ワインペアリング奮闘記 第36回「シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年」
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エレガント熟成ボルドー赤と『ウナギ』の相性を検証
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今回のお題は『シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年』です。
では早速テイスティングです。
色調はやや透明感のある、黒みがかったレッド。エッジはややガーネットです。ボルドーの中ではやや明るめでしょうか。
香りの第一印象は熟したチェリーや赤いベリー類の果実。熟成を経て、しっとりとした落ち着きを感じます。そして、バラなどのお花、鉄をイメージするようなミネラル香、樽熟成由来と思われるコーヒーのようなロースト香も感じられます。程よく熟成した雰囲気と、ボルドーらしい気品を感じますね。
味わいは、アタックから滑らかでするっと流れ込んできます。
ボディは中程度からやや軽やかで、タンニンはシルキー。アフターに心地よい苦みが残ります。
全体的に綺麗にバランスが取れており、とてもエレガントなワインです。
フランス・ワイン大好き!という方に、特にお勧めしたい一品ですね!
では、合わせるお料理を考えましょう。
素直に考えれば、まっさきに浮かぶのは赤身のお肉料理です。ローストビーフに、ベリーっぽく仕上げた赤ワイン・ソースなんて合いそうですね。ただ、ちょっと当たり前感があって面白みに欠けますね。
お魚はどうでしょうか。このワイン、メルロ主体で角の取れたタンニンですし、ボディ感もほどほどなので、お魚の煮付けなどに合いそうです。
そう思ってボルドーに合いそうな魚をサーチしてみたところ・・・おっと!?気になる食材が出てきました。それは・・・「ウナギ」です!
ボルドーワイン委員会によると「ウナギとボルドーは最強コンビ」しかも「右岸のメルローがピッタリ」だそうです。うーむ、確かにメルロの柔らかいテクスチャと、ふっくらとタレのかかったウナギ、行けるかも?!という感はありますね。ちょっと季節外れ感はありますが、養殖ウナギは通年手に入りますし、これは、実践あるのみ!
と言うわけで、今回の料理は『ウナギの蒸籠蒸し』です。
料理レシピ:
お隣の国からやってきた、リーズナブルなウナギさんを用意。
まずは、ご飯を炊きますが、タレを加えて香ばしく炊きあげます。
付属の小さなタレのパックでは量が足りないので、増量します。
酒、みりんを煮立て、砂糖・醤油、タレパックと、水溶き片栗粉でとろみをつけて。
ご飯を炊く時、このタレを水に加えて軽く混ぜ合わせてから炊き上げます。
今回はウナギの出汁が出るよう、しっぽ部分を少し切り取って一緒に炊き込みました。
少し「おこげ」が出来ると良いですね。
ご飯が炊けたら、クッキングペーパーを敷いた蒸籠に広げます。
その上に、カットしたウナギを並べ、タレをたっぷりとかけます。
これを15分程蒸したら、一丁あがりです!
ペアリングレポート:
蒸しあげたウナギはふっくらとして、ご飯にも風味が移っており、これは旨い!
始めて作りましたが大成功、リピートありです!
さて、問題のワインとのペアリングですね。
こちらは結論から言って『悪くない・そこまで違和感はない』というレベルでした・・・。
良い所から書くと、タレに含まれる醤油の風味との相性は上々です。
ウナギの柔らかな食感に対する、赤ワインのシルキーなタンニンも程良いです。
一方、やや疑問に感じた点としては、まず「甘味」です。
ウナギにタレの甘みがしっかり感じられますが、赤ワインは決して甘味で押すタイプではなく、あくまでもエレガントなスタイルなので、ぎゅっと煮詰まったタレの甘みにやや押されてしまいます。
また、蒲焼されたウナギの香ばしさを生かすためには、ワインにもう少し強めの「樽感」が欲しいですね。
そういう意味で今回の赤ワインに関しては、残念ながらベストマッチとは言えないですね。
この経験を基にして別のワインを選ぶなら、
料理の面でも、タレに赤ワインを少々使うなどの工夫で、
皆さんも是非ウナギと赤ワイン、試してみて下さいね。
『シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年(税込希望小売価格3,630円)』
(フランス /ボルドー産赤ワイン ブドウ品種:メルロ75%、カベルネ・フラン20%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%)
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