自宅でのワインの保存
- 2021.01.05
- ちょっと知りたい、もっと知りたいワインの話
- ワイナリー, 保管, 温度, 熟成
ワインは瓶詰めされた後も変化し続けていく飲み物です。そこがワインの面白いところでもあるのですが、保存の仕方ひとつで美味しくも不味くもなってしまうデリケートな飲み物でもあります。
普段飲み用にまとめ買いしたワイン、記念日やいつか楽しむために奮発したワイン。せっかくのワイン、美味しく頂きたいですよね。そのためには自宅でどのように保存したら良いのでしょうか?ワインセラーをお持ちであれば悩むことはありません。では、セラーがなかったら?
今回は自宅でのワインの保存について触れたいと思います。
目次
ワインの理想的な保存・・・注意すべきは「温度・湿度・光・振動・匂い」
ワイナリーでは瓶詰めした後に熟成が必要なワインは、セラーで保管をして出荷の時を待ちます。セラーはひんやりとしていて薄暗く、ジメッと湿気を感じる空間で、ワインに悪影響を及ぼす要素を排除した最高の環境となっています。ですので、自宅でも出来るだけこの環境に近い状態で保存することが理想です。注意するべき点を知って、自宅で上手にワインを保存しましょう。
温度
最も注意が必要な点です。理想の温度は13℃〜15℃。比較的涼しく温度変化の少ない環境が適しています。温度が高いとワインは劣化します。また、過度に低い温度で長期間保存したり温度変化が激しい環境でもダメージを受けてしまいます。ネットショップでワインを購入した際に夏季期間や真冬の寒冷地への配送にクール便を推奨するのは温度変化からワインを守るためです。
湿度
約60〜80%が理想と言われています。乾燥しているとコルクが縮み、そこから空気が入ってワインを酸化させてしまいます。一般的にワインを横にして保存するのは、ワインがコルクに常に接していることでコルクの乾燥を防いでいるのです。
光
光のあたらない暗い場所で保存します。光に当たりすぎるとワインは変質し、不快な香りが発生する可能性があります。
振動
振動の無い環境で保存します.振動のある場所では瓶内のワインは常に刺激されている状態にあり、静かにゆっくりと熟成させたいワインにとってストレスとなります。
匂い
匂いが強い物の近くでの保存は避けましょう。ワインはコルクを通して呼吸をしていますので、周囲の匂いも吸収してしまいます。
自宅での保存
自宅でのワインの保存は出来るだけ上記の条件をクリア―した環境を作ることが必要です。場所としては自宅の一番涼しい部屋のクローゼットや押し入れ、もしくは床下収納が候補に挙がります。(寒冷地の場合、床下収納は冬場の温度が低すぎてしまう可能性がありますので要注意です。)そして光を遮断するためにボトルを新聞紙で包み、横にして保存します。スクリューキャップのワインは横にする必要はありません。欲を言えば、断熱効果の高い発泡スチロールの箱に入れておくと温度変化の抑制率が上がります。
これをベースに季節ごとに注意する点を挙げてみますと、(寒冷地、温暖地は例外となることもあります)
夏季
近年の夏の暑さはワインにとっては大敵です。先述のように保存をしてもワインへのダメージは0ではありません。すぐに飲む予定の無いワインは冷蔵庫での保存もありだと思います。冷蔵庫は振動があるためワインの保存には向いていないと言われていますが、高気温のほうがワインに与えるダメージは遥かに大きいので、振動が出来るだけワインに伝わらないように新聞紙の上から緩衝剤を巻いて、野菜室で保存するのも良いと思います。
冬季
クリスマス、年末年始とワインの消費の多くなる季節。暖かい季節が訪れる前に消費してしまうのであれば、光を遮るための箱などに入れて暖房の効いていない部屋に保存しておけば大丈夫です。
現実的には自宅での長期保存は難しいものがありますが、上手に保存して少しでも良い状態を保てるように気を配ってあげたいですね。
飲み残しワインの保存
ワインを開けたけれども飲みきれなかったとき、上手に保存すれば数日は美味しく楽しむことができます。ワインは開栓して空気に触れることによって、次第に変化をしていきます。ボトルの中に閉じこもっていた香りが直ぐにあふれ出し、豊かな果実味が口いっぱいに広がったワインが翌日になるとまったく魅力がなくなっていたり、最初に飲んだ時は味もそっけもなかったワインが翌日飲んでみると見違えるように美味しくなっていることもあります。それはすべて空気による悪戯!?のせいです。
その香り、味わいをできるだけ長くキープするためには空気に触れないように保存することが大切です。
自宅でできる一番簡単な方法はボトルにコルクをしっかりと挿すこと、もしくは小さな瓶に移すのも効果的です。そして必ず冷蔵庫で保存しましょう。
以前、南フランスの生産者と飲みかけワインの話になった時に「オリーブオイルを入れておけば大丈夫さ!」と冗談交じりに言われたことがあります。さすがにそれはどうかと思いますが、とにかく空気を遮断しましょう。
ボトルの中の空気を抜いて真空にしたり、窒素ガスを注入して空気との接触を遮断したりと、飲み残しのワインを保存するためのアイテムが数々販売されていますので、そういったものを使用してみるのも良いと思います。
自宅でのワインの保存について触れてみましたが、いかがでしたでしょうか?参考になりましたでしょうか?
ワインを選ぶとき、飲むとき、語るとき、ちょっと思い出していただけたら嬉しいです。
楽しいワインライフをお過ごしください。
ライター紹介:新井田由佳
大手総合商社在職中にワインに魅了され、退職して渡仏。ブルゴーニュを中心にフランス、イタリアの数多くの生産者を訪問し見聞を広める。
知れば知るほど魅了されるワインの世界について、もっと知りたい!が現在進行形で継続中。
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