ワインボキャブラ天国【第141回】「甘草」 英:licorice 仏:regliss
- 2022.09.11
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「甘草」
英:licorice 仏:reglisse(女性名詞:発音は「リグリッス」)
「甘草」とは?
今回紹介するワードは『甘草』。主にワインの香りを比喩表現する際に使用される言葉ですね。
意外なほど頻繁に使われる、そしてとても使いやすい用語なので是非覚えておいて戴ければと思います。
さて、「甘草」とは一体何なのか皆さんご存知でしょうか?
甘草は北半球の全域に自生しているマメ科の多年草で、その根には「グリチルリチン酸」というショ糖のおよ50倍~150倍!というすさまじいほどの甘味成分が多量に含まれているそうです。風邪薬、解熱剤など薬としての用途のほか、煙草やお菓子の風味づけに使われてきたそうです。
僕が「甘草」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、「スッパイマン」など乾燥梅干の味付けです。乾燥梅干でお菓子的に売られているものの多くに使用されています。同じく甘味料として知られるステビアなどと併用されている場合もありますが、何となく「甘草の香り」としてイメージするにはあの香りで十分かと思います。
ちなみにグミ菓子知られるドイツのブランド「HARIBOT(ハリボー)」にはリコリスのグミがありまして・・・こちらのタイヤのゴムチューブのようなものなのですが、食べてみたことはありますでしょうか。
本当に見た目通りゴムのような味で僕はどうしても苦手だったのですが…そして、あまり甘草の風味が感じられないのは何故なのか???
これを未体験の方は是非食べてみて戴きたいですね(どんなに不味くても、フィラディスにはクレームしないでください)。
「甘草」の香りはどんなワインに感じられるのか?
「甘草」はショ糖の150倍の甘さを含有する、と前述しましたが、その甘さは香りにもしっかりと現れてきます。
主に赤ワインとなりますが、香りを取った時に「フレッシュな果物の香りでは無いけど、何か乾いて香ばしい感じの甘い香りがあるな」と思ったら、甘草を思い出してみてください。
僕がこの香りを感じることが多いのは、やはりフランスボルドーの赤ワイン。特に、軽く熟成したくらいの段階に良く見つけるかな、と思います。後は南仏のグルナッシュなどにも良く感じますね。
ソムリエ試験の香り要素の選択項目にも必ず入っている程「香りに感じる甘さ」を表現する典型的な用語ですので、是非覚えておいて戴ければと思います。
余談ですが・・・表現するときに「甘草」ではなく敢えて「リコリスの香り」というとより専門家っぽく聞こえますので、是非英語名で覚えておくと良いのではないでしょうか 笑
ということで今回の「ボキャブラ天国」はこれにて終了。
今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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