あ、せかんどおぴにおん 第14回「ドメーヌ・コルディエ マコン・フュイッセ」
『あ、せかんどおぴにおん』第14回
「ドメーヌ・コルディエ マコン・フュイッセ」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
14回目にとりあげるのは、「ドメーヌ・コルディエ マコン・フュイッセ」です。
マコンってどこん?
マコンという産地は、ブルゴーニュ地方のワインでありながら長きに渡って不遇な地位にありました。「まあ、特に良いところも悪いところもない無難なシャルドネだな・・・」的な、薄めの期待感。いや、大手ネゴシアンが大量生産する薄っぺらなマコンを飲んでみると、その低い評価に納得するものが多いのも事実です。
商品コメントにはこのように書いてあります。このような前振り、落として上げる典型的なパターンかと思えば、
しかし、大半のブドウ栽培者がネゴスにブドウを売却しているこの地域に変革を起こし、鮮烈なクオリティで世の偏見を覆した男が。クリストフ・コルディエ・・・
まさしく、落として上げるパターンでした笑
とりあえずマコンの評価は低かったが、この生産者が押し上げたということがわかっていただけたのではないでしょうか。
マコンというのはマコネ地区の中心地であり、このマコネ地区の場所はこんな感じです。
ボージョレの北隣。ムルソーですとかシャサーニュですとか、いわゆる白の銘醸地として知られるような産地よりもかなり南にあることがわかります。よってそういった産地よりも温暖です。
ブルゴーニュというブランド、少し温暖で育てやすい。マコン、というより広大なマコネ地区全体が、歴史的に「質より量」で大量生産がおこなわれるワイン産地となっていました。早々に収穫し、樽を効かせてごまかしたようなワインが多かったのです。またそれが薄めのワインの産地というイメージをこの地に植え付けたわけです。
ブルゴーニュのトップ生産者
今回は早くも大詰めです。マコンの救世主コルディエという生産者、「この地区のトップ生産者」、では収まらないのです。実はブルゴーニュの中でもトップクラスの生産者だというのは、意外とFiradis WINE CLUBを長く使っていただいている方でもご存じないのではないでしょうか。
根拠を申し上げましょう。ブルゴーニュ・ワイン専門誌ブルゴーニュ・オジュルデュイで、2005年の『ブルゴーニュNo.1のヴィニュロン』に選出。ル・キド・デ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ2007-2008年度版…『ブルゴーニュNo.1ワイン』。そしてあのエティエンヌ・ソゼと並ぶブルゴーニュ白において『ロバート・パーカー四つ星生産者』として名を連ねています。
これだけではありません。実はマコネ地区はブルゴーニュワインの高騰に伴い、昨今コストパフォーマンスの高いブルゴーニュの地区として大きな注目を浴びています。そこでなんとルフレーヴやコント・ラフォンといったスーパースターたちがマコネ地区でいかに美味しい白ワインを造るかを学びに来る生産者こそが、このコルディエなのです!!
実際のこだわりとしては、マコネ地区の常識を覆す徹底した遅摘み。また、通常1株につき通常8~10の芽を残すところ、4つ以下に制限するという徹底した低収量。そしてそうやって果実そのものの強さを高め、決して樽に頼らないワイン造り。テロワールの表現として自然と多くなる、アイテム数。もちろん除葉や収穫は手作業、などなど。
弊社代表の石田曰く、「コルディエのワインの凝縮感、クオリティの高さは畑仕事の丁寧さの賜物」であり、それを感じさせるほど「グローブのようなガサガサした」手をしているそうです。
それでは彼のワインはどういった味わいなのか。ここまでを踏まえていよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
≪店長のテイスティングコメント≫
一言で表現するなら「レモンクッキー」でしょうか。フレッシュな柑橘系の抜けるような香りに始まり、そこからレモンの蜂蜜漬け(特に皮の部分)の印象に、白い花、洋梨が完熟してトロトロになった時の香りが加わり、濃密な果実感が伝わってきます。香りの奥に樽熟成による焼き菓子的なニュアンスがほのかに立ち、全体の印象がレモンクッキー的になります。
味わいはまさに香りのイメージ通りの流れ。柑橘系フルーツ的な酸は穏やかで優しく、「蜜っぽさ」がたっぷりと広がります。後半で豊かなミネラルが少しだけキュッと締まり、心地良い辛口のフィニッシュへ。お薦めしたい料理は、シンプルな豚肉のグリルやロースト。塩胡椒だけでシンプルに調理して、最後にレモンを絞って。そこにこのワインを合わせると・・・一つの料理として完成します。
さていよいよテイスティング。店長は上記のように書いています。
今回は西岡パパのテイスティングコメントも引用してみましょう。
早速、大きめのグラスになみなみと注いでいきます。
輝きと滑らかさを感じさせる、やや濃いめのイエロー。
香りは、大ぶりの果実を思わせます。熟したりんごや洋梨、黄桃、
果実以外には、ハチミツや、ミルク、ローストしたナッツなど。
口に含むとテクスチャはとても滑らか、
熟した果実の甘やかさと、穏やかで上品な酸味が舌に広がり、
ミドル以降も果実の厚みをしっかりと感じ、
うーん、流石はコルディエですね。月並みな言葉ですが、とても美
さて私はこのワインは一言で表すと、「ちゃんと待つべきワイン」だと思いました。
店長のお薦めの飲み方にも記載されていますが、45分くらい、あるいは楽しむ一時間前くらいには抜栓しておいた方が良いと思います。
そうすることで、果実の密度の高さを体感できます。
抜栓直後は果実の力強さがまだ広がりきってなくて、正直あまりお勧めできないです。
まずは香りから。実はこのテイスティングコメントについては、できるだけ左右されないように店長のコメントを見ずに書いているんですが、何と今回は香りの独特な表現が一致しました。それはクッキーの香りです。
どちらかとい爽やかな青りんご、グレープフルーツ等の柑橘主体の香りを包み込むように、柔らかなクッキーのような甘くそして柔らかい香りが立ち上ってきます。とても心地よく、リラックスする出来る香りです。そのほかには白胡椒的なニュアンスも感じました。
そして味わいです。果実感の高さがすごいです。ただ面白いのがクッキーのような甘やかな香りの印象とは異なり、あくまですっきりさわやか系の印象です。酸はそれほど高くないですが、それこそ香りからも感じられたグレープフルーツ系の溌溂とした、そして最後はしっかりと辛口の果実感。ただこの果実のパワー、存在の大きさをを感じるワインです。そしてそこにほのかな樽感、あくまで「ほのかな」樽感がそっと添えるように口の中に染みこんできます。イメージとしては、この樽感は果物を載せるお皿のような役割といっていいと思います。力強い果実感をしっかりと制御して、味わいのバランスを保つ。この価格としては完成度の高いワインだと思いました。
コルディエの徹底して果実感を引き出すこだわりが、あるいは丁寧な仕事を生み出すガサガサした手が、笑
想起させられるようなワインです。
西岡パパはこのワインには『ポークカツレツ・リンゴ&
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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