あ、せかんどおぴにおん 第17回「バロン・デ・レイ リオハ・レゼルバ」
『あ、せかんどおぴにおん』第17回
「バロン・デ・レイ リオハ・レゼルバ」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
16回目にとりあげるのは、「バロン・デ・レイ リオハ・レゼルバ」です。
スペインの銘醸地、リオハ
ワイン専門誌『デカンター』が「リオハ・レゼルバの目の覚めるようなお手本」と絶賛、NO.1生産者に選んだバロン・デ・レイ。CLUB30の30本セレクションの中では、最もがっしりと力強く多層的な1本。渋い赤がお好きな方には、必ずこれをお薦めしています。
そもそもリオハワインとは何か。スペイン北東部。エブロ川流域とその支流オハ川沿い。オハ川=リオ・オハからリオハという名前になったといわれています。1991年にリオハワインは原産地呼称制度の中で最上位のD.O.Ca(特選原産地呼称ワイン)に認定されています。現在D.O.Caは、後に認定されたプリオラートと合わせて2つだけ。スペインワインの最上位に位置する銘醸地です。
19世紀のフィロキセラというヨーロッパ中のワインに被害を与えたという害虫被害の影響が比較的小さかったことから、一気に頭角を現した産地です。それまでは原始的な方法、例えば浅井桶でブドウを踏みつぶし発酵させるなどの方法でワインを造っていたのを、最先端のボルドーワインの手法を取り入れて一気に品質が上がっていきます。樽の風味とテンプラニーリョという土着品種の相性がとてもよかった。そして20世紀に入り、より小さなフレンチオークの導入などによってさらに世界的な評価が高まりました。
テンプラニーリョについては、こちらのコラムを是非参考にしてください。
いろいろあるリオハ
本拠地となるメンダビアは、リオハの3つのサブリージョンの内、南部のリオハ・バハにある。
リオハといってもいろいろあります。エブロ川最上流のリオハ・アルタ地区、エブロ川左岸のリオハ・アラベサ地区、エブロ川下流域のリオハ・バハ地区。
このバロン・デ・レイは一番東の地域であるリオハ・バハを本拠地としています。最も暖かく乾燥した地域で、果実感たっぷりの凝縮したワインが生まれます。
一般的にリオハ・アルタ地区が長期熟成向けのワイン産地、リオハ・アラベサがよりフルーティーでフレッシュな印象。そしてリオハ・バハ地区はより大衆的でリオハの中では比較的低価格の地域、というイメージがあります。
フィラディスはそれを逆手に取り、この地区で素晴らしい品質のワインを見つけることで、手ごろな価格で美味しいリオハを日本へ輸入できる、と考えたのです。実際16世紀ごろから品質の高いワインの産地として評判を得ていたのが、バロン・デ・レイが持っている畑です。しかし、バロン・デ・レイの凄さはそれだけではありません。
バロン・デ・レイ
①世界的な需要に十分に応えられる安定的な生産量
②質の高さと味わい・スタイルの一貫性
③手頃な価格帯のコストパフォーマンス
という3拍子が揃った生産地を選ぶなら、スペイン・リオハは世界NO.1クラスだ、という評価。
これはデカンター誌がバロン・デ・レイが「リオハ・レぜルバの目が覚めるようなお手本」と評したときにあげた、評価理由です。まず①、バロン・デ・レイはリオハ最大規模の生産者であり、生産量も多くリオハを知り尽くしています。その規模と安定感が、まさしく「お手本」として皆さんにお薦めできる品質②にもつながります。しかも数あるワインの中でも、実はフィラディスは上級のワインしか取り扱っていません。
そして魅力はやはり③コストパフォーマンス。その規模の大きさも活かして、手ごろな価格で提供する。ワイン・アドヴォケイト誌にも、「手ごろな価格で信頼できるリオハを幅広くそろえている」と評されています。
ちなみに、レぜルバというのは熟成期間を表します。一応下記のような感じです。
Crianza(クリアンサ) | 最低24ヶ月の熟成(うち6ヶ月は樽熟成) |
Reserva(レゼルバ) | 最低36ヶ月は熟成(うち12ヶ月は樽熟成) |
Gran Reserva(グラン・レゼルバ) | 最低60ヶ月の熟成(うち18ヶ月は樽熟成) |
なぜリオハの中でもバロン・デ・レイを選ぶのかが、伝わったでしょうか。いよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
[≪こんな香り・味わいのワインです≫:
このワインにじっくりと向き合うのは随分と久しぶりになってしまいました。でも、改めて時間をかけて試飲をすることで素晴らしさを再認識。やはり、この価格帯のリオハとしては本当に卓越したクオリティを実現しています。
黒系果実が全体の印象を引っ張りつつイチゴなど赤い果物の甘い感じも。ナツメグや紅茶の印象に赤身肉のローストを感じさせる艶めかしい香りが。ファーストタッチは密度が濃く完熟を感じさせるフルーツ感ときめ細かく量の多いタンニン、後半に適切な酸が現れ全体のバランスを取りつつ、トータルな印象はあくまでもパワフル、に仕上げています。このワインの特性として、全体像が円を描く広がりというよりは「横に、無限に広がっていく感じ」が個性的ですね。
時間経過を経て果実の詰まり具合は更にぎゅうぎゅうにそして甘く、そして旨みもぐんとアップ。タンニンが分厚くリッチに、でも柔らかく展開するので、合わせる料理は少し濃いめのソースを使った肉料理が良いと思います。マリアージュレシピは、バルサミコ酢とオリーブオイルを使った馬肉のタリアータを提案していますが、バルサミコを甘く煮詰めたソースの肉料理も良いと思います!
いよいよテイスティングです。店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。
私が以前最初にこのワインを飲んだ時に感じたのは、思ったより渋くない、です。商品ページには渋いワインが好きな方には、とか書いてるので、ものすごい渋いワインを想像される方もいるかもしれません。これは直さなければいけないですね。
いや、実際タンニン量はたっぷりとあります。渋さが気にならない、といったほうが適切でしょう。それくらい果実が力強く、心地よい。タンニンがほどけて柔らかい。樽の使い方が上手い。これらや酸も含め総じてバランスが良い。これがこの価格帯で表現できているのは、やっぱり良いです。そして今回改めて飲んで感じたのは、シンプルにわかりやすく美味しいということ。飲んですぐ、あ、コレは美味しいなと思えるような、明快なワインです。
香りが何よりも気分を高揚させます。笑顔がこぼれてくるほどドストレートな黒系果実とオークの香りの二層構造です。この樽の香りが、ヴァニラ、シナモン、ココナッツのような甘やかさも感じるほど、なんですが甘すぎてきつい香りというわけでもなく、むしろ柔らかい。心をほっとさせるようなまろやかな香りです。これとブラックベリーの香り。香りだけでたっぷりと楽しめる魅力を持っています。
そして味わい。タンニンはしっかりとありますが、あくまでベース。溶け込んだタンニンと溶け込んだ樽感。溶け込む先は力強い果実です。これをちょっと冷たいくらいの温度で飲むと、うっとりとしてしまうような味わいです。始まりから終わりまで、ずっとシンプルに美味しい。スペインはやっぱりこれだよ、と思います。
以上。
宜しければ下記の記事も是非ご覧ください。
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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