ワイン職人に聞く、10の質問【第23回】ドメーヌ・フォン・クローズ(フランス コート・デュ・ローヌ地方)
- 2020.02.06
- ワイン職人に聞く、10の質問
- グルナッシュ, コート・デュ・ローヌ, シラー, ステンレスタンク, フランス, フレンチオーク, マリアージュ, 価格, 哲学, 樽, 熟成, 生産者, 白ワイン, 職人, 赤ワイン, 輸入, 香り
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第23回 ドメーヌ・フォン・クローズ(フランス コート・デュ・ローヌ地方)オーナー ギョーム・ロンさん
かつて現役時代のロバート・パーカーが「
ローヌを代表するブドウ品種に徹底フォーカスして、
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒それがファミリーの一員としての運命だったから!としか言いようがないね。僕のファミリーは1918年、曽祖父のシャルルの代から以来ワイン造りに携わってきた。第一次世界大戦を経て祖父のレイモンドが後を受け継ぎ、畑を拡張しワイン造りのビジネスを発展させた。その頃は、林檎やアプリコットの栽培もしていたそうだよ。
僕の父のダニエルの代になってブドウ栽培とワイン造りに特化することを決め、1997年にこの土地ならではのテロワールを正しく表現したワインを造るために『ドメーヌ・フォン・クローズ』を立ち上げた。今では、ローヌの良区画を数多く含む80haの畑を所有することになった・・・僕も、自分の役割としてこの畑とワイン造りの哲学を次の世代に継承していきたいと思っているよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒そんなつまらないことを聞くのかい 笑???・・・だって、僕はワイン造りをしていて常にハッピーで嬉しい瞬間ばかりだから!!僕は自分が取り組んでいるワイン造りという仕事の全てが大好きでね。自分の生み出すワインがどうしたらもっとおいしくなるか、を考えているだけで幸せなんだ。そして、ブドウを栽培している期間に畑の中を歩き回ったり、仕込みが終わってタンクに詰まったワインの状態を試飲したりしているときなど、「自分は何て幸せな、最高の仕事を選んだんだろう!」っていつも思っている。
それでも敢えて「いちばん幸せな瞬間」を選ぶとするなら、それはやっぱり収穫の時だね。僕の家族、チームが1年間かけて注いできた情熱の成果が、ブドウと言う形に実って自分の手の中にあるんだから!
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒その反対に、辛かった、きつかった時はいくらでも思い出せるよ 笑
例えば2017年がそうだったのだけど、本当に天候に恵まれなくてね・・・僕たちは素晴らしいブドウを収穫するために、膨大な時間をかけて年間のプランやアイディア、To doを積み上げているのに、春に霜が降りただけでそれが全て台無しになってしまうんだから!!
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒ワイン造りで最も重要なことは、ブドウという植物の生育に対し、そして品種ごとの「あるべき姿」に対して敬意を払うことだと思う。我々の仕事の結果と言うのは行き着くところ全てが収穫されたブドウの品質如何で決まってしまうのだし、品種・区画・テロワールに応じてブドウのポテンシャルを最大化することこそが自分たちの役割なのだ、と認識しているよ。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒「理想のワイン」なんて、幻に過ぎないんじゃないかな・・・何故なら人はひとりひとり味覚も好みも異なるのだし、全ての人にとって理想的と感じられるワインなんて存在しないんだから。
だから僕にとっては、ワインそのものよりも「ワインと共に過ごしている時間」の方が大切だよ。ワインは皆でシェアして楽しむべきものだし、1本のワインを共に楽しんだ人たちの心を一つにするものだからね。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒忘れられないのは、以前南アフリカのワイン生産者「Rijk’s(ライクス)と一緒にお互いのワインを飲み交わした時のこと。デンマークで開催されたワイン展示会で出会ったのだけど、たまたまある輸入業者の方から2人一緒に食事に招かれてね。
我々の『コート・デュ・ローヌ キュヴェ・シリュス 2011年』と彼のシラー100%の2009年を飲み比べた時に、その正反対のキャラクターがとても興味深かったんだ。彼のシラーは、標高500mの畑、そして暖かい気候のもとで造られたワインで、白胡椒的な香りが素晴らしかったんだ。そして僕のワインは、黒胡椒。この2つを同時に楽しみながら、美味しい肉料理を楽しむなんて、まさに至福のペアリングだったよ!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒それぞれのワインに素晴らしい組み合わせがあるから、一つずつ紹介していくよ。
まずは白ワインの『キュヴェ・アナリス』、これにはサーモンのタルタル、またはサーモンのリゾット。 そして、シンプルに様々なチーズと合わせて楽しんでもらいたいな。
一番カジュアルな『コンフィデンス』は、是非バーベキューで!ラムチョップなんか、最高に合うよ。
シラー100%の『キュヴェ・シリュス』、これはより力強くスパイスのニュアンスが強いワインだから、鴨肉その他の燻製料理なんかがベストマッチすると思う。
そして我々の最高品質のグルナッシュで仕込む『オー・プラトー』は、完熟しきった赤い果実の味わいがとても豊かなので、肉をじっくり煮込んだシチュー料理に合わせて・・・そうそう、このワインは食後のチョコレートとも素晴らしい相性を見せてくれるはずだよ。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒もしそんなチャンスがあるのなら・・
月でワインを造ってみたいね!
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒「我々醸造家は、魔術師でも科学者でもない。ただ、自然がワインを育む手伝いに従事する者である」。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒一方で、ワインの世界は本当にマジカルな瞬間に満ちていると思う。ひとつのワインが様々な食文化と交わる機会を得た時の発見の連続は、大きな喜びをもたらしてくれる。
ワインを飲む時は、とにかく楽しんで・・・それが最も大切なことだと思うよ!
インタヴューへの回答は、以上です。
果実味とタンニンがどちらも適度なバランスの良いワインが好き
≪税込2,000円を切る価格で飲みごたえたっぷりの濃厚本格コート・デュ・ローヌが楽しめます!≫
・ブドウ品種:グルナッシュ70%、シラー30%
・熟成:コンクリートタンクで18ヶ月)
・ブドウ品種:シラー100%
・熟成:バリック228L 新樽1/3, 1年樽1/3, 2年樽1/3で12ヶ月熟成後、コンクリートタンクで4ヶ月
『ドメーヌ・フォン・クローズラストール・オー・プラトー』
・フランス コート・デュ・ローヌ ラストー産 赤ワイン
・ブドウ品種:グルナッシュ100%
・熟成:フレンチオークの大樽500Lで1年 新樽比率100% その後、ステンレスタンクで6ヶ月
≪フォン・クローズによる唯一の白ワインは、ヴィオニエ100%の香り高く滑らかな1本。≫
・ブドウ品種:ヴィオニエ100%%
・熟成:ステンレスタンクで6ヶ月
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