワイン好きなら思わずニヤけてしまうこともあるのでは。
なにぶん昭和62年(1987年)出版の本ですので、イラストや文章は現代のポリティカル・コレクトネスに照らし合わると少々問題がありそうですが、そのあたりは時代背景を考慮して寛容に読みたいところです。今回僕のおすすめで読まれた方がもしもご不快に感じられたらそれは申し訳無いので、先にお詫びを言っておきます。
そして「監修」の開高健さん。実は冒頭3ページほどのイントロダクションと、巻末のワインテイスティング作法(ご本人のテイスティング風景写真入りです)だけの登場なのですが、学生時代から開高さんに憧れて酒の世界を志した僕にとってはこれでも十分この本にお金を払った価値はある、と思える内容。例によってお得意の下ネタジョークも冴えていますが 笑、ワイン初心者へのメッセージが何より素晴らしいのでそちらは是非とも読んで頂きたいと思います。
色褪せない名著『ワイン手帖』、飽きずに何度も読める内容で、一人飲みのお供に最適!!
ということで今回はこのへんで。
次回はどんなワイン本をご紹介しようかな・・・おっと、またこんな面白そうな本を見つけてしまった・・・早速ポチっとな、と。
*本日ご紹介した『ワイン手帖』は、Amazonで古書が沢山出品されていますのですぐ入手できます。是非読んでみてください!
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