あ、せかんどおぴにおん 第10回「ボコパ マリーナ・アルタ」
目次
『あ、せかんどおぴにおん』第10回
「ボコパ マリーナ・アルタ」
このコラムについて(いつも同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
9回目にとりあげるのは、「ボコパ マリーナ・アルタ」です。
ワイナリーとは思えない近代的な建物
雄大なスペインの生産者
商品ページのコメント曰く、”誰もが素直に「おいしい!」と思えるワイン”。このように書かれたら否が応にも期待が高まります。
さて、今回はそんなワインを造る生産者の話題から。まずはこれをご覧ください。びっくりします。これがボコパです。
スペイン語がまったくわからなかったとしても、口調や映像などからこの生産者の雄大さが伝わってくると思います。巨大な畑と巨大な設備でワインが造られる。百聞は一見に如かず。こういう映像を見るだけで、わくわくしてきます。このような過程を経て、日本まではるばるワインはやってきます。どんどんワインを飲みたくなってきますね。
ボコパ
ボコパが位置するアリカンテは、地中海沿いのスペイン南東部に位置します。上の地図の縮尺を大きくしていくとその位置がわかると思います。バレンシアオレンジで有名なバレンシア州のさらに南、というところです。
紀元前6世紀の古代ローマ時代からワインが造られていたというのですから、驚きですが、それから2000年以上の時がたった20世紀に、この地は大きな転換点を迎えます。他の産業の発展に伴いワイン産業は縮小し、質より量を優先する産地となってしまいました。
そんな状況を打破するべく1987年に設立されたのがボコパです。ボコパには現在、1800件の栽培家が加盟し、その所有畑は4000ヘクタールにも及ぶとされています。その生産量はなんとアリカンテの40%を占めるそうです。動画から感じた雄大さとはこれです。内陸や沿岸部、アリカンテ中の畑から品質の高いブドウを選りすぐることができます。醸造施設も最新鋭のものを使い、高い品質を実現できています。
海のワイン:マリーナ・アルタ
またも動画です。
この動画はマリーナ・アルタとフィラディスでは扱っていない赤ワインのイメージ動画です。少しかっこつけすぎなような気もしますが、海沿いで楽しむ。海が似合うワインです。
マリーナ・アルタは地中海沿岸に位置する畑の、特別なアレキサンドリア・モスカテルという品種を使っています。モスカテルといえばわかりにくいですが、いわゆるマスカットです。このアロマティックな香りが、海をイメージさせるような軽やかさ、涼しさを演出してくれます。前述の通り、多くの栽培家の中から選りすぐりのブドウのみを使用し、最新鋭の設備を使い醸造を入念にコントロールすることで、新鮮さを保ち続けることができるのです。
ボコパはこのマリーナ・アルタで大きく飛躍したそうです。1993年の発売時にボルドーのワインエキスポで爆発的な人気を得てから、ボコパは一躍有名になりました。このマリーナ・アルタは現在スペイン政府御用達のワインとなり、重要な晩餐時にふるまわれています。
さてこの暑い季節にピッタリな、海のワインをいよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
アレキサンドリア・モスカテルとマリーナ・アルタ
≪店長のテイスティングコメント≫
ひとくち飲んで戴ければ、すぐに分かるはず。心地よいマスカットの香り、甘いフルーツ感溢れる味わい、そしてこれがどんな料理にもちゃんと合わせやすい。スペイン東岸、地中海に面するリゾートエリア「マリーナ・アルタ」の名前が付けられただけあって、まさに海辺で過ごす晴れた休日のカジュアルな食事、を想像させるワインです。春夏は野外で飲んだら最高においしいですよ。
ある調査で知りましたが、日本人の若者が初めてワインに出会うのは大体24~25歳くらいなんだとか。お酒を飲めるようになってから4-5年もワインと出会っていないなんて本当に勿体ない・・・もっと早くワインと出会って、そのおいしさと楽しさに触れて欲しいと心から思います。マリーナ・アルタはそんな「若い人が初めて出会うワイン」にも最適だし、これまでワインに対して距離感を感じていた大人にも是非ともお勧めしたい1本。まずは一度、お試ししてみてください。あなたのワイン感、変わります!
さていよいよテイスティング。
今回のワインは甘く爽やかなワイン、ということに尽きると思います。
マスカットを使っているのだから「マスカットの香り」というのは少しストレートすぎるような気がしますが、確かにマスカットの香りがする、と表現するのが一番しっくりきます笑。もう少し幅を広げると、青りんご、洋ナシからライチ、あるいはメロンのような熟れた果実の香りまで感じます。スーッと清涼感のあるミントのような香りも感じます。そしてこれらを総じて申し上げると、やはりマスカットの香りなのです。。
口に入れるとフルーツの甘みが広がります。香り通りの熟れた果実。ただしこのワインが良いのは、あくまで爽やかということ。しっかりとした酸とほのかなミネラル感もあり、これが涼しい地域のステンレスシャルドネのような、清涼感を演出しています。
すっきりとして軽やか。果実の甘みがしっかりしているのに、この軽やかさが維持できていること。まさしく海風のような涼しさを演出してくれています。非常にキャッチーで初心者向けというのもわかります。ワイン単体で十分楽しめる味わいです。ただ、甘みがしっかりしている分食事とピタッと合わせるのは少し難しいと思います。ページでは『サルシッチャとキャベツの蒸し煮』と合わせていますが、さっぱりしたサラダでもいいですし、個人的には甘みを活かしてエビが非常に相性が良いと思います。お刺身でもよいですし、焼いたらなおよいですね。ちなみに、西岡パパのペアリングはエスニック料理でした。
いずれにせよ、誰にでもお薦めしたい、キャッチーな味わい。そして暑い季節に飲みたい味わいです。まだまだ日本は暑いです!暑さをこのワインと共に乗り切り、楽しみましょう!
今回は以上。たくさんの異論反論をレビューにてお待ちしております。
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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